プジョーは1月6日、欧州市場で販売するミニバンの『リフター』(Peugeot Rifter)を1月から順次、EVバージョンの『eリフター』のみにすると発表した。
◆2021年はプジョーの欧州販売の6台に1台が電動モデルに
eリフターは、日本市場にも導入されているリフターをベースにしたEVだ。標準ボディの2列シート5名乗りと、ロングボディの3列シート7名乗りが設定される。
今回の発表は、プジョーの電動化戦略に沿うものだ。2021年には、欧州で販売されたプジョー車の6台に1台が電動モデルに。欧州向けの全ラインナップのうち、乗用車の75%と商用車の100%に、電動パワートレイン車を設定している。
プジョーブランドのリンダ・ジャクソンCEOは、「プジョーはすでに、電動モビリティの先頭に立っている。プジョーは顧客に適切なオファーを提供しており、電動車両に対する需要は急成長している」と語る。

◆ショートボディとロングボディを設定
eリフターのラインナップは、全長4403mmのショートボディの「スタンダード」と、全長4753mmのロングボディ「ロング」の2種類が設定される。荷室容量は775(ロングは1050)リットル。シートを折りたためば、最大3500(ロングは4000)リットルに拡大する。
Apple「CarPlay」とグーグルの「AndroidAuto」に対応しており、ドライバーはスマートフォンを接続し、その画面を車載スクリーンに表示できる。マルチメディアコンテンツにアクセスでき、スマートフォンと互換性のあるアプリケーションを車両のタッチパッドから直接簡単に制御できるという。
eリフターは都市部を走行する場合、30km/hまでの範囲で人工的な走行サウンドを発する。歩行者など、他の道路利用者に、車両の接近を知らせることができる。

◆1回の充電での航続は最大280km
eリフターのEVパワートレインのモーターは、走行モードによって出力特性が変化する。「ノーマルモード」では、最大出力109hp、最大トルク22.4kgmを発生する。「エコモード」では、最大出力が82hp、最大トルクは18.3kgmに抑えられる。「パワーモード」では、最大出力136hp、最大トルク26.5kgmを獲得する。最大の負荷がかかる条件下でも、快適性とパフォーマンスを向上させるという。0~100km/h加速は11.2秒で、最高速は135kmhとした。
バッテリーはリチウムイオンで、蓄電容量は50kWhとした。1回の充電での航続は、最大280km(WLTP計測)。航続を最大化するために、ブレーキや減速中のエネルギーを回収し、バッテリーに蓄える。センターコンソールの「B」ボタンを押せば、回生ブレーキが強めに作動する。バッテリーは、車両のフロア下にレイアウトされており、荷室の積載性に影響を与えないという。
シンプルな標準ソケットによる充電から、バッテリーの80%を30分で充電できる急速充電まで、3つの充電方式が導入される。家庭での充電は、8Aソケットまたは16Aソケットに対応しており、フル充電に15~31時間かかる。急速充電には、出力7.4~11kWのウォールボックス急速充電ユニットが用意される。フル充電に要する時間は、単相7.4kWウォールボックスで7時間30分、三相11kWウォールボックスで5時間となる。最大出力100kWの充電ステーションで急速充電が行える。蓄電容量50kWhバッテリーの8割を、30分で充電できる。

◆プジョーの「i-Cockpit」を採用
eリフターには、プジョーの「i-Cockpit」が採用される。8インチのタッチスクリーンには「エネルギー」メニューがあり、エネルギーフロー、バッテリーの充電レベル、電費などの情報を表示する。ドライバーは、タッチスクリーンから充電設定が行える。ナビゲーションメニューでは、公共充電ステーションが強調して表示される。
センターコンソールの「eトグルスイッチ」によって、「P、R、N、D」を切り替える。エコ、ノーマル、パワーの3つの走行モードを設定できるセレクターを使用して、トランスミッションを制御する。
スマートフォンにダウンロードした専用アプリを使用すると、バッテリーの充電を遠隔で管理し、車両の充電レベルなどをリモートで確認できる。スマートフォンやタブレット端末から、充電を管理できる。乗車前に空調を最適に設定しておくことも可能だ。「Free2Move」アプリは、フランス本国での充電と駐車を容易にし、22万か所を超える充電ステーションにアクセスできるように支援する。車両の航続とルート沿いに存在する充電ステーションに配慮して、最適なドライブ計画を立ててくれる、としている。
