ルノーが燃料電池車プロトタイプ発表…航続は500km 2022年欧州発売へ

ルノーグループの新合弁「HYVIA」が開発

航続500kmの内訳は電力からが100kmで水素からが400km

5分で水素が充填できる水素燃料補給ステーション

ルノー・マスターバン H2-TECH のプロトタイプ
ルノー・マスターバン H2-TECH のプロトタイプ全 12 枚

ルノーグループは10月14日、燃料電池車プロトタイプのルノー『マスターバンH2-TECH』(Renault Master Van H2-TECH)を欧州で発表した。実車は10月27~28日、フランス・パリで開催される「Hyvolutionショー」で初公開される予定だ。

ルノーグループの新合弁「HYVIA」が開発

ルノーグループは新型商用燃料電池車を、2021年6月に設立された新たな合弁会社の「HYVIA」で開発し、2022年から欧州市場で販売する計画だ。HYVIAはルノーグループと、水素燃料電池技術を手がけるプラグパワー社が折半出資で設立した。

車名のHYVIAは、水素の「HY」に道路の「VIA」を組み合わせたもの。HYVIAは、水素移動ソリューションにより、カーボンフリーの新しい移動手段を提示することを目指している。

HYVIAはフランスを拠点とし、ヨーロッパ市場向けに、燃料電池システムを搭載した小型商用車、水素燃料補給ステーション、水素の供給、保守のためのサービスなどを幅広く顧客に提供していく。

航続500kmの内訳は電力からが100kmで水素からが400km

新型商用燃料電池車は、2021年内にルノーグループのフランス・バチイイ工場で組み立てを開始し、2022年から欧州市場で販売される予定だ。水素充填と充電ステーションの整備も行う。

ルノーグループの新型商用燃料電池車は、3車種が開発されている。このうち、今回プロトタイプが発表されたマスターバンH2-TECHは、航続500km、12立法mの荷物が積載できる商品輸送に適した大型バンだ。この他、『マスターシャシーキャブH2-TECH』は、航続250km、19立法mの貨物スペースを備えた大型バン。『マスターシティバスH2-TECH』は、最大15人の乗客を輸送できる都市型ミニバス。航続は300kmで、企業、地方自治体、地方公共サービスに最適という。

新型商用燃料電池車3車種は、電気エネルギーと水素ベースのエネルギーの両方を動力源とするデュアルパワーアーキテクチャをベースに開発された。3車種の中で、最も航続の長いマスターバンH2-TECHの場合、航続500kmの内訳は、電力からが100km、水素からが400kmとなる。新型商用燃料電池車は仕様によるが、蓄電容量33kWhのバッテリー、30kWの燃料電池、3~7kgの水素タンクを搭載する。今回、プロトタイプが発表されたマスターバンH2-TECHの場合、6kgの水素タンクを4本、ルーフに装備した。燃料電池システムはすべて、フランスで生産される。

5分で水素が充填できる水素燃料補給ステーション

車両への電動パワートレインと水素燃料電池システムの搭載は、グレ・ザルマンヴィリエに拠点を置くルノーグループの子会社、PVIによって行われる。電気モーターはクレオン工場で生産され、燃料電池の組み立ては2021年末までにフラン工場で開始される予定だ。水素タンクはフォルシアから供給を受ける。

ルノーグループは同時に、HYVIAの水素燃料補給ステーションのプロトタイプも発表した。この水素燃料補給ステーションは、購入、リース、レンタルが可能。すべての安全基準を満たしている。また、内燃エンジン搭載車両と同様の利便性が追求されており、水素充填時間は最短で5分で完了するという。

水素燃料補給ステーションの操作は、簡単に行えるようにした。水素は、水の電気分解を利用して現場で生成されるか、ガス管トレーラーを使用して供給される。システムは水素を圧縮して貯蔵し、必要に応じて車両に充填する。

なお、この水素燃料補給ステーションは、フランス北部のフラン工場で組み立てられる予定、としている。
EVとPHEV、ちがいとメリットとは……

《森脇稔》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. メルセデスベンツの主力SUV『GLC』、新型を9月に世界初公開へ
  2. 三菱『パジェロ』7年ぶり日本復活か!? 日産 パトロール 派生モデルの可能性も
  3. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
  4. その名の通り1000馬力! 新型スーパーカー『ブラバス1000』発表、AMG GTのPHEVをさらに強化
  5. カワサキ『Ninja ZX-25RR』を日本初導入、価格は105万2700円 スタンダード版「25R」は廃止
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  4. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  5. 湘南から走り出した車、フェアレディZやエルグランド…日産車体が量産終了へ
ランキングをもっと見る