愛知県豊橋市に、バスの来ないバス停があるという。このバス停は、認知症の人やその家族が集う認知症カフェ「アンキカフェ(神野新田町ワノ割)」の敷地の一角にあるが、いくら待ってもバスが来ることはない。
その理由は、認知症の人がバスに乗って遠くに行ってしまい、行方不明になってしまうのを防ぐためだ。認知症の人がバスに乗ろうとするのには、明確に自分の意思があることがほとんどだそうだ。「家族に会いに行きたい」、「家に帰りたい」といった目的だ。しかし、認知症の人は5分ほど経つと、自分が何をしたかったのか忘れてしまうことが多いため、「いったんこのバス停で待ってみましょう」とうながし、落ち着くまで過ごす場所として利用されている。
「行きたい」という意思を尊重するために考えられたこのバス停は、設置の趣旨に賛同した豊橋鉄道が、かつて使用されていた本物のバス停をアンキカフェに譲渡して実現した。
豊橋市では、企業や団体による認知症への取り組みなどを共有し、認知症になっても安心して暮らせるまちをめざして、定期的に「認知症まちづくり報告会」を行なっている。次回は3月13日に開催を予定、バスの来ないバス停を設置している認知症カフェと、豊橋鉄道地元が認知症への取り組みを報告する。
報告会はオンラインで実施、事前に豊橋市ホームページより申し込みが必要。
![アンキカフェ・バス停](https://response.jp/imgs/fill2/1729156.jpg)