[カーオーディオ“なぜ?”]外部パワーアンプって必要?

「外部パワーアンプ」をシステムに組み込んだオーディオカーの一例(製作ショップ:カーオーディオクラブ<大阪府>)。
「外部パワーアンプ」をシステムに組み込んだオーディオカーの一例(製作ショップ:カーオーディオクラブ<大阪府>)。全 6 枚

カーオーディオに関心を抱き調べてみると、“素朴な疑問”があれこれ頭をもたげる。初心者に“分かりづらい”と感じさせる事項が多々出現するのだ。当連載では、それらの意味や理由を1つ1つ解説している。当回からは「外部パワーアンプ」をテーマに据えてお贈りしていく。

◆「パワーアンプ」は絶対に必要。しかし、「外部パワーアンプ」は使わなくても大丈夫!?

最初に、「パワーアンプ」とは何なのかを説明しておこう。ひと言でいうと以下のとおりだ。「音楽信号をスピーカーを動かせるレベルにまで増幅する装置」だ。スピーカーには磁気回路が搭載されていてその中に電気信号を送ることで「フレミングの左手の法則」に従って、電気エネルギーが動力へと変換される。それにて振動板を動かし空気を震わせて、音を伝える。

で、このようなメカニズムを成り立たせるには物理的にそこそこ大きな力が必要となる。ゆえに「パワーアンプ」の使用がマストになるのだ。

とはいえ、「外部パワーアンプ」の使用はマストではない。なぜなら、純正・市販を問わず「メインユニット」には「パワーアンプ」が内蔵されているからだ。それがあればスピーカーを駆動可能だ。なのでわざわざ費用を投じて、そして取り付けの手間をかけて「外部パワーアンプ」を車両に設置しなくても大丈夫だ。そうせずとも、車内で音楽を楽しめる。

しかし、カーオーディオ愛好家の多くは、敢えて「外部パワーアンプ」を使用する。それはなぜなのかというと…。

「外部パワーアンプ」をシステムに組み込んだオーディオカーの一例(製作ショップ:カーオーディオクラブ<大阪府>)。「外部パワーアンプ」をシステムに組み込んだオーディオカーの一例(製作ショップ:カーオーディオクラブ<大阪府>)。

◆「メインユニット」の「内蔵パワーアンプ」には多くを望めない…

その理由は単純明快だ。「メインユニットの内蔵パワーアンプには多くを期待できないから」だ。というのも、「メインユニット」の「内蔵パワーアンプ」は制約の中で設計されている。ゆえに性能の天井があまり高くはないのだ。

制約とは主には2点ある。1つは「スペース的な制約」で、もう1つは「コスト的な制約」だ。

「パワーアンプ」は実は、性能を上げようとすればするほど筐体のサイズが大きくなりがちだ。電気信号を増幅するという仕事をよりハイクオリティに行うためには使用パーツの高性能化が求められ、高性能を発揮しようとすれば各パーツはどうしてもサイズが大型化していく。クルマのエンジンも排気量が大きいものほどハイパワー化していく。それと同じようなことが起こるのだ。しかし1DINとか2DINというサイズの中では、「パワーアンプ」に割けるスペースは極々限られる。大きなパーツは到底使えない。

そして、「内蔵パワーアンプ」に注げるコストにも限りがある。例えば販売価格が10万円の「AV一体型ナビ」があったとして、その10万円にてナビのメカや地デジチューナーやCD/DVDメカ等々をまかなわなければならない。「内蔵パワーアンプ」に注げるコストはかなり限定的となる。

市販「外部パワーアンプ」の一例(モレル・MPS 4.400)。市販「外部パワーアンプ」の一例(モレル・MPS 4.400)。

◆「外部パワーアンプ」には、スペースとコストを潤沢に注げる!

対して「外部パワーアンプ」は、それら制約のない中で設計できる。もちろん、製品それぞれで価格設定が異なり、さらには小型化が推し進められる場合もあるので制約がまったくないわけではないが、とはいってもDINサイズに収める必要はなく、そして開発コストは音楽信号を増幅することのためだけに注入できる。

ところで「パワーアンプ」は実はコストと性能が比例しやすく、そしてその気になればどこまででも高級/高性能化させられる。というのも「パワーアンプ」は構造が比較的にシンプルで、そのような工業製品は得てして物量がダイレクトに性能に効いてくる。

なので市販の「外部パワーアンプ」を見渡すと、超高級品もさまざま存在する。100万円を超えるようなスペシャルモデルも有り得ている。使用する各パーツに贅を尽くすと、このようなモデルも出来上がる。そしてそのような製品は価格に比例してポテンシャルも高い。「メインユニット」の「内蔵パワーアンプ」とは比べようもない高音質性能を発揮する。

もちろんモデルごとの個性もあるので、好みに合うか否かはまた別問題なのだが、より良いものを手にしたいと思ったときにはハイグレードなモデルに目を向けた方が良いことも、また事実だ。

かくしてとことん音にこだわろうとするときには、「外部パワーアンプ」の使用はマストになる。高性能なモデルの中から自分好みのモデルを見つけ出すことで、理想のサウンドを手にできる。

今回は以上だ。次回以降も「外部パワーアンプ」にまつわる“分かりづらさ”の答を説明していく。乞うご期待。


《太田祥三》

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