【F1 アブダビGP】ホンダ有終の美、セナ以来30年ぶりチャンピオン…フェルスタッペンが最終ラップで大逆転

F1アブダビGPでフェルスタッペンが最終ラップで大逆転、ホンダ30年ぶりのチャンピオンに
F1アブダビGPでフェルスタッペンが最終ラップで大逆転、ホンダ30年ぶりのチャンピオンに全 9 枚

ヤス・マリーナ・サーキットで12日、アブダビGPの決勝レースが行われ、ファイナルラップにマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がルイス・ハミルトン(メルセデス)と大バトルの末オーバーテイク。優勝で今シーズンのワールドチャンピオンに輝いた。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)とルイス・ハミルトン(メルセデス)がともに396.5ポイントで迎えた最終戦アブダビGP。47年ぶりF1史上2度目の同ポイント決戦は、予選でマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がポールポジションを獲得し、ルイス・ハミルトン(メルセデス)が2番手と、最後までタイトルの行方がわからない状況で決勝レースを迎えた。

なお、ニキータ・マゼピン(ハース)はPCR検査が陽性となり欠場。決勝レースは19台で争われることになった。

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58周の決勝レースがスタートすると、少し出遅れたフェルスタッペンをハミルトンがかわしてトップに浮上。直後にフェルスタッペンは半ば強引に抜いたがハミルトンを押し出してしまい、このオーバーテイクは成功しなかった。

トップを走るハミルトンはフェルスタッペンを徐々に引き離す展開に。フェルスタッペンはその状況を打開しようと、差が5秒まで開いた13周目にタイヤをソフトからハードに交換した。しかしハミルトンもそれに反応して14周目にミディアムタイヤからハードタイヤに交換。その結果、差は縮まるどころか更に開く状況となってしまった。

まだタイヤ交換を行わず、トップを走っていたセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)の背後にハミルトンが迫ったのは20周目。その時点でハミルトンとフェルスタッペンの差は8秒にまで広がっていた。しかしペレスはトップの座を死守。約2周に渡りハミルトンとバトルを繰り広げ、その間にフェルスタッペンはハミルトンの背後に迫ってきた。

これでペレスはタイヤ交換に向かいハミルトンとフェルスタッペンの一騎打ちに。ところがハミルトンのペースは速く、序盤と同じようにその差は徐々に広がっていった。

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36周目、コースサイドに止まったマシンを排除するためVSC(バーチャル・セーフティーカー=全車間隔を保ったまま低速で走行)が導入。このタイミングでフェルスタッペンは賭けに出た。ピットインを行い、タイヤをハードの新品に交換したのだ。VSC中のピットインはロスタイムが少ない。それでもフェルスタッペンがコースに戻ると、ハミルトンとの差は約20秒に広がっていた。残り20周でこれを挽回するためには、1周1秒近く速く走る必要がある。レースが再開されると、フェルスタッペンはファステストラップを記録しながら差を縮めるが、ハミルトンは使い古したタイヤながらもハイペースでの走行を続け、思ったように差が縮まらない。残り10周となった時点でも差は12秒あり、ハミルトンに届くことは不可能だと思われた。

残り6周となった53周目。クラッシュしたマシンがコース上にストップしセーフティーカーが導入された。ここでフェルスタッペンは更に賭けに出てソフトタイヤに交換。順位は変わらず2位でコースに復帰したが、残り周回数が少なく、セーフティーカーのままゴールする可能性も残されていた。

世界中が固唾を飲んで見守る中、残り2周でクラッシュしたマシンの排除が完了し、ハミルトンとフェルスタッペンの間にいた5台の周回遅れは、セーフティーカーを抜いて前に出された。そして残り1周でレースが再開。これはハミルトンとフェルスタッペンのチャンピオンを賭けた1周のバトルだ。43周走ったハードタイヤを履くハミルトン対、スロー走行で数周しか走行していないソフトタイヤを履くフェルスタッペン。その差は歴然で、フェルスタッペンはすぐにハミルトンに襲いかかった。ハミルトンも数コーナーにわたり懸命な抵抗をしたが、最終的にフェルスタッペンがオーバーテイクに成功。トップでチェッカーフラッグを受け、アブダビGPの優勝を飾るとともに、ワールドチャンピオンの座を勝ち取った。

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フェルスタッペンのチャンピオンは初。レッドブルのドライバーがチャンピオンを獲得するのは2013年のセバスチャン・ベッテル以来8年ぶり。ホンダのドライバーがチャンピオンを獲得するのは1991年マクラーレン・ホンダのアイルトン・セナ以来30年ぶりの快挙となった。

2位はハミルトン。3位は予選でも5番手となる速さをみせていたカルロス・サインツ(フェラーリ)。そして角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)が表彰台まであと0.5秒の4位でフィニッシュした。以下、ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)、バルテリ・ボッタス(メルセデス)、ランド・ノリス(マクラーレン)、フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)のトップ8。ペレスは完走扱いながらも残り3周でリタイヤした。

※メルセデスが抗議を提出したため一時レース結果は暫定となりましたが、抗議は却下され確定しました。

■アブダビGP 決勝レース結果

1. マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2. ルイス・ハミルトン(メルセデス)
3. カルロス・サインツ(フェラーリ)
4. 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
5. ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
6. バルテリ・ボッタス(メルセデス)
7. ランド・ノリス(マクラーレン)
8. フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)
9. エステバン・オコン(アルピーヌ)
10. シャルル・ルクレール(フェラーリ)
11. セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)
12. ダニエル・リカルド(マクラーレン)
13. ランス・ストロール(アストンマーチン)
14. ミック・シューマッハ(ハース)
15. セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)
以上完走

--. ニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)
--. アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)
--. ジョージ・ラッセル(ウィリアムズ)
--. キミ・ライコネン(アルファロメオ)

《藤木充啓》

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