英国のモーガンモーターカンパニー(以下、モーガン)は12月9日、モーガン『プラス8 GTR』(Morgan Plus 8 GTR)を発表した。2018年に『プラス8』の生産を終了して以来、3年ぶりの復活だ。
◆プラス8は1968年登場の2シーターロードスター
モーガン社は1909年、ヘンリー・フレデリック・スタンリー・モーガン氏によって、英国ウスターシャー州に設立された。1910年のオリンピアモーターショーにおいて、前輪が2、後輪が1の『3ホイーラー』を発表し、自動車メーカーとして名乗りを上げた。
主力車種の『プラス8』は、1968年に生産を開始したモーガン伝統の2シーターのロードスターだ。プラス8は2012年から、旧ローバー製に代わるBMW製の4.8リットルのV型8気筒ガソリンエンジンを搭載。最大出力367hpを発生していた。スポーツエグゾースト仕様は、最大出力が390hpだ。
プラス8は車両重量が1100kgに抑えられ、0~100km/h加速4.5秒、最高速250km/h(リミッター作動)の性能を持つ。このプラス8は、2018年に生産を終了している。

◆プラス8 GTRは従来のモーガン車にはないハイショルダーライン
プラス8 GTRの生産台数は9台に限定される。『プラスFour CX-T』に続いて、2021年に開始されたモーガンの特別プロジェクトの第二弾となる。
プラス8 GTRは、従来のモーガンのボディには見られなかったハイショルダーラインなどが特徴となる。5本スポークのセンターロックホイールは、1990年代のプラス8のレーシングカーを彷彿とさせるデザインとした。リアエンドやフロントフェンダーはデザインが見直された。フロントリップスポイラーとハードトップが装備されている。
デザインのインスピレーションのひとつが、1990年代後半にGT選手権シリーズに参戦していたプラス8のレーシングカーだ。このレーシングカーには、モーガン初の接着アルミ製シャシーが用いられている。
◆レースでの使用を目的に製作された車台がベース
このプロジェクトは、プラス8のローリングシャシーを、モーガン社が買い戻したことによって実現した。プラス8のローリングシャシーはすべて、2018年以前にモーガンが製作したものだ。もともとレースでの使用を目的に製作されたが、その目的で使用されることはなかったという。今回の9台の生産に合わせて、シャシーの各部品はアップグレードされる。

ローリングシャシーから、完成車を組み上げる工程において、9台のプラス8 GTRはモーガンの伝統的な車体製造技術を使用してハンドメイドされる。この作業の多くは、モーガンデザイン&エンジニアリングセンター(M-DEC)で行われている。
また、このシャシーは、モーガン『エアロ8』用に最初に開発されたボンディングアルミ製シャシーとなる。プラス8は1968~2004年まで、スチール製シャシーを使用し、ローバー製のV8エンジンを搭載していた。
◆BMW製4.8リットルV8はチューニングで性能向上
プラス8 GTRには、BMW のN62型 4.8リットルV型8気筒ガソリンエンジンを搭載する。パフォーマンスのアップグレードとして、新しいエンジンチューンとキャノンスタイルの2本出しのスポーツエキゾースト装着が行われた。これらにより、スロットルレスポンスが向上した。最大出力は375hpを獲得する。トランスミッションは、6速MTまたはZF製6速ATを組み合わせている。
インテリアは、新しいドアカードや特注のGTRダイヤルが採用された。カーボン製レーシングシートとハーネスはオプションで用意された。それぞれのGTRには、シリアルナンバープレートが装着されている。