ベントレーのデザイン部門、設立70周年…次世代EVに注力へ

原点は1951年の『Rタイプ・コンチネンタル』

バーチャルリアリティを活用した最新デザイン

次世代EVではデザインがこれまで以上に重要に

新たなデザインスタジオを建設へ

ベントレー・コンチネンタル の歴代モデル
ベントレー・コンチネンタル の歴代モデル全 10 枚

ベントレー(Bentley)は9月23日、英国クルー本社にデザイン部門を設立してから、今年で70周年を迎えた、と発表した。

原点は1951年の『Rタイプ・コンチネンタル』

英国クルーでデザインされた最初のベントレーは、1951年の『Rタイプ・コンチネンタル』で、スタイリング担当のジョン・ブラッチリー氏の手によるものだった。同氏は、ベントレーの象徴である 「ブルートレイン」のコーチビルダーのガーニー&ナッティング社でチーフデザイナーを務めた経験があり、プロポーションとフォルムに対する研ぎ澄まされた感覚を持っていたという。

1951年に設立されたデザイン部門の主な役割は、アイデアやデザイン案を伝え、そのビジョンを他の部門と共有すること。これを実現するために、デザインスケッチを水彩画のような手描きの作品にしていた。

水彩画で描かれたレンダリングは、モデルメーカーに新型車の形を伝えるために、側面、前面、背面、平面図、ボディに沿った断面図など、縮尺や原寸の技術図面で再現されていた。

バーチャルリアリティを活用した最新デザイン

最近のモデルメーカーは、1950年代と同じプロセスを踏んでいる。図面を立体的に表現するために、金属製の骨組みを柔軟性のある素材(歴史的にはワックス、最近ではクレイ)で覆い、新しい車の形を正確に表現する。その後、モデルの寸法を測り、図面を確認し、相互参照することが可能になる。

現在では、測定アームやスキャン装置を使用することで、100分の1ミリ単位の精度で3次元モデルを迅速に評価することができる。また、データは数値としてプリントアウトされるとともに、クラウドデータとしてデザインスタジオに直接アップロードされ、すぐにバーチャルな確認作業ができるようになっている。

最新のデザインでは、高度なコンピューターのおかげで、バーチャルリアリティで表現することが可能になった。デザイナーは、ロケーションに関係なく、スクリーンやヘッドセット、AR(拡張現実)を介して体験できるバーチャルな世界でスケッチできるようになった。新しいツールや技術を使っても、デザインが完全に成熟した後は、実物大のモデルを作成し、細部まで仕上げてから生産に入る。

次世代EVではデザインがこれまで以上に重要に

現在、ベントレーのデザインチームは大きく成長し、インテリア、エクステリア、ユーザーエクスペリエンス、色や素材、特注品のリクエスト、コラボレーションなどのデザイン面をカバーする50人以上のスタッフで構成されている。

次世代のEVでは、電気モーターなどの部品の他車との類似性から、デザインがこれまで以上に顧客にとって重要な要素になると予想されるという。デザインは車の一部であるだけでなく、テクノロジーの向上とともに、顧客のライフスタイルにも関わってくると見込む。

デザインチームはすでに他の高級メーカーと協力して知識や技術を共有し、ベントレーのデザイン言語を高級車以外の分野にも導入している。

新たなデザインスタジオを建設へ

ベントレーのデザインは、現在では高級車の枠を超えて、ライフスタイルの選択肢も提供しているという。例えば、「ベントレーホーム」の家具は、個人的な好みに合わせてカスタマイズすることができる。ベントレーの家具は、レザーやウッドパネルなど、英国ブランドをユニークにしてきた仕上げでカスタマイズすることが可能だ。

ひとつひとつ手作業で仕上げられた作品は、伝統的なクラフツマンシップと新技術を融合させ、ベントレーに不可欠な技術とモダンラグジュアリーの原則を体現している、と自負する。

ベントレーが本社を構えるピムスレーン通りは、1938年に工場が建設されて以来、クルーにあるベントレー本社の中心的存在であり続けている。ベントレーは、電動化を加速するため、敷地内をさらに開発する予定。ベントレーのビジネスの最も重要な分野の一つであるデザイン部門は、70年に及ぶ歴史を経て、次の時代に向けて、今後数か月の間に新たなデザインスタジオの建設とともに、キャンパス内で最も象徴的な建物の一つに移転する、としている。

《森脇稔》

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