VW up!のEV、受注を1年ぶりにドイツで再開…最大1年4か月の納車待ち解消

2020年末に『e-up!』の新規受注を一時的に停止

1回の充電での航続は最大258km

80%のバッテリー容量をおよそ1時間で充電

ドイツ本国では最大9570ユーロの補助金

フォルクスワーゲン e-up!の「スタイル・プラス」
フォルクスワーゲン e-up!の「スタイル・プラス」全 8 枚

フォルクスワーゲンは2月18日、コンパクトEVの『e-up!』(Volkswagen e-up!)のドイツ本国での受注を、およそ1年ぶりに再開した、と発表した。

写真:フォルクスワーゲン e-up!

◆2020年末に『e-up!』の新規受注を一時的に停止

e-up!は、フォルクスワーゲンの新世代コンパクトカー、『up!』のEVバージョンだ。2013年秋のフランクフルトモーターショー2013でデビューした。2019年には、デビューから6年を経て、大幅改良を受けた改良新型が欧州で発表されている。

e-up!に対する需要はここ数年急増しており、ドイツでの納車待ちの期間は、最大1年4か月に延びた。このため、フォルクスワーゲンは2020年末、e-up!の新規受注を一時的に停止した。

フォルクスワーゲンは、このバックオーダーに対応するために、2021年にe-up!の生産体制を強化した。そして今回、およそ1年ぶりにドイツでのe-up!の受注を再開した。ドイツに続いて、他のヨーロッパ市場でも受注を徐々に再開していくという。

◆1回の充電での航続は最大258km

最新のe-up!では、床下にレイアウトされるリチウムイオンバッテリーの蓄電容量を18.7kWhから32.2kWhへ、7割以上大容量化した。これにより、1回の充電で航続は、最大160kmから258km(WLTPサイクル)へ、6割以上拡大している。

バッテリーは、車両の床下の低い位置に搭載された。フォルクスワーゲンによると、低重心により、運転する楽しさを追求しているという。リチウムイオンバッテリーにはフォルクスワーゲンによる新車登録から8年間、または走行16万kmの保証が付帯している。

フロントアクスルに置かれる小型モーターは、最大出力83ps、最大トルク21.4kgmを発生する。動力性能は、0~100km/h加速が11.9秒、最高速が130km/h(リミッター作動)となる。

◆80%のバッテリー容量をおよそ1時間で充電

出力40kWの急速チャージャーを利用すれば、80%のバッテリー容量をおよそ1時間で充電できる。出力7.2kWの場合、80%のバッテリー容量を充電するには、4時間強かかる。

充電プロセスは、標準装備される「maps + more」多機能アプリを利用して、スマートフォンで充電予約や、充電の開始と停止が行える。このアプリは、空調システムを遠隔操作するためにも利用でき、乗車する前に室内の空調を最適に作動させておくことができる。

ドイツ本国で受注を再開したe-up!の「スタイル・プラス」グレードには、レーンデパーチャーワーニングシステムの「レーンアシスト」、「クリマトロニック」エアコン、レザートリムマルチファンクションステアリングホイール、15インチの「ブレード」アルミホイールなどを標準装備した。さらに多くの機能やパーソナライズオプションが選択できる。

◆ドイツ本国では最大9570ユーロの補助金

e-up!のスタイル・プラスグレードのドイツ本国でのベース価格は、2万6895ユーロ(約350万円)に設定した。ドイツでは、「環境ボーナス」として、e-up!の購入者は、総額で最大9570ユーロ(約125万円)の補助金が受け取れる。

生産体制を強化した結果、2021年には、ドイツで3万0800台のe-up!が納車された。この効果もあって2021年、フォルクスワーゲンブランドは、ドイツのEV販売で2位につけた。e-up!の世界累計販売台数は、8万台を超えている。

フォルクスワーゲンは現在までに、全世界で50万台以上のEVを販売してきた。この数字には、2021年に登録された26万3000台のEVが含まれる。フォルクスワーゲンは「ACCELERATE」戦略の一環として、EVの割合を2030年までに、欧州で少なくとも70%に引き上げる計画だ。これは、実質的に年間100万台を超えるEVを販売することになる、としている。

《森脇稔》

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