最後のV8ハイパフォーマンスSUV!? ジャガー『F-PACE SVR』を二人のレーサーがクロス試乗

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ジャガー F-PACE SVRにレーサー松田秀士と猪爪杏奈が試乗
ジャガー F-PACE SVRにレーサー松田秀士と猪爪杏奈が試乗全 58 枚

スポーティさを謳うSUVは今や決して珍しくないが、佇まいの品良さから走りの質までヘリテイジとして自然に備わる、そんなSUVは貴重といえる。ジャガー『F-PACE SVR』はまさにそうした一台。これ見よがしではないのに、芯の通った力強さが漲る。

今回はF-PACE SVRの本質に迫るため、袖ヶ浦フォレストレースウェイで世代の異なる二人のレーサーが試乗し、その印象を語り合った。一人はインディ500をはじめF3000やSUPER GTなど国内のトップカテゴリー、世界中の24時間レースに出場経験をもつ松田秀士と、もう一人はTCRやスーパー耐久で活躍する現役女子レーサーの猪爪杏奈。まずF-PACE SVRの外観を眺めつつ、話はデザインから始まった。

「ギャップ萌え」するF-PACE SVRのデザイン

ジャガー F-PACE SVRジャガー F-PACE SVR

猪爪杏奈(以下、猪爪):F-PACE SVRは、伝統を踏まえつつ少しヒネりがあって、さりげなく違うという印象です。もう一台試乗したスポーツクーペの『F-TYPE R』と比べると、F-PACE SVRの方が見た目に落ち着き感があります。マットなブリティッシュレーシンググリーンのボディカラーも純粋にカッコいいですね。

松田秀士(以下、松田):確かに、ロングノーズ・ショートデッキでFRらしさを主張するF-TYPEの方が、伝統的にも見える。F-PACE SVRはSUVなのにAピラーが寝かせ気味で、四肢を強調するキャラクターラインやプロポーションが、同グループ内でレンジローバー/ランドローバーとの棲み分けとはいえ、巧いよね。でもノーズやグリルといった細部では、ひと目でジャガーと分かる。

ジャガー F-PACE SVRジャガー F-PACE SVR

猪爪:コクピットに座り込んだ時の感触も、F-TYPEは「やっぱりスポーツカーだな」と感じますが、F-PACEの方は広いのにステアリングが太いとか、スポーツカーの要素が盛り込まれていて意外性がありますね。パワーもありそうで、ギャップ萌えしました。

松田:V8の5リットルスーパーチャージャーで最高出力550psに最大トルクが700Nmだから、現実にパワーもトルクも十分にあるよね。多少ピークが絞られて特性も異なるけど、F-TYPE Rと限りなく近いユニット。スーパーチャージャー特有の一瞬のラグはあるけどターボほどじゃないし、雨の中でも扱いやすいスムーズさと力強さが際立っていた。対してエキゾーストノートは、増幅回路をオンにせずとも中~高回転域では野性味ある音質で、古典的なジャガーらしさだったね。

ジャガーらしい粘り強く緻密なスポーツパフォーマンス

ジャガー F-PACE SVRジャガー F-PACE SVR

松田:僕は今回、サーキットでジャガーに乗るということで、グループCの最後の頃、鈴鹿でシルクカット・ジャガーとコース上で相まみえた記憶が甦った。ジャガーって、ブランドとして華があるんだけど、走りは緻密極まりないんだよね。F-PACE SVRは、ウェット路面なのに、袖ヶ浦よりもっと広いサーキットで解き放った方が楽しめそうだと感じたね。

猪爪:実は私、ジャガーにサーキットで乗るのは今回が初めてで、しかもSUVだし、どう走らせるのか迷っていたんです。しかも条件はヘビーウェットですし。でも、いざ走らせてみたら視界はSUVらしく高いのに、コーナーひとつ抜けた瞬間から高い剛性が感じられて、安心感をもって攻められました。コーナーの進入でも出口でも抑えの効いた必要最低限のロールで、足がもの凄くしっかりしている。0-100km/h加速も4秒フラットですし、アンダーパワーとはほど遠い俊足ぶりに驚いちゃいました。直線でのスタビリティも高いですし。

松田:SUVはルーフ高も重量もある分、限界域でナーバスな車が多いけど、F-PACE SVRはフルロール域での安定感が抜群だった。コンフォート系タイヤなのに限界近くでグニョッっと嫌な感触を伝えてこないのは、ロールセンターや重量配分、サスのストローク量にロールスピードやブッシュのチューニングまで、総合的なセッティングというか調律の整え方、そんな意識の高さを感じる。ドライブモードを「ダイナミック」だけでなく「コンフォート」にも入れてみたけど、姿勢が乱れなかった。その分、一般道の路面の凹凸は、低速域では拾いやすいけど。

ジャガー F-PACE SVRジャガー F-PACE SVR

猪爪:ウェットだから尚更そう感じたのかもしれないですが、F-TYPE RよりF-PACE SVRの方がブレーキング時の姿勢もフィールも、安定していました。いずれもフロント4ピストンのキャリパーでディスクの素材と径は違うんですが(注:F-TYPE Rはフロントに398mm径のカーボンセラミック製ディスク、F-PACE SVRが395mm径の鋳鉄製ディスクを装着)、この天気ではF-PACE SVRの方が食いつきもコントロール性も高い気がしました。

松田:雨だったとはいえ袖ヶ浦はブレーキにはめっぽう厳しいコースなんだけど、まったくタレる兆候も出なかったね。加速やパワー感だけでなく、動的にこうしたクオリティが途切れず一貫している車って、そんなにあるわけじゃない。それこそがジャガーらしい粘り強いスポーツパフォーマンスで、F-PACE SVRが忠実に、見事に受け継いでいる「何か」だと思うね。

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最後に乗るエンジン車として選んでも後悔しない

ジャガー F-PACE SVR を試乗する猪爪杏奈ジャガー F-PACE SVR を試乗する猪爪杏奈

猪爪:その、「ジャガーらしさ」なんですが、私の世代にとってはジャガーって、高級車とか高級サルーンのイメージが強くて、SUVだけど内外装に漂うエレガンスという、静的な部分が「らしさ」かと思っていました。むしろサーキットであんなに芯が強くて懐も深いパフォーマンスをしてくれるところが意外だったんです。松田さんにとって、ジャガーは、どんなブランドなんですか?

松田:やっぱりモータースポーツでの強烈な存在感だな。ぼくがバリバリに現役だった頃はもちろん、スポーツカーとレーシングカーの境目が無かったような時代からの名門コンストラクター。スポーツカーでもサルーンでもジャガーが造るロードカーだから、ハイパフォーマンスでエレガント、そういうイメージ。それが今日、F-PACE SVRというSUVでも見事に再現されていることに、納得したような驚いたような、不思議な気持ちだよね。

猪爪:なるほど。F-PACE SVRはキャラ的には、安定感と包容力が素敵な40代の大人のジェントルマンって感じでした。F-TYPE Rはまったく逆で、危なっかしいのが魅力の20代のイケメンっぽさ。でも年を経たら、F-PACE SVR側の世界観にどことなく繋がっていくような…。お父さんに勧めるなら断然、F-PACE SVRです(笑)。

猪爪杏奈(左)と松田秀士(右)猪爪杏奈(左)と松田秀士(右)

松田:ははは。僕がさっき、ジャガーの走りは緻密といったのは、自分のドライビングをもう一度見つめ直させてくれるような、走り味にあるんだ。どんな車でも、こう操ればいいのかな?というスイートスポットがあるんだけど、「それを見つけてごらんなさい」と、ジャガーは車の性格として乗り手を試してくるところがある。挑ませるんだ。でも、それを見つけて走らせてやると、凄い解像度で乗り手に応えてくれる。そんな優しさもある。パワートレインから駆動系までフリクションのごく少ないフィールから、ストローク重視で内側がちゃんとリフトして接地を稼ぐ足まわりまで、本当に無駄のないクルマ造りで、乗り手に「ドライビングってこういうものだよな」ってふり返らせてくれるんだ。ベクタリングなどのデバイスも最新のクルマとして当然用いられているけど、その使い方のセンスがいいんだよね。

猪爪:ジャガーって若い人でも年配の方でも、「乗っていて似合う」って言われたいクルマだと思うんです。SUVでそう思わせてくれる一台は滅多にない気がします。それに、そんな繊細な走りを5リットルのV8エンジンで楽しめるのも最後かもしれないじゃないですか。熟成の進んだF-PACE SVRはますます貴重なSUVに思えてきました。

松田:その通りだね。1356万円という価格も、これだけのパフォーマンスを持ったハイエンドSUVであることを考えたらものすごく魅力的。最後に乗るエンジン車として、F-PACE SVRは、車好きなら選んで後悔しない選択肢だと思うよ。

ジャガー F-PACE SVR(右)とF-TYPE R(左)ジャガー F-PACE SVR(右)とF-TYPE R(左)

特別なエクステリアを身に纏った特別仕様車
F-PACE R-ダイナミックSVカラーエディション

ジャガー F-PACE R-ダイナミック SV カラーエディション(ブリティッシュレーシンググリーン SVOウルトラメタリック グロスフィニッシュ)ジャガー F-PACE R-ダイナミック SV カラーエディション(ブリティッシュレーシンググリーン SVOウルトラメタリック グロスフィニッシュ)

今回紹介したF-PACE SVRの印象的な深緑はブリティッシュレーシンググリーン(サテンフィニッシュ)というSVパレットを呼ばれる特別色の中の一色だ。その特別なSVパレットの色をまとった『F-PACE R-ダイナミックSVカラーエディション』が限定25台で登場。最高出力250ps/最大トルク365Nmを発揮する2.0リットル直列4気筒ガソリンエンジンを搭載した「F-PACE R-ダイナミックSE」をベースとした特別仕様車。最先端の塗装技術を用いたSVプレミアムパレットをエクステリアカラーに採用し、ブリティッシュレーシンググリーン(グロスフィニッシュ)とアイシーホワイト(グロスフィニッシュ)の2色から選択できる。さらに、ピクセルLEDヘッドライトやブラックエクステリアパック、ダイナミックハンドリングパックなどの多彩なオプションを搭載し特別な1台に仕上げている。

ブリティッシュレーシンググリーン:メーカー希望小売価格¥10,420,000(消費税込)
アイシーホワイト:メーカー希望小売価格¥10,800,000(消費税込)

F-PACE R-ダイナミック SV カラーエディションの詳細はこちら『試乗してみよう!』オンライン試乗予約はこちらから

《南陽一浩》

南陽一浩

南陽一浩|モータージャーナリスト 1971年生まれ、静岡県出身。大学卒業後、出版社勤務を経て、フリーランスのライターに。2001年より渡仏し、パリを拠点に自動車・時計・服飾等の分野で日仏の男性誌や専門誌へ寄稿。現在は活動の場を日本に移し、一般誌から自動車専門誌、ウェブサイトなどで活躍している。

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