【フィアット 500e 新型試乗】インテリアのあの個性、センスはどこへ行った?…島崎七生人

EVでも“超”の字がつく扱いやすさはキープ

従来型オーナー視点ではインテリアにモヤモヤ…

目をつむっていても「チンクだ」とわかる乗り味

フィアット 500e
フィアット 500e全 24 枚

「遂に」というべきか「やっと」というべきか、フィアット初となる電気自動車『500e』が上陸を果たした。ちなみに従来型、つまりICE(内燃機関)モデルは当面は併売され、とくに2気筒ツインエアは、事実上、日本専用モデルになるという。

【画像全24枚】

EVでも“超”の字がつく扱いやすさはキープ

併売される従来モデル(左)と、新型の『500e』(右)併売される従来モデル(左)と、新型の『500e』(右)

実車に対面したエクステリアの第一印象は、これまで写真やビデオで見てきた受け止めに反して、違和感、拒絶感はまったくなかった。『500』のツインエアと較べると全長と全幅がどちらも+60mm(覚えやすい!)、全高+15mm、そしてホイールベースは+20mmの2320mmの設定。さすがに最小回転半径はICEの4.7mから5.1mに拡大したが、無闇なボディサイズの拡大は行われず、しかも相変わらず5ナンバーサイズに収まっており、“超”の字がつく扱いやすさはキープされた。

ADAS関連のセンサーでも収まっているのかどうか未確認だが、フロントの超巨大な500のエンブレムが見慣れるかどうかは未知数だが(個人の感想です)……。本国にある1+2ドアの(そのまま右ハンドル化しての)導入は、左側通行の日本では使用上、安全上の判断から無いという。

従来型オーナー視点ではインテリアにモヤモヤ…

フィアット 500eフィアット 500e

一方でインテリアは、従来型オーナー(一応、1.2とツインエアの2台に乗った)の立場を振りかざして言わせていただくと、ちょっとモヤモヤした気分が残った。

もちろん悪くはないのだが、どうもモヤモヤするので試乗後に調べてみたら、シルバーの加飾パネルでグルっとインパネをひと括りにしたあたりのデザインと雰囲気がトヨタ『アクア』に酷似している。近代化、進化させたかったのは理解できるが、多少不便でも、クラシカルな“NUOVA 500”のモチーフを絶妙なさじ加減で再現した従来型のあの個性、センスはどこへ行ってしまったのか。もっともこのモダンさにも、いずれ慣れるのかどうか。

フィアット 500eフィアット 500e

ステアリングポストがチルトだけでなくテレスコピックの調整が可能になったり、レクサスのようにドアオープンは電気スイッチになっていたり、さらに運転席の高さとリクライニングの調整はドア側のレバーで行なうようになり“多少は”やりやすくなっていたりはする。ドアを閉める際に手をかけるポケットの底にMADE IN TORINOの文字とともにNUOVA 500がいて、そこにも目が行くが、実はその手をかける部分の形状(ディンプル付き)が手をかけやすい形状になったのは、従来型からの進化のトップ3に入れていいかもしれない。

全幅の拡大の割には室内の幅方向のゆとりは、よく言えば従来どおりのイメージで、何か必要があれば従来型同様、助手席側のドアへは運転席に座ったままでも軽く手が届く。またバッテリーを床下に仕込んであるため、ドアを開けて外から眺めるとサイドシル部分の厚みは見ただけでもあるが、床面が持ち上げられたことによる圧迫感はまったくない。

目をつむっていても「チンクだ」とわかる乗り味

フィアット 500eフィアット 500e

走りは、動力性能面ではさすがにICEとの差を見せつけられる。とにかく強力で息継ぎのないスムースな加速は、たとえば筆者が日頃乗っているツインエアの、エンジン特性、変速パターンを注意深く見極め、エンジン、ミッション系の不可避な振動、共振をなだめながら走っているのとは対極的だ。

その一方で乗り味は、案外、デビュー以来これまでほとんど変わらなかったICE車との比較でも、あまり変化(進化)を感じない。走行中に感じるピッチングやコーナリング姿勢は、目をつむって乗っていても「あ、チンクだね」と言い当てる自信すらある。車重が1300kg台に増え(ICE車は990~1050kg)、その対応を考えたサスペンション設定だとは思うが、車重を乗り味に活かせるかどうか、タイヤもサイズアップしているが、もし自分で乗った場合、タイヤ空気圧で何がどれくらい是正できるかどうか興味深い。

電気自動車で唯一という“オープン”のソフトトップ自体は、多分、従来の『500c』とモノが同じはずで、閉まる際にも同じパチッ!という音が立つ。ハッチバックよりオープンのほうが、ボディ剛性の向上が実感できる。このタイミングでキーフォブも“新型”になった。

併売される従来モデルの「500c」(左)と、新型の『500e Open』(右)併売される従来モデルの「500c」(左)と、新型の『500e Open』(右)

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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