フェラーリ、1台限りの『BR20』発表…1950-60年代のV12クーペがモチーフ

ワンオフモデル完成までの全プロセスには平均1年以上

GTC4ルッソをベースに後席を取り外して2シーター化

グリルやヘッドライトが専用デザインに

フロントウィンドウからラゲッジまで遮るものがない室内

フェラーリ BR20
フェラーリ BR20全 15 枚

フェラーリは11月11日、ワンオフシリーズの最新作として、『BR20』(Ferrari BR20)をイタリア本国で発表した。

BR20はクライアントの指定に基づいて、ユニークな要望を明確に表現するようデザインされた1台限りのビスポークモデルだ。V型12気筒ガソリンエンジンを搭載する『GTC4ルッソ』のプラットフォームをベースに開発された2シータークーペになる。

◆ワンオフモデル完成までの全プロセスには平均1年以上

フェラーリのワンオフシリーズの「スペシャル・プロジェクト」プログラムの目的は、ユニークなフェラーリを生み出すことだ。要望に添ってエクスクルーシブなデザインが作り出され、クライアントは唯一無二のモデルのオーナーとなることができる。

各プロジェクトは、クライアントのアイデアを出発点として、それをフェラーリ・スタイリングセンターのデザイナーチームが発展させる。車両のプロポーションとフォルムを決定したら、デザインを詳細に検討し、スタイリング用クレイモデルを製作してから、ワンオフモデルの製造に取りかかる。

全プロセスには平均1年以上を要し、その間、クライアントはデザインの評価や検証プロセスに密接に関わる。こうして誕生したワンオフフェラーリは、跳ね馬のロゴを装着し、フェラーリの本拠地、イタリア・マラネッロ生まれの全モデルと同じ水準で設計される。

フェラーリ BR20フェラーリ BR20

◆GTC4ルッソをベースに後席を取り外して2シーター化

BR20の哲学とアプローチは、1950~1960年代のフェラーリのクーペに求められた。『410SA』や『500スーパーファスト』など、フェラーリの象徴的なV型12気筒モデルのスタイリングテーマを、さりげなく取り入れているという。

滑らかなファストバックのラインをさらにダイナミックにするため、GTC4ルッソの2つの後席は取り外された。BR20はGTC4ルッソよりも全長が約76mm長い。特徴的なリアのオーバーハングによって、プロポーションを美しく強調するシルエットを目指した。デザインプロセスでは、キャビンボリュームの変更がポイントのひとつに。これによって、フラヴィオ・マンゾーニ率いるデザインチームは、革新的なプロポーションを構想する自由を得て、最終的に力強いと同時に統一感のあるエクステリアデザインを生み出した、と自負する。

新デザインのキャビンによって、Aピラーからリアスポイラーにかけて、2組のアーチが前後をつなぐように見えることを狙った。アーチ後方のふくらみは、えぐられて空力的な通り道となっており、空気の出口はスポイラー下の黒い帯で隠された。フェラーリの「フライング・バットレス」のテーマをモダンにアレンジしたことで、フェラーリGTの伝統をはじめ、『599GTBフィオラノ』などに見られるフェラーリのスタイリング上の特長とも、強いつながりを感じさせるようにしたという。

キャビンを視覚的に軽い印象とするため、ルーフをブラック仕上げで、フロントウィンドウからリアスクリーンまでつないだ。リアスクリーンは気流を導くようにテールゲート表面から立ち上がっている。

フェラーリ BR20フェラーリ BR20

◆グリルやヘッドライトが専用デザインに

フロントグリルには、水平の新スリットを採用した。変更されたヘッドライトは、GTC4ルッソよりも低い位置にレイアウトする。デイタイムランニングライトはスリム化され、ボンネットが長く滑らかに見えるようにした。濃淡のあるダイヤモンド仕上げの20インチホイールも、専用デザインだ。

車体には、カーボンファイバー製パーツがふんだんに使われた。分厚い曲線的なサイドシルも、サイドボディ下部のダイナミズムを強め、フロントのホイールアーチに接するエアベントを強調している。最近のフェラーリのワンオフモデル同様、ワイドなフロントグリル上部にはカーボンファイバー製エレメントを装着した。クロームのサイドインサートも装備している。

専用デザインのリアバンパーを採用した。ツインテールライトや、低く配置されたテールパイプを装備する。ディフューザーには、アンダーボディに可動フラップが設けられた。円筒型のテールパイプも専用デザインとした。

フェラーリ BR20フェラーリ BR20

◆フロントウィンドウからラゲッジまで遮るものがない室内

インテリアは、濃淡色のブラウンのレザーとカーボンファイバーでトリミングされた。シートは「ヘリタジ・テスタ・ディ・モロ」というダークブラウンのレザーで覆われ、前面には特別なパターンとシルバーのクロスステッチが施された。

フロントウィンドウから後部のラゲッジコンパートメントまで、遮るものがないのも特長。リアベンチとラゲッジデッキには、オークにカーボンファイバー製インサートがあしらわれた。これをフラットに折りたたむと、奥行きのある荷室とドアハンドルが現れる、としている。

《森脇稔》

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