驚異の回避性能にレーシングドライバーも感動! 日産の新技術を桂伸一がレポート

緊急回避性能を飛躍的に向上させる日産の運転支援技術「グラウンド・トゥルース・パーセプション」を桂伸一が体験
緊急回避性能を飛躍的に向上させる日産の運転支援技術「グラウンド・トゥルース・パーセプション」を桂伸一が体験全 16 枚

日産自動車が4月25日に発表した、クルマの緊急回避性能を飛躍的に向上させる運転支援技術「グラウンド・トゥルース・パーセプション」技術。このプロトタイプ車両に、レーシングドライバー/モータージャーナリストの桂伸一氏が試乗。レーシングドライバーの技術をも上回る? 驚きの回避性能をレポート。

「本当の意味」での自動運転とは

緊急回避性能を飛躍的に向上させる日産の運転支援技術「グラウンド・トゥルース・パーセプション」緊急回避性能を飛躍的に向上させる日産の運転支援技術「グラウンド・トゥルース・パーセプション」

「飛び出して来る!」と判っていれば、この素早いステアリング操作はできる。しかしサーキット走行やレース経験のない、ごく一般的なドライバーにこの瞬時のステアリング操作をやれと言ってもできない。しかも障害物を避けた直後に子供が飛び出して来る!それを1Gに迫るフルブレーキングで対処する事もおそらく不可能だろう。

実際、判っていながら筆者個人の感覚でも障害物回避に気を取られ、子供に対するブレーキ開始がワンテンポ遅れた。つまり子供を跳ねてしまったのだ!!

ひと頃はごく当たり前に自動運転という言葉が飛び交った。そもそも自動運転とは何か? 目的地まで自動的にクルマが移動する…という話はまったくの絵空事。本当の意味の自動運転はもちろんクルマの走行安定と衝突などの事故を未然に防ぐ、危険を緊急回避する事に使われてこそ重要な技術だ。

個人的にはシステムがどれだけ進化しても、気まぐれな人間の動き、特に迷った挙げ句に直感で操作し、瞬時に挙動を変えるクルマの動きに対応するなんて無理に決まっている。と言うのが持論。

ところが今日、日産の新たな緊急回避性能を向上させる運転支援技術「グラウンド・トゥルース・パーセプション」技術を搭載した『スカイライン』(プロパイロット-コンセプトゼロ)に試乗して、冒頭の緊急回避性能に衝撃を受けた。

日常の走行で起こり得る状況を再現

緊急回避性能を飛躍的に向上させる日産の運転支援技術「グラウンド・トゥルース・パーセプション」緊急回避性能を飛躍的に向上させる日産の運転支援技術「グラウンド・トゥルース・パーセプション」

カメラ、レーダー、次世代高性能LiDER(ライダー)それぞれの特性を融合したセンシング技術から、まさにリアルなその場の状況と自車いる位置、刻々と変化する周りの動きの演算をヒトよりも早く感知して瞬時に操作できる。

日常の走行で起こり得るリアルワールドの走行状況を再現した試乗テスト。もちろん映像で見れば一目瞭然。ドライバーはアクセルを踏み加速して速度調整は行なうが、バイワイヤーのステアリング、アクセル、ブレーキがドライバーの操作とは別に、危険を察知すると自動介入して、衝突回避を行なう。

さらに驚きは300mも先から外れたタイヤが転がって来る。それが止っているのか、こちらに向かって走って来るのかさえヒトには判断できないが、それを認識して自動的にレーンチェンジする。さらに飛び出したクルマに対しての急減速からの停止も自動だ(ただ、この場面では隣りのレーンが空いているのでハンドル操作で避けてもいいのでは?とも思う)。

同様に高速走行中に渋滞の最後尾に対する早期の発見、認識からレーンチェンジ。もちろん状況に応じて急減速もある。ヒトの目で見えるよりも遥か遠方の状況も把握でき、それにどう対応するか考えて瞬時に行動する。

人間業では追いつけない領域だった

日産自動車 電子技術・システム技術開発本部 AD&ADAS先行技術開発部 戦略企画グループ部長の飯島徹也さん日産自動車 電子技術・システム技術開発本部 AD&ADAS先行技術開発部 戦略企画グループ部長の飯島徹也さん

タイヤのグリップ限界ギリギリまで使い回避操作を行なう。クルマが持つ運動性能で避けられる事故は多々ある。しかしそれを使いこなせていないのもヒトである。各種センサーをクルマで使ううえで重要な制御の進化とそれに瞬時に対応できるメカニズムの進化に、人間業では追いつけない領域を見せつけられた。

日産は2年前、まさに今日のAD/ADAS先行技術開発部・飯島徹也部長が、自動運転はある条件が整わないと難しく、現状ではGPSが先にくるか、21年頃にできるであろう次世代型高性能ライダーが間に合えば、状況は変化する“だろう”と教えてくれた。

今日試乗したのはまさにその答えだった。この技術をあと数年で搭載したクルマが誕生するハズ。“できるわけない”、という個人の想いなど消し飛んだ。

改めて「技術の日産」を再認識したが、それを造っているヒトの素晴らしさも改めて感じられた。

《桂伸一》

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