位相を合わせる奥の手…クロスオーバー[サウンドチューニング]

「クロスオーバー」の設定画面の一例(クラリオン・フルデジタルサウンド)。
「クロスオーバー」の設定画面の一例(クラリオン・フルデジタルサウンド)。全 8 枚

カーオーディオでは、サウンドチューニング機能を使いこなすことにより聴こえ方をより良い方向へと変えられる。当連載では、それをプロに任せつつも自分でもやってみることを推奨し、機能の扱い方を解説している。現在は、「クロスオーバー」の操作方法を説明している。

前回は、フロントスピーカーとサブウーファー間での「クロスオーバー」調整においての、「位相切替スイッチ」の使い方を説明した。その内容を簡単におさらいしておこう。

まず「位相」とは「音波のタイミング(空気中を進むときの上下運動のタイミング)」だとイメージしてほしい。音は、水面を伝う「波紋」のように上下運動を繰り返しながら空気中を進んで行くのだが、フロントスピーカーとサブウーファー間では「クロスポイント(帯域分割するその境目)」付近の音がフロントスピーカーからもサブウーファーからも聴こえてくるので、それらの「音波のタイミング」が一致しないとサウンドの一体感が損なわれる。

なので「位相切替スイッチ」を操作して「音波のタイミング」を揃えようとするわけだが、基本的に「位相切替スイッチ」は、「正」か「逆」しか選べない。ゆえに「音波のタイミング」が中途半端にズレている場合には、同スイッチを切り替えても聴こえ方があまり変わらない。

そのような場合には「スロープ」の値を変えてみると、「正・逆」を切り替えたときの音の変化幅が大きくなることがある。なぜならば、スロープを1段階変えるごとに「位相」が90度ずつ回転するからだ。結果、「どっちつかずの状態」から脱却でき、「位相切替スイッチ」を操作したときの音の変わり幅が大きくなるのだ。ここまでが前回に説明した内容だ。

しかしながら、「クロスオーバー」機能が簡易的なタイプであると「スロープ」が固定されていること(選択できないこと)がある。また、「スロープ」を切り替えても状況があまり変化しないこともある。

そんなときは、もしも可能なら以下の2つの方法を試してみよう。1つは、「サブウーファーの置き場所を変える」というものだ。シート下に設置している場合には位置を変えるのは難しいが、トランクに積んでいて置き場所を変えられるのであれば変えてみよう。そうすると「位相」の合い方(ズレ方)も変わることがある。なので、置き場所を変えては「正・逆」を切り替えてみる。このようにして聴こえ方が大きく変わったら、「音の勢い」がより大きく感じられる方を選択すればOKだ。

そしてもう1つの方法とは、「タイムアライメント機能の設定を微調整してみる」というものだ。もしも使用中の「メインユニット」に同機能が搭載されていたら、サブウーファーの設定値を微調整することでも「位相」の合い方が変わることがある。なので、値を少し変えてみては「位相切替スイッチ」を操作して、音の変化幅が大きくなったらラッキーだ。ただし、「タイムアライメント」の設定を変え過ぎれば「タイムアライメント」自体が合わなくなるのでご注意を。とはいえ、試す価値は小さくない。

今回は以上だ。次回からは、フロント2ウェイスピーカーのツイーターとミッドウーファー間の「クロスオーバー」調整のやり方を説明していく。お楽しみに。

“位相”を合わせる奥の手がある!? 「サウンドチューニング」実践講座 Part3 クロスオーバー編 その11

《太田祥三》

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