【ベネリ インペリアーレ400 試乗】ジャーナリスト的評価なんて「どうでも良いさ!」…鈴木大五郎

今では貴重な空冷単気筒エンジンを搭載

意外にも低回転でも粘ってくれるトルク

バイクが本来持つ気持ち良さを純粋に楽しめる

ベネリ インペリアーレ400
ベネリ インペリアーレ400全 32 枚

1911年に創業を開始したイタリアの名門、ベネリ社は過去には数々のレースで栄光を収めるなど、その名を世に知らしめたブランド。

しかし、ヨーロッパのオートバイメーカーのご多分に漏れず、紆余曲折を経て現在はボルボやロータスを傘下とする中国の大手自動車メーカー、吉利汽車の協力を得て小中排気量のマシンをメインにリリースしている。ラインナップされるマシンの1台、『インペリアーレ400』はシンプルでトラディショナルなオートバイであるが、イタリアらしいデザインセンスの良さで国内発売前から話題となっているモデル。

ジャーナリスト的にこのマシンを評価をすれば、スペック的にも動力性能としても、あまり高得点を与えることが出来ない。しかし、乗ってみれば「そんなことどうでも良いさ!」と思わせる気持ち良さを感じさせてくれたのだ。

今では貴重な空冷単気筒エンジンを搭載

ベネリ インペリアーレ400ベネリ インペリアーレ400

空冷単気筒という非常にシンプルなエンジンではあるが、これが今現在、とても貴重なものとなってきている。シンプルなのはエンジン構造だけでなく、車体構成も無駄なものが省かれている。いわゆる電子制御系もABSが備わっている程度となっているが、それにより車体の簡素化と同時に重量増を避けることが可能となっている。

跨った際のハンドル周りのシンプルさが逆に新鮮だ。エンジンを始動すると、懐かしさがこみあげる。トコトコと鼓動を感じさせつつ、アクセルの開閉に対して穏やかにレスポンスするエンジンに、プレッシャーなくマシンを発進させることが出来る。スコンスコンとシフトアップを繰り返し、5速トップホールド。アイドリングちょっと上くらいの回転数で気持ちよくクルージングすることが可能だ。

意外にも低回転で粘ってくれるトルク

ベネリ インペリアーレ400 試乗風景ベネリ インペリアーレ400 試乗風景

無造作に高めのギアを選択した際、トルク負けをしてエンジンがガクガクしてしまったりすると興ざめしてしまうことがあるが、意外やトルクがあって低回転でも粘ってくれるのが嬉しい。早めにシフトアップを行い、低回転からのエンジンの味わいを楽しむ。

こまめにシフト操作を行い、適切な回転数でマシンを走らせるという行為もライディングでは楽しさを感じ、操作としても正しいとも言える。一方、ずぼらに選択したギアでワイドに使えるこのキャラクターはツーリングシーンでも重宝し、なんとも穏やかな気持ちとさせてくれる。

ちょっとパワーが足りなくなった場面では、ストロークの大きめなシフトをひとつ、ふたつと落として少しレスポンスの良い領域を選択。身構えることなくアクセルを開けられるのも楽しく、7000rpmまで一生懸命回っていく様子もなんだか味わい深い。

バイクが本来持つ気持ち良さを純粋に楽しめる

ベネリ インペリアーレ400 試乗風景ベネリ インペリアーレ400 試乗風景

ハンドリングも特別なものはない。ゆったりとした反応で穏やかに旋回していく。サスペンションも動きの良さとか追従性に眼を見張るものはないのであるが、全体のバランスからいえば問題はない。気になる人はカスタムしていけばいいだけでのことで、それも楽しいバイクライフに繋がっていく可能性すら感じさせたのである。

一点、極低回転域からの開け始めにレスポンスの唐突さが感じられ、Uターン等にちょっと気を使う面があった。発売元であるプロトでもそれは把握しているとのことで、こちらは販売前までに対策を行う予定とのことであった。

風を感じるとか、爽快感であるとか、バイクが本来持つ気持ち良さを純粋に楽しむにはむしろ好都合ともいえるシンプルなパッケージ。今の時代に合っているのではなく、どんな時代にもマッチするベーシックな性能を有するマシンとなっている。

鈴木大五郎さんとベネリ インペリアーレ400鈴木大五郎さんとベネリ インペリアーレ400

■5つ星評価
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
コンフォート:★★★
足着き:★★★
オススメ度:★★★★

鈴木大五郎|モーターサイクルジャーナリスト
AMAスーパーバイクや鈴鹿8耐参戦など、レース畑のバックボーンをもつモーターサイクルジャーナリスト。1998年よりテスター業を開始し、これまで数百台に渡るマシンをテスト。現在はBMWモトラッドの公認インストラクターをはじめ、様々なメーカーやイベントでスクールを行なう。スポーツライディングの基礎の習得を目指すBKライディングスクール、ダートトラックの技術をベースにスキルアップを目指すBKスライディングスクールを主宰。

《鈴木大五郎》

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