パワーアンプを豪勢に使うシステム構築術[ハイエンド・カーオーディオへの誘い]

「ハイエンドパワーアンプ」にて「マルチアンプシステム」が組まれているオーディオカーの一例(製作ショップ:LCサウンドファクトリー<栃木県>)。
「ハイエンドパワーアンプ」にて「マルチアンプシステム」が組まれているオーディオカーの一例(製作ショップ:LCサウンドファクトリー<栃木県>)。全 8 枚

理想のサウンドを追求するという楽しみ方、すなわち「ハイエンド・カーオーディオ」の魅力を紐解いている当特集。第7回目となる当回では、スペシャルなシステム構築術にスポットを当ててみる。その名は、「マルチアンプシステム」だ。

【画像全8枚】

「マルチアンプシステム」ではパワーアンプを贅沢に使用する。それが音に効く!

より高音質なシステムを作り上げようとするときには、この「マルチアンプシステム」が組まれることが多い。つまりこれも「ハイエンド」な鳴らし方、というわけだ。

では「マルチアンプシステム」とは何なのかを説明していこう。これつまり、「パワーアンプの1chずつをスピーカーユニットの1つずつにあてがうシステムレイアウト」のことを指す。

普通は、フロントの左右のスピーカーはパワーアンプの2chを使って鳴らされる。スピーカーがセパレート2ウェイであっても、そのようにするのが基本形だ。対して「マルチアンプシステム」では、セパレート2ウェイスピーカーを駆動する場合には、パワーアンプの4ch分の出力が使われる。計4つあるスピーカー(左右のツイーターと左右のミッドウーファー)のそれぞれにパワーアンプの1chずつがあてがわれることとなるからだ。

このように「マルチアンプシステム」では、パワーアンプがより贅沢に使われる。例えばメインユニットの内蔵パワーアンプにて「マルチアンプシステム」を組む場合には、内蔵されているパワーアンプの4chすべてがフロントスピーカーを鳴らすのに使われることとなり、リアスピーカーは鳴らせなくなる。このようにせっかく付いているリアスピーカーを殺すことになってしまうわけだが、そうまでしても「マルチアンプシステム」が実行されるのはなぜかと言うと…。

答はズバリ、「音的に有利だから」だ。利点は主に2つある。1つは「詳細なサウンドチューニングを行えること」で、もう1つは「スピーカーをよりトルクフルに駆動できること」だ。

「マルチアンプシステム」なら、ツイーターとミッドウーファーの個別制御が可能に!

それぞれがどういうことなのかを詳しく説明していこう。最初に「詳細なサウンドチューニングを行えること」について。

まず、家庭用のスピーカーをイメージしてほしい。ホームオーディオ用のスピーカーにも2ウェイ仕様のモデルが多々あるが、そうであってもツイーターとミッドウーファーは1つのスピーカーボックスに装着されている。なので、それぞれから放たれる音が同時に耳に届く。しかしカーオーディオではツイーターとミッドウーファーの取り付け位置が異なるケースがほとんどだ。結果、それぞれの音の到達タイミングがズレてステレオイメージの再現性が落ちたり、また、高音と中低音の繋がり感が悪くなったりする。

しかし「マルチアンプシステム」を構築すると、ツイーターとミッドウーファーの個別制御が可能となる。パワーアンプの前段に置く「プロセッサー」にてあらかじめ信号を分割することとなるからだ。よって、分割した信号のそれぞれに各サウンドチューニング機能を効かせられる。結果、装着位置のズレを擬似的に揃えることが可能となり、ツイーターとミッドウーファーの音の繋がり感も上げられる。

そしてもう1つの利点である「スピーカーをよりトルクフルに駆動できること」の意味合いは以下のとおりだ。パワーアンプの1ch分の力をダイレクトに各スピーカーへと伝えられるようになるので、パワーアンプの1chでツイーターとミッドウーファーの両方を鳴らすときと比べて余裕を持ってスピーカーをドライブできる。このことが如実に音に効いてくる。スピーカーは同じなのに、音の質が確実に良化する。

「マルチアンプシステム」には、手頃なタイプから豪華版までさまざまある!?

ところで、「マルチアンプシステム」にはタイプ違いがいくつかある。まず1つ目として、先述したとおり「メインユニットにて行うタイプ」がある。メインユニットの中には高度な「プロセッサー」が内蔵されているモデルがあり、そうであると内蔵パワーアンプの4chすべてを使ってフロント2ウェイスピーカーを鳴らせるようになる。

2つ目は、「パワーアンプ内蔵DSPにて行うタイプ」だ。プロセッサーとパワーアンプが一体化されている製品が多々あり、これを導入すればこれにて「マルチアンプシステム」を完成できる。

そしてもう1つ、「単体DSP+外部パワーアンプにて行うタイプ」もある。なお、もっとも「ハイエンド」的なのはこれだ。以前の記事でも説明したとおり、外部パワーアンプの中には高級機がさまざまあり、より徹底的に音にこだわれる。

ちなみに、「単体DSP+外部パワーアンプにて行うタイプ」の「マルチアンプシステム」を組む際には、モノラルパワーアンプが使われることもある。そうすると、各スピーカーを鳴らすための回路が個別化されるので、ch間での信号の干渉が起きにくくなる。かくして、より良好な状態で「マルチアンプシステム」を構築できる。

ちなみに国産ハイエンドブランドのビーウィズでは、モノラルタイプのプロセッサーもラインナップしている。それを活用すると、信号の制御の段階から各chの回路を個別化させられるので、chセパレーションが究極的に向上する。該当モデルは相当に高級機なのでおいそれとは手を出しづらいが、そのような超「ハイエンド」な方法論も存在している。

今回は以上だ。次回も「ハイエンド・カーオーディオ」についての解説を続行する。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

パワーアンプを豪勢に使うスペシャルなシステム構築術がある!? 魅惑の「ハイエンド・カーオーディオ」への誘い 第7回

《太田祥三》

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