FCAジャパンが「ジャパンキャンピングカーショー2022」において、フィアットプロフェッショナルが製造する『デュカト』の日本導入を発表した。
デュカトはもうヨーロッパで40年以上も生産されている商用車の筆頭モデル。キャンパーベースということになると、そのシェアは圧倒的で、今回のショーでデュカトベースのモデルを出展していた企業に話を伺うと、ヨーロッパにおいてキャンピング仕様の9割近くはデュカトベースじゃないか?ということだった。
そんなキャンピングカーのベースとなり得るデュカトの日本導入は、高級キャンピングカー市場に異変を起こす可能性がある。というのも値段が値段だけに決して数が出るモデルとは言いにくいヨーロッパ生まれのデュカトベースキャンピングカーはコロナの影響もあってか、このところ静かにその売れ行きが向上しているというのだ。

デュカトベースのモデルを輸入販売している多くの企業が口を揃えて話すのは、『カムロード』ベースの日本製キャンピングカーに比べて圧倒的に乗り心地が良く、ドライバーズシートの作りなどもよいということ。今回日本に導入されるデュカトも回転式のキャプテンシートを標準装備している。ご存じの通り商用車と言えどもヨーロッパ製は一様に快適で乗り心地が良く、トヨタ『ダイナ』ベースのカムロードと比べればその差は顕著なはず。それにデザイン的にもキャブオーバースタイルよりもぐっとスタイリッシュである。
会場には多くのデュカトベースのモデルが輸入販売されていて、中にはボディも全く異なるモデルの展示もあった。価格的には1000万円~1500万円程度が中心で、大半のモデルはヨーロッパで仕上げられたモデルを日本に導入しているケースが多く、今回のショーでベースモデル(シャシー)を輸入して日本でキャンパーに仕立てる作業を行っていたのは、VANTECH株式会社のものだけだった。このほか日本で一番デュカトベースのモデルを販売しているのではないかという株式会社デルタリンクでは顧客のニーズに応え、幅広い価格帯のアドリアというブランドのモデルを取り揃えていた。

老舗の東和モータースではデスレフ、サンライトなどのブランド名を持つデュカトベースのモデルをドイツから輸入しているが、すべて右ハンドル車であることが大きな特徴である。このほかイギリスのスイフトを扱うトーザイアテオ株式会社など、デュカトベースの輸入キャンピングカーはこのショーでも輸入車として圧倒的シェアを占めていたのである。
今回デュカト導入を決めたFCAのCEO、ポンタス・ヘグストロム氏もJRVA(日本RV協会)のメンバーと法人向け供給の話をしたいと話していた。完全日本仕様として導入されるFCAのデュカトはもちろん右ハンドル仕様だし、日本の法令をすべて満たし、日本のナビゲーションシステムやワイヤレスチャージングなども標準装備する。さらにADAS装備も充実し商用モデルでありながらいわゆるフル装備の状態である。そしてこの状態で車両価格は469万円からとかなりリーズナブルな設定となっている。
カムロードベースのキャンピングカーでも新車で買えば1000万円超えがざらにある中で、快適でフル装備のデュカトベースが今後登場してもおかしくない。だから高級キャンピングカー市場に異変が起きるかもしれないのである。