トヨタ自動車が5月11日に発表した2021年度連結決算は、売上高が31兆3795億円(前年度比15.3%増)、営業利益が2兆9956億円(同36.3%増)、当期利益2兆8501億円(26.9%増)だった。6年ぶりに過去最高の営業利益を更新したが、原材料費高騰が大きな問題となっている。
グローバル販売台数は前年度に比べて7.6%増の823万台。日本市場で10%近く減らしたものの、北米(3.5%増)、欧州(6.0%増)、アジア(26.3%増)、その他地域(31.7%増)と販売台数を伸ばした。また、レクサスを含めた販売台数は951万台だった。
営業利益の増減要因は、為替変動の影響で6100億円の増益、原価改善の努力で2800億円の増益、原材料高騰の影響で6400億円の減益、販売台数の増加や金融事業の収益改善で8600億円の増益、諸経費の増減・低減努力で2200億円の減益だった。
特に目をひくのが原材料高騰の影響で、トヨタ得意のカイゼン活動でも補えきれないようになっている。22年度はさらにその影響が膨らみ、1兆4500億円の減益要因となる。最高財務責任者(CFO)の今健太副社長も「過去に例がないレベルだ。6400億円も過去で一番大きかったが、それを超える非常に大きな影響だ」と頭を抱えていた。
その結果、22年度の売上高が33兆円と前年度に比べて5.2%増加するものの、営業利益は19.9%減の2兆4000億円、当期利益が20.7%減の2兆2600億円という見通しだ。販売台数については、トヨタ・レクサス合計で前年度比4.1%増の990万台を予定する。
質疑応答では、原料価格の高騰とそれに伴う車両価格への転嫁についての質問が相次いだ。
「仕入れ先と一体となってどう対応していくかを考えないといけない。使用量を少なくしたり、安価な材料に変えたりする取り組みを進めていく」(今副社長)
「グローバルでフルラインアップで販売しているので、各地域でいろいろなセグメントのお客にきめ細かく対応していく必要がある。少しお金を頂戴してもいい層のお客もいるし、日常の足として使っているお客もいる。資材が上がったということで価格を上げるのは難しい問題だと思っている。どこで値上げができる、よく見て決めていきたい」(長田准チーフ・コミュニケーション・オフィサー)
すでに海外では値上げに動いており、米国ではホームページ上の希望小売価格が1年前より3~4%上がり、インドでは今春からSUVなどを4%値上げしている。
日本市場の値上げについては、「日本は全体的に成長が足踏みしている地域。日常の足で使うような軽自動車やコンパクトカーで価格を頂戴するのは難しいが、クルマによっては可能性はある」と長田CCOは述べた。いずれにしても、価格の高いクルマから値上げをしていきそうだ。