三菱 ヴィジョン・ラリーアート はオフではなくオンロード表現…東京オートサロン2022[インタビュー]

東京オートサロン2022 三菱 ヴィジョン・ラリーアートコンセプト
東京オートサロン2022 三菱 ヴィジョン・ラリーアートコンセプト全 11 枚

三菱自動車は『アウトランダーPHEV』をベースとしたコンセプトモデル、『ヴィジョン・ラリーアートコンセプト』を東京オートサロン2022に出展。ラリーアートの今後を占うというこのモデルのデザインについて話を聞いた。

三菱デザイン本部プログラムデザインダイレクターの山根真さん三菱デザイン本部プログラムデザインダイレクターの山根真さん

◆ラリーアートの可能性を示唆するもの

----:ヴィジョン・ラリーアートコンセプトは、ベースモデルからディテールを含めデザインが変更されている部分が多々見受けられます。まずはデザインのコンセプトから教えてください。

三菱デザイン本部プログラムデザインダイレクターの山根真さん(以下敬称略):まずデザインのお話の前に、このコンセプトモデルは三菱のモノづくりのパッションが作り上げたものだということを申し上げておきます。

こちらは次の世代のラリーアートの可能性を示唆するために出展した、スタディのためのコンセプトカーです。これまでラリーアートは世界のラリー選手権であるとか、パリ・ダカールラリーなどで輝かしいレース参戦の歴史、ヘリテージがあります。今回展示している市販車のラリーアートたちは、そのラリーからインスパイアされたカラーリングや、そういったヘリテージを感じさせるものになっているんですけれども、このコンセプトモデルのデザインは、そことは分けまして、そういった時代のラリーアートを知らない若い人たちや、そういう世代の人たちにも魅力的に感じてもらえるのではないかと、全く新し方向を描いています。

東京オートサロン2022 三菱 アウトランダーPHEVラリーアートスタイル東京オートサロン2022 三菱 アウトランダーPHEVラリーアートスタイル

具体的には、ラリーは舗装されてない道を走りますけど、こちらはオンロードを考えています。あとはラリーのステッカーですとかラリーカーのカラーリングではなく、上質でありながら迫力、圧倒的な存在感と力強さをデザインで表現しました。

ですので、マットトブラックで、存在感と凄み、上質感を演出しています。実はただのマットブラックではなくて、光が当たったところに少しブルーの輝きがあったりします。そういったところでさりげない上質感を表現した色で、かなりこだわっています。

東京オートサロン2022 三菱 ヴィジョン・ラリーアートコンセプト東京オートサロン2022 三菱 ヴィジョン・ラリーアートコンセプト

そして、片側約50mmのオーバーフェンダーを装備して、22インチのタイヤを履かせました。フロントは対向6ポッドのキャリパーをつけて、フロントバンパーとリアバンパーを完全に新しいものにすることで、新しいラリーアートの世界観を追求しようとしています。

◆勝ちへのこだわりは共通

----:その新しいラリーアートの世界観とはどういうものですか。

山根:まずはラリーやラリーの歴史からインスパイアされたものとは、ちょっと切り離したいんですね。ただモノ作りとして“勝つ”、“ウィン”へのこだわり、それはレースで勝つだけでなく、品質や、デザインなども含めて、これを持っていれば負けない、勝つという情熱や、そういったモノ作りへのこだわりを守りながら、ラリーとは違うところで、新しいラリーアートを目指しています。

ただし、実は隠し味も持たせました。ラリーから継承してるものですが、それはボディサイドのステッカ―なんです。これは、は砂埃をデジタルなイメージで表現しています。さりげなくラリーで走っているイメージをここに残しました。基本的には舗装されてない道を走破するというよりはオンロードで存在感を発揮するデザインにはなっているのですけどね。

東京オートサロン2022 三菱 ヴィジョン・ラリーアートコンセプト東京オートサロン2022 三菱 ヴィジョン・ラリーアートコンセプト

----:両方の方にウケないと意味がないと思いますので、砂埃のところで昔のラリーアートファンにとってはワクワクさせてという感じがありますよね。

山根:そうですね。

----:エクステリアではホイールも全く違っていますよね。

山根:ホイールのデザインは、ラリーアートのマークにある線にインスパイアされたデザインになっています。

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それからフロントはバンパー、グリルを全部変更し、グリルの部分はアクリルの中に、ハニカム形状を取り入れました。このハニカムは力強さの表現で、次第に上向くにしたがって、面が変化していくグラデーションを作っています。この中でテクノロジー感も表現しました。これはPHEVですので、いままでの内燃機関のラリーカーと違って、これから電動化に向けて新しいスポーツ表現、電動化とパフォーマンスの両立を考えていかなければいけませんので、そういったテクノロジー感をデザインで出来るだけ表現しようとしているのです。このグリルはそういう表現のひとつです。

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下のデフューザーはリアと同じデザイン表現なんですけれども、メッシュの金属を入ることによってパフォーマンス感と新しいデザインの表現をスタディしています。

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----:リア回りも変更されてますね。

山根:リアバンパーを変更しています。大きなデフューザーを使うことでスポーティ、レーシーな雰囲気を出しています。メッシュも新しいアーティスティックなデザインの表現なのですけども、この中にエキゾーストがさりげなく見えるようにしています。このクルマはPHEVですから電動化とともにガソリンエンジンもありますので、その両方を表現しているのです。

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----:デフューザーの穴の開け方もグラデーションになっていますね。

山根:これもこだわったところです。フロントグリルグリルのグラデーションと同様にただの網ではなくグラデーションにしています。

◆三菱全体をけん引していくのがラリーアートになれば

----:新しい三菱のデザインフィロソフィー(ロバストアンドインジニアスやダイナミックシールドなど)は当然アウトランダーPHEVで表現されていますが、このヴィジョン・ラリーアートコンセプトとしても取り入れているのでしょうか。

山根:基本的にはダイナミグシールドは、フロントグリルを両側からガシっとつかんでいるというところから、力強さや守られているという表現をしています。それはボディ全体にも必ずあって、スタンスの良さや力強さは、常に特にこのクルマの存在感の圧力を出すためは留意しています。

----:今後、色々なクルマのラリーアートのデザインをして行くと思うのですが、そこに1番込めたい思いはどういうものでしょう。

山根:三菱としてモノ作りの情熱が最もそこに表現されているものにしたいですね。上位モデルとしてそれを表現して三菱全体をけん引していくモデルになればいいと思っています。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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