JR北海道が余市-小樽間の運行受託を示唆…JR貨物は難色 並行在来線問題

函館本線蘭島駅で排雪列車と交換するH100形の普通列車。余市~小樽間ではこのほか塩谷駅があるが、第3セクターで存続する場合、余市町内と小樽市内に1駅ずつ新設する構想もある。
函館本線蘭島駅で排雪列車と交換するH100形の普通列車。余市~小樽間ではこのほか塩谷駅があるが、第3セクターで存続する場合、余市町内と小樽市内に1駅ずつ新設する構想もある。全 2 枚

北海道は1月13日、北海道新幹線並行在来線対策協議会「第11回後志ブロック会議」(2021年12月27日開催)の議事録を公開した。

それによると、出席したJR北海道総合企画本部副本部長から、余市町が鉄道での存続意向を示している余市~小樽間について「仮に運行委託について、当社(JR北海道)にお話をいただくということになった場合には、必要な経費をご負担していただくなど、前提ということではございますけれども、運行委託について検討する用意がある」という発言があったという。

鉄道での存続については第3セクター化の方向性に基づき車両の検査や小樽駅の運営などをJR北海道に委託する案が示されていたが、この発言から自治体が赤字補填に応じればJRによる運行が維持される可能性が出てきた。ちなみに第3セクター化初年度としている2030年度における余市~小樽間の単年度赤字は4億9000万円が見込まれている。

この発言はJR北海道が従来どおり第1種鉄道事業者のままとなるのか、自治体が施設を保有する第3種鉄道事業者となりJR北海道が運行を担う第2種鉄道事業者となるのかについて言及されていないが、今後、さらに詳細な協議が進められると思われる。

また、JR北海道は旧江差線を含む函館~木古内間で運行している道南いさりび鉄道に対して行なっている協力態勢を例に出し「支援のご要請があった場合には、私どもの会社の経営体力で対応できる範囲、ということに限らせていただきますけれども、可能な限り協力する所存で考えております」と述べ、第3セクター化された場合の協力も示唆している。道南いさりび鉄道の路線は五稜郭~木古内間だが、JR北海道の協力により全列車が函館まで乗り入れていることから、条件次第では現行の快速『ニセコライナー』のように札幌への直通が維持される可能性も考えられる。

一方、長万部~小樽間は2000年に発生した有珠山噴火で室蘭本線・千歳線を走る貨物列車の代替ルートとして使われたこともあり、その確保も存廃問題の焦点のひとつとなっているが、この点についてJR貨物に対して行なったヒアリング結果も公表されている。

現在、2000年当時に運用していたDD51形ディーゼル機関車はJR北海道やJR貨物からすべて引退しており、北海道内の貨物列車ではDF200形ディーゼル機関車が運用されているが、同車の入線実績がない長万部~小樽間では技術的な検討や改良工事、それらに要する費用負担が問題となる。そのため、JR貨物からは「災害時においては、貨物列車が通常運行している区間において折返運転と代行トラック等の組み合わせによって代替輸送ルートを構築することを優先的に検討している」という回答があり、事実上、代替ルートとしての利用に難色が示されている。

かつて『カシオペア』を牽引していたJR貨物のDF200形。線路規格が低い線区への入線には改良などが必要なため、長万部~小樽間での運用に難がある。かつて『カシオペア』を牽引していたJR貨物のDF200形。線路規格が低い線区への入線には改良などが必要なため、長万部~小樽間での運用に難がある。

《佐藤正樹》

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