消火器からお米を育てる? 肥料「モリタ1号」を使う

シャンシャン米・環(たまき)
シャンシャン米・環(たまき)全 4 枚

「シャンシャン米・環(たまき)」は、廃消火器の消火薬剤を転用した肥料「モリタ1号」を使い、減農薬で育てられた米だ。モリタは消火器や消防車メーカーのモリタグループだ。福岡県で人気の「夢つくし」について、液肥の散布基準を満たした福岡県産米がシャンシャン米・環の名称で販売されている。

なぜモリタが肥料なのか。モリタなら消火器であって、ご飯を食べて消化、ではない。実はモリタグループは循環型社会の実現に向け、廃消火薬剤の再資源化の研究を2000年10月にスタートさせている。その成果がモリタ1号だ。

消火器はおおむね5~10年のサイクルで回収され、消火薬剤は産業廃棄物として処理されていた。消火薬剤の大部分は窒素とリンから構成されており、肥料の主要な3要素の窒素、リン、カリウムのうちの2つを含む。さらに植物の根の成長を促すのに必要な成分のリンは工業生産ができず、日本では原料の100%を海外から輸入している。

しかし消火薬剤は肥料原料として利用しにくい。超微粒粉のため土壌へ撒く時や撒いた後に飛散しやすいこと、防湿加工(水に溶解しない)を施しているので肥料効果に即効性がない、という性質がある。これらを解決し、2002年10月にモリタ1号は農林水産省から副産複合肥料として認可された。

いっぽう福岡県東部、周防灘に臨む築上(ちくじょう)町では1994年から、し尿を有機液状堆肥(液肥)化し農地に還元する「資源循環型農業」を推進している。モリタ1号を液肥に加えることで肥料全体のバランスを改善。協議会で生産する液肥米はシャンシャン米・環としてブランド化され、2003年度から学校給食米として供給しており、地場農産物利用の牽引役になっている。

消火器の例消火器の例

シャンシャン米・環は生産量の絶対量が少ないのでなかなか全国の流通ルートに乗らない。モリタがまれにプレゼント企画を行なったり、近年はふるさと納税の返礼品になることがある。

<取材協力 モリタ>

《高木啓》

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