【アルファロメオ ステルヴィオ ディーゼル 新型試乗】奥行きが出た色気に、惹きつけられる…岩貞るみこ

色気むんむんの『ステルヴィオ』×武骨なディーゼル

クイックな曲がりっぷりに肩透かしを食らう

奥行きが出た色気に、惹きつけられる

アルファロメオ ステルヴィオ ヴェローチェ
アルファロメオ ステルヴィオ ヴェローチェ全 4 枚

色気むんむんの『ステルヴィオ』×武骨なディーゼル

かろやかにうねるラインで構成されつつも、重厚な塊を感じさせるボディ。ユニークな顔つきも、横から放たれる華やかさも、ゴージャスな存在感も、もはやこれは血筋としか言いようがない。これぞアルファロメオ。これこそイタリアなのだ。

それをさらに実感するのは、運転席に座ったとき。シフトレバーの手元に燦然と輝くのは、イタリア国旗をあしらった三色のマーク。以前、イタリアに住んでいた私は、この三色旗を見ると、脊髄反射でイタリア国歌が脳内に流れ出す。

今回のワンポイント確認は、そんな色気むんむんの『ステルヴィオ』に、私の中では武骨というイメージがぬぐい切れないディーゼル・エンジンが載っかっちゃって、いったいどんな乗り心地を引き出すのかである。試乗車は、ターボディーゼル・エンジンを搭載した4WDのVELOCE(ヴェローチェ)だ。

アルファロメオ ステルヴィオ ヴェローチェアルファロメオ ステルヴィオ ヴェローチェ

クイックな曲がりっぷりに肩透かしを食らう

さて、前述したようにずしりとした塊感を醸し出すステルヴィオは、全長4690mm、全幅が1905mmだが、外から対峙すると丸みを帯びたデザインが扱いにくさを想起させる。ちょっとした緊張感でイタリア家具を彷彿させるシートに身をゆだね走り出すのだが、ハンドルをきった瞬間に、想像していた重厚な乗り心地とはまったく異なる感覚に肩透かしを食らう。なんだこの、クイックな曲がりっぷりは。

まず、パワステが軽い。直進しているときはそれなりの手応えがあるのだが、ハンドルをきると、すっと軽く感じるのだ。しかも、ボディの中心に軸でもあるかのように鼻先からきゅっと曲がり、ボディ全体がかろやかに向きを変えていく。ボディ剛性のよさ、そして、前後の重量配分を50対50とバランスのいい仕立てのなせる業である。

このクイックさ、さすが、VELOCE(クイックな速さ)である。走行中もそうだが、Uターンなどで向きを変えるときもこの感覚は味わえる。最小改定半径は6mという数字だが、こんなにクイックな反応だと、もっと小さく感じるほどだ。

アルファロメオ ステルヴィオ ヴェローチェアルファロメオ ステルヴィオ ヴェローチェ

奥行きが出た色気に、惹きつけられる

これだけ動きのよさを見せつけられると、ディーゼル・エンジンの音はどうでもよくなってくる。逆に、ディーゼルターボの強い加速力と、さらに8速ATのなめらかさが上品な乗り心地を演出して、色気とパワフルさのバランスにしびれてしまう。

ボディデザインとインテリアの華やかさが作るイタリアの色気は見せかけだけではない。ディーゼル・エンジンでさらに奥行きが出た色気に、惹きつけられるのである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。最新刊は「世界でいちばん優しいロボット」(講談社)。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 日産、第3世代e-POWER向けエンジンに世界初技術…コールドスプレー工法バルブシート採用
  2. スバル『アウトバック』新型、約515万円から…年内米国発売へ
  3. あさひ、通勤向け電動アシスト自転車「OFFICEPRESS-e」モデルチェンジ…安全性と整備性を向上
  4. ジープ初の1.6リットルターボハイブリッド搭載、SUV『チェロキー』新型が四角い新デザインで登場
  5. 「本当に世に出るとは」わずか1トンの車体に800馬力V12を搭載、「超アナログ」なスーパーカーにSNS沸く
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る