バイク女子がキックスタートに挑戦!「メグロ」に「ダブワン」、箱根がバイク博物館になる日

5月8日に開催され、230台が集結し盛況だった「W1ミーティング」
5月8日に開催され、230台が集結し盛況だった「W1ミーティング」全 19 枚

カワサキで最も伝統ある系譜

『Z(ゼット)』が50周年を迎えたが、カワサキにはもっと歴史のある系譜がある。1966年に初代が誕生した『W(ダブル)』シリーズだ。

そのオーナーたちが大型連休の最終日5月8日(日)、箱根・十国峠レストハウス駐車場に集結した。まだ単一機種のオーナーズグループが日本にはなかった頃から活動を続ける「W1愛好会」の主催による「W1ミーティング」である。

参加者の多くは、1974年に生産を終了したOHV 2バルブの空冷並列2気筒を積むメグロをルーツにした『650RS』通称“W3”までのモデルのオーナー。筆者(青木タカオ)も1971年式の『W1SA』に乗って27年が経つ愛好家のひとり。2019年以来、コロナ禍で中止が続いていたので、喜び勇んでダブワンで箱根へ向かった。

愛好家だけの集まり

盛況だったW1ミーティング。盛況だったW1ミーティング。

参加台数は230台と、相変わらずの盛況ぶり。大手部品メーカーなどの出店はなく、純粋に北海道から九州までの一般オーナーたちや興味のある人だけでこの数が集まるのはすごい。

Wシリーズは1999年にSOHC 4バルブ・ベベルギヤ駆動の『W650』で復活し、現行モデル『W800』まで連綿と続くラインナップに欠かせないモデル。会場には『W650』や『W800』系の姿もあり、ともに楽しんでいる。高橋直幸会長はこう言う。

「Wシリーズに興味がある人なら誰でも大歓迎です」

女性や若いライダーも興味津々

現行モデルに乗るバイク女子も興味津々。現行モデルに乗るバイク女子も興味津々。

見学者も多く、他社メーカーのバイクに乗る人やクルマで見学に訪れる人も少なくない。近年では若いライダーも増え、女性の姿も目立っている。

そんなバイク女子たちに、キック始動を教えるシーンも会場の片隅で見えた。成功すると「初めてのキックスタートでしたが、エンジンをかけることができて感激です」と、彼女たちは大喜び。「W3に乗ってみたい!」と興奮を隠せない様子だ。

中学生のお嬢さんと親子でW3に乗って来たオーナーは「子どもが小さい頃からバイクはダブル一筋で、いつもタンデムで走っています」とのこと。振動が大きいバーチカルツインエンジンだが、リヤシートの乗り心地に不満はないと、お嬢さんも笑って答えてくれる。

超レアな車両やアイテムを目の当たりに

SHOEIのカウルやサドルケースを装備したW1S。SHOEIのカウルやサドルケースを装備したW1S。

1966年から74年までのW1からW3までが、そこにたくさん集まっているだけでも信じられない光景だが、W1のルーツとなる60年代のメグロなどめったに見ることのできない超レアな車両も来場しているから飽きない。

いまではヘルメットメーカーとしてお馴染みのSHOEIのカウルやサイドケースを備えた『W1S』もいる。まるで時代がタイムスリップしたかのような錯覚を覚える。

Wは永遠に不滅!

W1愛好会の高橋直幸会長。W1愛好会の高橋直幸会長。

2019年秋の開催以来、コロナ禍にあってミーティングは中止を余儀なくされてきた。「伝統のミーティングをまた再開してほしい」と各方面から要望を受け、ついに復活となった。

高橋会長は「高齢な方が多い中、若い人も着実と増えている。Wの魅力は永遠です」と、世代を超えてシリーズが愛されていることに目を細める。

筆者も自分が所有するW1SAより年下で、会場にいる主要メンバーから見れば若造でしかない。しかし、こうしてダブワンに乗り続け、心底その魅力に酔いしれている。

箱根の峠道に、バーチカルツインのサウンドがこだまする。ただ走っているだけで嬉しくて、涙があふれてくるのはどうしてなのだろうか。Wは五感を刺激する、強烈に感覚的なオートバイだ。いつまでも所有し、乗り続けたいと心から思う。



《青木タカオ》

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

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