Sクラスの対抗馬として生まれたBMW『7シリーズ』の変遷【懐かしのカーカタログ】

BMW 7シリーズ 初代・E23
BMW 7シリーズ 初代・E23全 13 枚

「2段式ヘッドライト」が話題の新型が登場したBMW『7シリーズ』。いうまでもなく同社のフラッグシップだ。メルセデスベンツ『Sクラス』の対抗馬として誕生した7シリーズは、どのような進化を遂げてきたのか。各世代の進化の度合いを、当時のカタログとともに振り返ってみたい(登場年は本国のもの)。

初代(E23・1977年)

BMW 7シリーズ 初代・E23BMW 7シリーズ 初代・E23

1972年の『5シリーズ』(E20)、1975年の『3シリーズ』(E21)に続き、新世代BMWの一員として1977年に登場したのが、E23初代『7シリーズ』。ちなみにその前年、1976年には初代の『6シリーズクーペ』(E24)がお目見えしている。それまでの“E3”を引き継ぐフラッグシップサルーンに位置づけられ、当時のメルセデスベンツ『Sクラス』の対抗馬の役割も与えられた。

BMW 7シリーズ 初代・E23BMW 7シリーズ 初代・E23

カタログはバルコムトレイディング時代の「733iA」で、3210ccの直6(175ps/26.0kg・m)を搭載、キドニーグリルの周囲にボディ色を回した初期型。

2代目(E32・1986年)

BMW 7シリーズ 2代目・E32BMW 7シリーズ 2代目・E32

グッと洗練されたスタイリングを纏って進化したのがこの2代目。標準ボディのほかにホイールベースが115mm長いロングボディの「L」も設定(復活)。バッファロー革を用いた上質でスマートなインテリアも特徴だった。

BMW 7シリーズ 2代目・E32BMW 7シリーズ 2代目・E32

日本仕様は当初は直6エンジン(2986cc、3430cc)でスタートし、後にV8(2996cc、3981cc)およびV12(4987cc)でラインアップを構成。エリプソイド・ロービーム・ヘッドライト、2重ガラス構造などのアイテムも投入された。

3代目(E38・1994年)

BMW 7シリーズ 3代目・E38BMW 7シリーズ 3代目・E38

2代目に対し、むしろよりフォーマルなスタイリングに一新されたのがこの3代目。丸型4灯ヘッドランプをアウターシールドで覆ったデザインはE36型『3シリーズ』と共通だ。標準ボディと、ロングホイールベース(+140mm)のLボディ(さらにストレッチリムジン)を設定。

BMW 7シリーズ 3代目・E38BMW 7シリーズ 3代目・E38

日本仕様の搭載エンジンはV8(3497cc、4398cc)と5379ccに排気量を拡大したV12をラインアップ。V8にはマスバランサーを採用した。オンボードモニター(TVチューナー付き)、フットペダル式駐車ブレーキなども採用。

4代目(E65・2001年)

BMW 7シリーズ 4代目・E65BMW 7シリーズ 4代目・E65

革新的過ぎる(?)スタイリングが賛否両論を呼んだ4代目。今カタログで見るとデビュー時ほどのインパクトは感じないが、リヤフェンダー部からトランクリッドを一段盛り上げたデザインなどは、やはり個性的だ。革新性はインテリア、装備にも言え、iDriveと呼ぶひとつのコントローラーで各種機能を操作する方式はこのモデルから採用されたもの。

BMW 7シリーズ 4代目・E65BMW 7シリーズ 4代目・E65

ダブルVANOS(バリアブル・カムシャフト・コントロール)採用のV8エンジン、オプション設定のダイナミックドライブ(アクティブ・シャシー・コントロール)など。6速ATは、ステアリングコラムのセレクトレバー式。

5代目(F01・2009年)

BMW 7シリーズ 5代目・F01BMW 7シリーズ 5代目・F01

4代目から打って変わり、オーソドックスなスタイルに戻されたのがこの5代目。“F”のコードネームでは初のBMWでもあった。シャシーコンポーネントとボディパネルの大部分にアルミ合金を仕様するなどして約50:50の前後重量配分を実現。ダイナミックドライブと呼ぶシャシーコントロールシステムが投入されほか、ナイトビジョンほかドライバーアシスト機能も充実していた。エンジンは「740i」系が3リットルの直6、「750i」系がV8の4.4リットル。

BMW 7シリーズ 5代目・F01BMW 7シリーズ 5代目・F01

6代目(G11・2015年)

BMW 7シリーズ 6代目・G11BMW 7シリーズ 6代目・G11

巨大なキドニーグリルに象徴されるように、進化を推し進めたのがこの6代目。ハイブリッドモデルが投入されるようになり、当初は4気筒の2リットルターボだったが、6気筒の3リットルターボに。凝ったステッチ、パターンの内装を採用し、ラグジュアリー度も一層高まった。

BMW 7シリーズ 6代目・G11BMW 7シリーズ 6代目・G11

「OK、BMW」と呼びかけると反応するAI音声会話システム、運転支援、リバースアシスト/後退時ステアリングアシスト機能なども投入された。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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