フィアット デュカト、キャンパーベースとしてデビュー…ジャパンキャンピングカーショー2022

フィアット・デュカト(ジャパンキャンピングカーショー2022)
フィアット・デュカト(ジャパンキャンピングカーショー2022)全 13 枚

FCAジャパンはジャパンキャンピングカーショー2022においてフィアットの商用車、『デュカト』をデビューさせた。価格は469万円から。

FCAジャパン代表取締役社長兼CEOのポンタス・ヘグストロム氏FCAジャパン代表取締役社長兼CEOのポンタス・ヘグストロム氏

◆キャンパーのベース車両として

「デュカトは伸長著しい日本のキャンピングカーセグメントに向けて、フィアットが満を持して放つ新製品だ。我々にとって初めてのパートナーや顧客と接することになる」とプレゼンテーションを始めるのは、FCAジャパン代表取締役社長兼CEOのポンタス・ヘグストロム氏だ。そして、「新たに商用車を市場投入することは、日本のインポーターに前例はない(FCAジャパン調べ)」という。にも関わらず参入するのはなぜか。ポンタス氏は、「デュカトは40年もの長きにわたってヨーロッパの商用車セグメントで高い評価を受け、RVのベース車両の地位を独占してきた。そのチャンピオンたるデュカトは日本のRV業界に一石を投じる風雲児になると確信しているからだ」と述べ、「ヨーロッパで圧倒的なセグメントリーダーとして7割のシェアを誇るデュカトは、国内で増え続けるキャンピングカーの需要に最適な一台だ」と話す。

導入タイミングも、「まさにパーフェクトだ。キャンピングカーの需要は拡大しており、昨年は日本だけでなく 北米やヨーロッパでも過去最高の販売台数を記録。これはコロナ禍がもたらしたもの。人々はクルマが可能にする安全・安心なモビリティに新たな価値を見出したのだ。自分の住んでいる国や仕事場としてのクルマを再発見した人もいるだろう」とコメント。さらに、「消費者や業界の方々と話すと、このトレンドは続くと確信でき、コロナ禍が過ぎてもキャンピングカーのあるライフスタイルは多くの世代から支持されるだろう」と今後の見通しも明るいという。

導入にあたり、「これまで数千時間を投じて日本でテストを重ね、商品力を高めてきた。競合と徹底的に差別化を図り、オーナーの皆さまに唯一無二の体験を提供する」と自信を見せた。

◆B2Bビジネスを基本に

販売に関してポンタス氏は、「ビジネスモデルは基本的にB2B。他に類のない製品であり、自社内での競合は一切なく、むしろ既存・新規を問わず新たなビジネスチャンスを創出してくれる存在だ」とし、「デュカト販売網の構築にあたり、既存のディーラーのとの話し合いはもちろん、このジャパンキャンピングカーショーの会場に参加されている各社とも話し合いの場を持てれば」と期待を語る。

またデュカトは、「キャンピングカーの素材として国産、輸入の枠を超え断トツで最適解だ。デュカトなら広大な室内スペースを使って、用途に合わせていかようにも無限大の選択肢から選べる」とその多様性を強調。快適性に関しても、「キャブオーバーを採用する国産の多くは運転席の居住性に課題が多く、またエンジンノイズや振動の問題もある。しかしデュカトはエンジンを前に置くデザイン(ボンネットタイプ)で、比類なき快適性と安全性を約束する」と話す。さらに、ボンネットタイプであることから、「コックピットからの優れた視認性を確保しつつ、小さな最小回転半径も実現しており、日本のように道が狭く細い路地なども多い場所で威力を発揮するだろう。デュカトは道が狭いことで有名なイタリアで開発され、そこで40年以上に渡って愛され続けてきている」と実用性も高いことを説明した。

◆今後は宅配ビジネスシーンにも

キャンパー市場だけでなくデュカトは宅配に関しての市場に向けても展開する、ポンタス氏は、「コロナ禍で宅配業界も大きく伸長。我々がデュカトで培ったものを日本のこの分野で開花させたい」という。

「爆発的な宅配需要の伸びは人材不足という問題を引き起こした。良いとはいえない労働環境がその一因だ」と述べ、デュカトは、「この分野でも革命を起こす。運転の快適さやウォークスルー機能、安全性能などドライバーに快適な職場と事業者に生産性向上をもたらす」とコメントする。例えば、日本向けのデュカトは270度まで横に開くリアゲートと、サイドスライディングドアが装備されることから、「フォークリフトで直接パレットを積載が可能だ」。

フィアット・デュカト(ジャパンキャンピングカーショー2022)フィアット・デュカト(ジャパンキャンピングカーショー2022)

またデュカトは、「ピープルムーバーとしての利用も可能で、8人、9人、16人乗りレイアウトから選べ、用途に応じてデュカトの内部をいかようにもアレンジできる」という。その結果、「ホテルの送迎、スクールバス、レンタカーなど、ドライバーもパッセンジャーも広い室内で快適なドライビングエクスペリエンスを満喫できる」とポンタス氏。「やがて日本にも観光客が戻ってくるだろう。イタリアンデザインをまとい、4つのグレードから選べるトリムによって、デュカトは観光客に楽しんでもらい、かつドライバーにも楽しんでもらいたい」と述べる。

そのほかにも、「トラックや宅配用のバン 救急車や、緊急車両にロードアシスタンス、トランポに平台のトラック代わり。他にもたくさん用途があるはず」とその可能性は高い。ポンタス氏は、「創造力とクラフトマンシップ旺盛な日本のお客様がどのような使い道を見つけるのか楽しみだ」と話す。

フィアット・デュカト(ジャパンキャンピングカーショー2022)フィアット・デュカト(ジャパンキャンピングカーショー2022)

◆ベストセラーカーの理由

デュカトは昨年欧州でおよそ15万台を販売。その理由のひとつは、「現在販売されているどの車両よりも設定やアレンジの選択肢が豊富なこと」だという。「ドュカトには1万通りを超えるインテリアのアレンジがあり、また、改善が加えられ続けているドライブトレーンや、快適性に安全性 そこにイタリアンデザインが加わることで常に競合の一歩先を行く一台なのだ」。

さて、フィアットの商用車部門でデュカトを手掛けるフィアットプロフェッショナルのモットーは、“40年以上に渡るイノベーション”だ。それを踏まえ日本導入にあたり、「イタリアのスタイリッシュなデザインが施された3つのボディタイプを用意し、日本向けに右ハンドルは当然、スペックや仕様もすべて日本の規制に合致している」とあくまでも日本市場を見据えた設定にいなっているという。

フィアット・デュカト(ジャパンキャンピングカーショー2022)フィアット・デュカト(ジャパンキャンピングカーショー2022)

エントリーグレードは全長5.4メートル、全幅2メートル 全高2.5メートルで、室内容積は11.5立方メートルで、「ここから長さと高さを拡大できる」。

フィアット・デュカト(ジャパンキャンピングカーショー2022)フィアット・デュカト(ジャパンキャンピングカーショー2022)

パワートレインは、2.2リットルMULTIJET3ディーゼルエンジンで180HP、450Nmを発揮。9速ATが組み合わされる。

フィアット・デュカト(ジャパンキャンピングカーショー2022)フィアット・デュカト(ジャパンキャンピングカーショー2022)

前席は“キャプテンシート”と呼ばれるシートを標準装備。最大180度回転するこのシートはキャビンのレイアウトに柔軟性を持たせRVにも商用にも対応する。また、乗用車に準ずるダッシュボードには10.1インチのタッチスクリーンディスプレイを標準装備。3次元マップを搭載したナビや、ドライバー支援機能、Apple Car PlayやAndroid Autoに対応したインフォテインメントシステムを搭載している。

フィアット・デュカト(ジャパンキャンピングカーショー2022)フィアット・デュカト(ジャパンキャンピングカーショー2022)

日本向けの生産は今年の第2四半期からスタートし第3四半期にはデリバリーを開始。年末までには納車が開始される予定だ。また、デュカトの発売に合わせてサービス網も立ち上げられる。当然のことながらメーカー保証を付帯し、パーツも国内に在庫するよう進めていくとのことだ。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  2. 高機能ヘルメットスタンド、梅雨・湿気から解放する乾燥ファン搭載でMakuake登場
  3. 最後のフォードエンジン搭載ケータハム、「セブン 310アンコール」発表
  4. 船上で水素を製造できる「エナジー・オブザーバー」が9年間の航海へ
  5. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
ランキングをもっと見る