メルセデスベンツの燃料電池トラック、公道走行テストの認可を取得…2027年から量産へ

最大航続距離は1000km

量産モデル用に設計した2つのステンレス製液体水素タンクを搭載

メルセデスベンツの燃料電池トラック『GenH2トラック』のプロトタイプ
メルセデスベンツの燃料電池トラック『GenH2トラック』のプロトタイプ全 3 枚

ダイムラートラック(Daimler Trucks)は10月25日、燃料電池トラックの公道走行テストの認可をドイツ当局から取得した、と発表した。

公道走行テストには、ダイムラートラックが開発したメルセデスベンツの燃料電池トラック『GenH2トラック』のプロトタイプを使用する。GenH2トラックは、長距離輸送を想定した燃料電池トラックだ。

最大航続距離は1000km

メルセデスベンツの燃料電池トラック『GenH2トラック』のプロトタイプメルセデスベンツの燃料電池トラック『GenH2トラック』のプロトタイプメルセデスベンツGenH2トラックのハイライトは、最大で1000kmの航続だ。ダイムラートラックのエンジニアは、牽引力、航続、性能などの点において、現行のメルセデスベンツ『アクトロス』と同等の性能を、メルセデスベンツGenH2トラックで追求している。たとえば、GenH2トラックの量産バージョンでは、車両の総重量が40トン、最大積載量が25トンになる。 2つの液体水素タンクと、強力な燃料電池システムにより、重量物を長距離輸送できる燃料電池トラックを実用化していく。

ダイムラートラックが液体水素を使用するのは、気体水素よりも体積に関して、高いエネルギー密度を持つためだ。液体水素を使用する燃料電池トラックよりも、タンクを小型化でき、圧力が低下するため、大幅な軽量化が可能になる。これにより、トラックの積載スペースと積載重量が大きくなる。同時に、より多くの水素を搭載できるため、トラックの航続が大幅に伸びる。これにより、GenH2トラックは現行のディーゼルトラックに匹敵する長距離輸送が可能になるという。

ダイムラートラックは現在、液体水素を量産燃料電池トラックのエネルギー源として使用できるようにするため、必要なタンクシステムの技術開発を進めている。マイナス253度の低温での液体水素の貯蔵は、産業利用や水素ステーションなどの定置用途では、すでに実用化されている。

量産モデル用に設計した2つのステンレス製液体水素タンクを搭載

メルセデスベンツの燃料電池トラック『GenH2トラック』のプロトタイプメルセデスベンツの燃料電池トラック『GenH2トラック』のプロトタイプGenH2トラックの量産モデル用に設計された2つのステンレス製液体水素タンクは、長距離をカバーするために、1個40kg、2つで合計80kgの容量を持つ。ステンレス製のタンクは、真空断熱された2つのチューブで接続されている。

GenH2トラックの量産バージョンでは、燃料電池システムは150kW×2の300kWを供給し、バッテリーは一時的に400kWを追加できる。 バッテリーの蓄電容量は70kWh。プロトタイプでは、2つの電気モーターが合計で660kWの最大出力と、422kgmの最大トルクを発生する。

ダイムラートラックは、このGenH2トラックの公道走行テストの認可をドイツ当局から取得し、公道での走行テストを開始する。これにより、量産への過程において、重要なマイルストーンに到達したという。量産モデルのGenH2トラックは、2027年から顧客に引き渡される予定、としている。

《森脇稔》

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