トヨタ クラウン ブランドのSUV、生産開始…中国合弁工場で

中国現地生産を終えたクラウンの名称が1年ぶりに復活

北米向けの中型SUV『ハイランダー』がベース

クラウン・クルーガーのベースはスポーティ仕様の「XSE」

パワートレインはハイブリッドのみ

トヨタと第一汽車の合弁の一汽トヨタで生産が開始されたトヨタ・クラウン・クルーガー
トヨタと第一汽車の合弁の一汽トヨタで生産が開始されたトヨタ・クラウン・クルーガー全 14 枚

中国の第一汽車(FAW)は8月16日、トヨタとの合弁の一汽トヨタが、『クラウン』ブランドのSUV、『クラウン・クルーガー』(Toyota Crown Kluger)の生産を開始した、と発表した。

中国現地生産を終えたクラウンの名称が1年ぶりに復活

トヨタ・クラウン・クルーガー(上海モーターショー2021)トヨタ・クラウン・クルーガー(上海モーターショー2021)クラウンは1964年、中国で発売されて以来、現地の顧客に受け入れられてきた。トヨタはクラウンのモデルチェンジを行う度に、あらゆる時代の顧客のお気に入りのモデルを目指してきた。そこでトヨタは、中国の顧客に人気が高いSUVを、クラウンブランドから派生させることを決めた。

『クルーガー』の名称は、2000年に日本市場で発売されたSUVに付されていた。その後、日本ではクルーガーの実質的な後継車として、『ヴァンガード』がデビューしたため、クルーガーは2007年3月、日本向けの生産を終了している。

なお、トヨタと第一汽車との中国合弁、一汽トヨタで現地生産されてきた4ドアセダンのクラウンは2020年春、生産を終了した。SUVのクラウン・クルーガーの登場によって、中国でクラウンの名称が、およそ1年ぶりに復活した。

北米向けの中型SUV『ハイランダー』がベース

トヨタ・クラウン・クルーガートヨタ・クラウン・クルーガークラウン・クルーガーは、トヨタが主に北米市場で販売している中型SUV『ハイランダー』が車両のベースだ。現行ハイランダーは4世代目モデルで、2019年春、ニューヨークモーターショー2019で発表された。米国では『RAV4』の上に位置するSUVとなる。

一方、中国でのハイランダーは、現行型のひと世代前の3世代目モデルが生産・販売されてきた。今春の上海モーターショー2021では、このハイランダーの中国仕様車がモデルチェンジし、北米向けと同じ4世代目となって、初公開された。

なお、中国向けのハイランダーは、トヨタと広汽集団との中国合弁、広汽トヨタで現地生産されている。クラウン・クルーガーは、トヨタと第一汽車との中国合弁、一汽トヨタで現地生産が開始された。一汽トヨタの『カローラ』、広汽トヨタの『レビン』の関係と同じく、広汽トヨタのハイランダーと一汽トヨタのクラウン・クルーガーが、車台などを共有する兄弟車の関係となる。

クラウン・クルーガーのベースはスポーティ仕様の「XSE」

トヨタ・ハイランダー XSE(北米仕様)トヨタ・ハイランダー XSE(北米仕様)クラウン・クルーガーは、北米仕様のスポーティ仕様、『ハイランダーXSE』をベースにしている。XSEモデルは、強化されたスプリングとリアスタビライザーバーを装備。ショックアブソーバーも専用チューニングされている。電動パワーステアリングも、よりスポーティな方向にチューニングされた。

ハイランダーXSEは、通常のハイランダーに対して、メッシュパターンのフロントグリル、大きな開口部を備えたフロントバンパー、リップスポイラーが専用デザインとなり、アグレッシブな雰囲気を強調している。

専用のヘッドランプには、黒いアクセントとデイタイムランニングライトが組み込まれた。クラウン・クルーガーも、このXSEのデザインを採用している。フロントグリルには、クラウンを象徴する「王冠」が添えられた。

クラウン・クルーガーは、ブラックのアクセントが施された専用の機械加工の20インチアルミホイールに加えて、ルーフレールや下側のドアミラーカバー、ウィンドウモールディングを、ブラック仕上げとした。リアは、バンパーにツインエキゾーストが組み込まれた。室内には、3列シートが装備されている。

パワートレインはハイブリッドのみ

トヨタと第一汽車の合弁の一汽トヨタで生産が開始されたトヨタ・クラウン・クルーガートヨタと第一汽車の合弁の一汽トヨタで生産が開始されたトヨタ・クラウン・クルーガークラウン・クルーガーには、新世代のハイブリッドシステム搭載車のみが用意される。高効率の2.5リットル直列4気筒ガソリンエンジンと、3つの電気モーターをコンパクトなシステムに組み合わせた。前輪をエンジンとフロントモーターで、後輪をリアモーターで駆動する電気式4WDの「E-Four」を搭載した。車両の骨格となるプラットフォームには、「TNGA-K」を採用している。

一汽トヨタは、このクラウン・クルーガーの生産を一汽トヨタのTNGA新工場で開始した。一汽トヨタのTNGA新工場では、品質管理スタッフが完成したクラウン・クルーガーの品質検査を慎重に行う。

同社は、クラウン・クルーガーは中国でのクラウンブランドの独自の価値を利用して、ユーザーに究極の体験を提供し、新時代のパイオニアとしてのニーズを完全に満たす、と自負する。この取り組みは、ハイエンド製品における一汽トヨタの戦略を補完し、一汽トヨタの事業における成功を支援するものになる、としている。

《森脇稔》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. メルセデスベンツの主力SUV『GLC』、新型を9月に世界初公開へ
  2. 三菱『パジェロ』7年ぶり日本復活か!? 日産 パトロール 派生モデルの可能性も
  3. その名の通り1000馬力! 新型スーパーカー『ブラバス1000』発表、AMG GTのPHEVをさらに強化
  4. 日産『エクストレイル』米国版が2026年型に、新グレード「ダークアーマー」設定
  5. 待望の新型スズキ『GSX-R1000R』が予告なしの初公開!「3色3様」往年のレーシングカラーで日本市場復活へ
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
ランキングをもっと見る