首都高に「川口ハイウェイオアシス」が誕生…都市公園と一体的に整備

4月26日午前9時よりオープンする「川口ハイウェイオアシス」
4月26日午前9時よりオープンする「川口ハイウェイオアシス」全 20 枚

首都高初、関東で3例目の“ハイウェイオアシス”となる「川口ハイウェイオアシス」が、2022年4月25日午前9時、埼玉県川口市にオープンする。高速道路の休憩施設と都市公園を一体的に整備したこの施設は一体どんな施設なのか?

◆「イイナパーク川口」との連結で施設面積は約2倍に拡張

ハイウェイオアシスとは、高速道路の休憩施設と、道路区域外の商業施設や都市公園などレジャーゾーンを一体的に整備した施設のことを指す。全国の高速道路で増えており、首都高速によれば全国23カ所で整備され、遊園地やテーマパークを含めて年間入場者数で第3位となっている伊勢湾岸自動車道の刈谷パーキングエリア(PA)もこの中に含まれる。

そんな中で「川口ハイウェイオアシス」は、首都高速川口線(S1)の上り線にあった川口PAを拡張する形でリニューアルオープンしたものだ。施設は川口市が整備する公園「イイナパーク川口」とも連結することで、これまでの川口PAと比べ駐車場を約2倍に拡充。食堂や売店を公園側に移設し、トイレは従来箇所に加えて拡張エリアの2カ所に増設。さらに雨の日でも楽しく遊べる全天候型屋内遊具施設も新設した。

この屋内遊具施設は「ASOBooN(アソブーン)」と呼ばれ、大型遊具やエアマットなど体を動かせるコーナーや、のんびりくつろげる広場、首都高ならではの乗物コーナーなどの遊び場を用意する。この施設の営業時間は午前10時~午後5時(平日)で、休日は午後6時まで延長。火曜定休。利用料は子供と大人の計2名で1500円。追加料金は子供1人につき900円、大人1人につき600円となっている。

川口ハイウェイオアシス:「イイナパーク川口(赤山歴史自然公園)」は入場無料川口ハイウェイオアシス:「イイナパーク川口(赤山歴史自然公園)」は入場無料

◆里山の自然を満喫しながら、川口市のレガシーも感じ取れる

一方、川口ハイウェイオアシスに隣接する「イイナパーク川口(赤山歴史自然公園)」は入場無料。公園内は芝生を使った広大なスペースのほか、歴史自然資料館や里山の雑木林、トンボ池といった環境学習の場も用意。外環道の高架と里山の風景を背景に子供が遊び回る様子を一望できる。公園内には地域物産館もオープンしており、「子供から高齢者に至るまで幅広い人たちが親しめる施設となった」(川口市赤山歴史自然公園整備室の船本勉室長)という。

移設された食堂では、川口市産の鋳物製羽釜で炊きあげたご飯も提供され、公園利用者向けに手作り弁当やそのご飯を使った12種類のおにぎりなどが販売されている。食堂の座席数は従来の2倍に拡張され、併設の売店では川口市周辺で収穫された野菜類や、埼玉近県の土産類も数多く並べられていた。

川口ハイウェイオアシスでは、川口市のレガシーでもある鋳物を使った多くの展示物を見ることもできる。施設の一部に用意された休憩スペースには陶板を思わせる鋳物製オブジェが展示され、照明器具の一部パーツにも鋳物を採用。売店内では鋳物で作ったベーゴマが販売されている。中でも見逃せないのは男性用トイレ内に設置された鋳物製小便器で、一般的な陶器製小便器が並ぶ中で一列だけこの小便器が異彩を放っていた。

また、川口ハイウェイオアシスとなったことで、首都高速上り線(※下り線からは利用不可)からだけでなく、一般道からもアプローチできるようになったのも特徴だ。これは首都高速を経由した遠方からの利用者だけでなく、地元民の利用も期待しての対応と言える。その対応の一環として見逃せないのは、従来の川口PAの売店があった場所が、2024年度にバス発着所として整備されること。これにより、今後はマイカー以外の人でも訪れやすくなる。

川口ハイウェイオアシス:屋内遊具施設「ASOBooN」の遊具設備川口ハイウェイオアシス:屋内遊具施設「ASOBooN」の遊具設備

◆地元自治体との連携があって実現

川口ハイウェイオアシスの構想は、2011年に首都高速PAを活用した地域拠点整備事業として首都高速と覚書を締結したことから始まる。この地はもともと江戸時代初期に築城された赤山城の跡地が一部含まれ、敷地面積は8.9haにも及ぶ。12年に工事が具体化し、18年にはイイナパーク川口の一部が開園してすでに利用が始まっていた。

この日、開催された式典で川口市の奥ノ木信夫市長は副市長の代読で、「川口ハイウェイオアシスは川口市の魅力を発進できる国内最大級の“遊び場”となる」と挨拶。続いて挨拶に立った衆議院議員の新藤義孝氏は、この地の歴史を振り返った上で「これまで川口市は高速道路で通過されてしまう街だったが、ようやく人を呼び寄せられる施設がオープンした。首都高速と一緒に街作りができるのは素晴らしいこと」と述べた。

首都高として初めて「ハイウェイオアシス」を提供できたことについて、首都高速の事業開発部事業推進課の安田直紀課長は「本事業は川口市の公園整備計画があったところに首都高速が加わることで実現できた。首都高速が展開するエリアでこれだけの敷地を確保するのは首都高速独自では難しい」とし、自治体の協力があれば検討はしていきたいが、土地の問題もあり現時点で次の計画はないとの見通しを示した。

《会田肇》

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