『CX-50』が日本になくても嘆く必要なし? 「CX-5フィールドジャーニー」との共通点とは

マツダ CX-50
マツダ CX-50全 12 枚

マツダはマイナーチェンジした新型『CX-5』を昨年12月上旬に発売した。アメリカでは22年モデルとして、1月から新しいCX-5の販売が始まっている。一方、それに先立つ11月、アメリカで『CX-50』をオンライン発表。こちらはアメリカで生産する北米向けの新型SUVで日本で販売される可能性はほぼゼロだが、そのことを嘆く必要はない…のかもしれない。

新型CX-5とCX-50の共通点

マツダ CX-5 フィールドジャーニー(ジルコンサンドメタリック)マツダ CX-5 フィールドジャーニー(ジルコンサンドメタリック)

「洗練」をキーワードに17年に2代目にモデルチェンジしたCX-5は、新しい時代のファミリーカーとしてその立場を確立。さらに商品改良で「熟成」を重ねてきたが、今回のマイナーチェンジでは基本性能をさらに磨きつつ、需要層の幅を広げる進化を遂げた。

その「幅」を象徴するのが「フィールドジャーニー」、「スポーツアピアランス」、「エクスクルーシブモード」という3つの個性際立つ特別仕様車だが、なかでも注目すべきはアウトドア指向の「フィールドジャーニー」だろう。ファミリーカーになったCX-5が、改めてSUV本来の魅力を問い直す存在が「フィールドジャーニー」だ。

マツダ CX-5 に搭載されたMi-Driveマツダ CX-5 に搭載されたMi-Drive

新型CX-5には新たに「Mi-Drive(ミードライブ)」と呼ぶドライブモードが設定されているが、そこに「オフロード」のモードを持つのは「フィールドジャーニー」だけ。状況に応じてセンターデフの締結力を強めるなど、悪路走破性を高めてくれる。そう言えば北米のCX-50も、少なくともオンライン発表会で披露されたグレードはMi-Drive(北米ではエムアイドライブと呼ぶ)を備え、その性能を動画でアピールしていた。

もうひとつの共通点は「ジルコンサンド」という新色のボディカラーである。いわゆるアースカラーのベージュ~カーキ系で、マツダでは珍しくオフロードの匂いが強く漂う色だ。新型CX-5では全グレードでこれを選べるが、なかでも「フィールドジャーニー」のイメージカラーとして扱われている。そしてオンライン発表されたCX-50も、このボディカラーを纏っていた。

アメリカにはフィールドジャーニーがない

マツダCX-50マツダCX-50

なんだかフィールドジャーニーとCX-50は同じ方向を向いているような? 新型CX-5の椿 貴紀チーフデザイナーに問いかけると、「そうですね」と即答、そして次のように打ち明けてくれた。

「CX-5のフィールドジャーニーは北米では販売しません。北米のCX-5は従来と同様に洗練された都会派のSUVとしての役割を担い、日本などCX-50を投入しない市場ではフィールドジャーニーでアウトドアを訴求していく。逆にいうと、北米のCX-50はアウトドアに特化したクルマ。マツダのなかでもちょっと特異な存在になると思います」

開発全体をとりまとめた商品本部の松岡英樹主査も、「アメリカではアウトドア指向の広がりが大きいので、そこに専用車(CX-50)を出す。だからアメリカのCX-5にはフィールドジャーニーがないんです」。

なにしろCX-50は全幅が2mに迫る。日本では持て余しそうなサイズだ。しかし日本の新型CX-5には、同じアウトドア感覚を適正サイズに詰め込んだフィールドジャーニーがある。となれば日本でCX-50を買えないことを嘆くには及ばないだろう。ジルコンサンドはCX-50でもイメージカラーだけど、内装のライムグリーンの差し色はフィールドジャーニーだけの個性だしね。

マツダ CX-5 フィールドジャーニーマツダ CX-5 フィールドジャーニー

《千葉匠》

千葉匠

千葉匠|デザインジャーナリスト デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。日本自動車ジャーナリスト協会=AJAJ会員。日本ファッション協会主催のオートカラーアウォードでは11年前から審査委員長を務めている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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