【ルノー メガーヌ 新型試乗】普通になっちゃった、それでも「いぶし銀の輝き」…中村孝仁

ルノー メガーヌ インテンス
ルノー メガーヌ インテンス全 34 枚

なんか、おかしなタイトルである。おい中村!いぶし銀は輝かねぇよ!とおしかりを受けそうである。

確かにいぶし銀はその色だけを見ればマット調だから輝きはない。でも一方でいぶし銀という言葉は、歳いった老俳優の味のある演技などに比喩として使われることがあることもご存じだと思う。

ルノー メガーヌ インテンスルノー メガーヌ インテンス

ルノー『メガーヌ』の現行モデルがデビューしたのは2016年のことで、2017年から日本で販売されている。そして今回フェイスリフトを受けてエンジンや外観に少し変更が加えられた。同時にモデルミックスが変更されて、高性能版の「R.S.」は従来のままだが、標準モデルは従来の「GT」から「インテンス」と呼ばれるモデルに変えられている。

これに伴って本来はメガーヌの大きな売りであったはずの4コントロール(四輪操舵)が装備されないモデルとなった。まあ考えようだが、メガーヌも歳が行ってシャキシャキさが抜けた半面、味のある演技をするいぶし銀の俳優になったということである。

「なんか普通になっちゃったなぁ」

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同時にACCをはじめとしたADAS系の装備が盛り込まれているから、やはり少しお歳を召した印象が強い。エンジンだってGT時代の2リットルターボ、205ps、280Nmから、1.3リットルターボ、159ps、270Nmへとパワーダウンした。そんなわけだから、試乗車を乗り出して最初の印象としては、「なんか普通になっちゃったなぁ」という感じが強かったのである。

デザイン的にも大きく変わった印象はないからフロントグリルについていたGTのレタリングがなくなったことと僅かな違いがあるだけ。要するに見た目の印象としてはほとんど変わらないのである。その点じゃ若々しさを保っている。

やはり通好みのフレーバーを含んでいる

ルノー メガーヌ インテンスルノー メガーヌ インテンス

走りについてもやはりどちらかといえば、おっとりした印象が強い。どうもR.S.がハッチバック系ルノーのイメージをけん引している関係からか、どうしても走りの俊敏さというか、硬派なイメージを連想してしまう。そうした点からいうと今回のインテンスは全くその逆だといっても過言ではない。

しかしである。ひとたびワインディングに入ってその実力の片鱗を味わうと、やはり血は争えないと痛感する。今回は古いロータス『エラン』の軍団を追いかけて箱根の山を走り回った。さすがに走り屋揃いのロータス使いは軽快にワインディングを駆け抜けていく。

窓を開けてそのサウンドを楽しみ、若干昔の車らしい自動車風スモーキーな香りを楽しんだのだが、やはり60年代のモデルがいくら頑張ったところで、所詮現代車には朝飯前の追走。ロータス・エラン軍団のコーナリング姿を楽しく見ながら色付いた箱根の景色を楽しんだ。

そして感じたのはやはりメガーヌの走りは通好みで運転を楽しくさせるフレーバーをふんだんに含んでいるということだ。エンジンは従来までメルセデスベンツ『Aクラス』に搭載されていたものと同じもの。確かにこれまでGTが搭載していた2リットルターボから比べたら、パワーは低いが常用域の使い勝手はほとんど変わらず、また日本市場の速度域程度なら全体的にもそれほど大きな差は感じない。

シャキッとした走りは影を潜めたが

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気になっていた4コントロールなしの運動性能については、確かにシャキッとしたイメージは影を潜めたものの、それに代わる懐の深さみたいなものを感じさせてくれた。

外で見ていたわけではないから確かなことは言えないが、前を走るロータス・エランがコーナーからの脱出で加速する際、大きくロールしてぐっとお尻を下げた姿でワインディングをこなしていくのを見て、ひょっとするとメガーヌも同じような姿勢でまわっているのではないかと想像してしまった。

いずれにせよ走りは輝いている。だからいぶし銀の輝きというわけなのである。

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■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来44年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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