アルピーヌ・ジャポンは東京オートサロン2022において、改良を施された新型アルピーヌ『A110』をワールドプレミアした。受注は2月10日からである。

ルノー・ジャポン副社長であり、アルピーヌ・ジャポンのCOO小川隼平氏は自身が考えるアルピーヌ像を、「そもそもアルピーヌのルーツはレースカーやラリーカーであり、その特徴は軽量、そして正確なハンドリング、これらが生み出すドライビングプレジャーだ」としたうえで、「もっとも大事なのは、かつての初代アルピーヌが備えていたこれらの特徴を余すことなく現代に蘇らせることにこだわり抜き、それを成し遂げたアルピーヌの人達のパッションだ」という。
このパッションこそが、「アルピーヌの本質的な価値であり、私はこのパッションをしっかりとお客様にお伝えすることがアルピーヌブランドにとって最も大切なことだと思っている」とコメント。そして、「より多くの皆様にこのこだわりとパッションを感じていただきながら、アルピーヌのドライビングを楽しんでいただきたい」と述べた。
2018年にデビューした2代目アルピーヌA110は日本での発売以来、「初代A110をご存知のお客様からはアルピーヌの特徴である軽量、軽快といった性能や、オリジナルデザインのDNAが損なわれていないことへの共感を得ることが出来、まさに現代に蘇ったアルピーヌである」と評価されたことと同時に、初代A110を知らないお客様からは、「アルミボディによる軽量さ、前後ダブルウィッシュボーンサスペンションとミッドシップレイアウトのエンジンによるピュアな走りに非常に高い評価を得ている」と初代から受け継ぐ本質的価値が受け入れられたようだ。
昨年の販売台数は、グローバルで2,650台、日本は171台という結果で、「国別の販売台数では、日本は4位と、本国にとって日本は重要なマーケットと位置づけられている」と小川氏。一方で「認知度の拡大が課題」であると指摘した。
今回東京オートサロン2022の会場に展示している新型A110は、「本国から日本への期待もありフランス向けの生産に先駆け、世界で最初に生産されいち早く空輸した車両で、世界で最初の展示となる」と販売台数4位の功績が評価された結果だ。
新型A110には3つのグレードが展開される。それぞれの特徴について小川氏は、「ワインディングでのハンドリングとパワーのバランスを最適化したA110。余裕のあるパワーでハイスピードクルージングを得意とし、洗練されたデザインでまとめられたGT。そしてサーキットなどクローズドコースで本領を発揮するS」だ。
そして新型A110発売記念モデルとして30台限定で、「Sをベースに更なるダウンフォースを生み出すカーボンエアロキットと強大なグリップ性能を持つセミスリックタイヤを装着し、高速域でのパフォーマンスを引き上げたA110Sアセンションを設定」。会場に展示された車両がこのクルマである。

新型A110の主な変更点は、Sはエンジンのチューニング変更により最高出力が292馬力から300馬力へ、最大トルクも320Nmから340Nmへそれぞれ向上。リネージに変わるグレードのGTも同じパフォーマンスのエンジンを搭載し、「これまで以上に刺激的な走りが楽しめるモデルだ」と小川氏。また、要望の多かったインフォテインメントシステムも充実。「新たなマルチメディアシステムを導入し、Apple Car Play、Android Autoに対応」。2月10日から受注を開始する。
アルピーヌ・ジャポンとして2022年、新たに札幌、水戸、平塚、枚方に販売拠点を5月に開設。この4拠点は既存のルノー販売店に併設する店舗で、「アルピーヌポイントという名称になる」。そして15店の既存店舗は新たにアルピーヌセンターという名称に変更。全国19店舗の展開により、「これまで以上にお客様からの要望に応えられる販売網となり、今年は昨年以上の販売台数を目指す」と意気込みを語った。
最後に小川氏はアルピーヌのレース活動について紹介。アルピーヌは昨年からルノーグループの新戦略、ルノーリューションに沿ってルノーグループのスポーツの領域を全て受け持つこととなった。これは、「グループがアルピーヌを本格的なスポーツブランドとして育て、グループのイメージを牽引する役割を担わせるということ」と説明。この役割の再定義を受け、アルピーヌがこれまで参戦してきたルマンをはじめとする耐久レースに加え、昨年からF1への挑戦を開始。その挑戦1年目となる昨年、早くもハンガリーグランプリで優勝。コンストラクターズランキングで5位という成績を収めた。

同じく昨年から挑戦を開始したラリーでは、RGTクラスでチャンピオンを獲得。日本では今シーズンの全日本ジムカーナ選手権に5年連続でチャンピオンを獲得している山野哲也選手がA110で参戦しチャンピオンを狙うことになった。