カーボンニュートラル燃料と普通の燃料、差は感じられるか…同じ車種で試乗

カーボンニュートラル燃料比較試乗会:トヨタGR 86
カーボンニュートラル燃料比較試乗会:トヨタGR 86全 16 枚

スーパー耐久の世界では、カーボンニュートラルフューエル(CNF)での参戦車が多くなってきた。そのドライビングフィールは普通のガソリン燃料とほぼ同じと言われている。幸いにも今回そのCNFを使った車両に試乗する機会を得た。

ENEOSスーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook第2戦『NAPAC 富士 SUPER TEC 24時間レース』が行われた富士スピードウェイで、トヨタ・スバル・マツダ合同での、カーボンニュートラルフューエル(=CNF)を使った車両の、乗り比べ試乗会がメディア向けに実施された。

用意された車両はトヨタ『GR 86』、スバル『BRZ』、マツダ『CX-5』となる。GR 86とBRZは普通のガソリンを入れた車両、CX-5は普通の軽油を入れた車両(ディーゼル)を用意。それぞれもう一方で、GR 86とBRZは実際レースに参戦している車両と同じCNFを使用する車両、CX-5はユーグレナ社製の「サステオ」を20%ほど普通軽油に混ぜた混合軽油使用車が用意された。

今回最初にノーマルGR 86での試乗となった。直線路を走り前方のパイロンでUターンする、横に長円形コースを、GR 86らしい軽快な動きで走り抜ける。次にCNFでの試乗となる。乗り込んでエンジンをかけて動き出すと、普通のガソリン車と同じ挙動と動き方をする。エンジンの回転数が変な動きをするようなことはない。加速も十分にしていきあっという間にパイロンに到着する。Uターンして再加速したときも、アクセルに対してのツキの悪さも感じないまま試乗は終了した。

エンジニアから「どうでした?」と聞かれるが、答えようの無いくらいいたって普通の乗り味を感じた。トヨタが走らせるNo. 28 ORC ROOKIE GR86 CNF Conceptや、スバルが走らせるNo. 61 Team SDA Engineering BRZ CNF Conceptのプロドライバーが、CNFを使っても乗り味は普通のガソリンと同じ、と言っている理由が分かるほど乗り味は変わらない。

マツダCX-5は、ユーグレナ社が製造する次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」を、20%ほど普通ディーゼル燃料に混ぜた状態での試乗となった。レースではNo. 55 MAZDA SPIRIT RACING MAZDA2 Bio Conceptに、ユーグレナ社製のサステオ100%の次世代バイオディーゼル燃料を使用している。レーシングカーには燃焼の制御を調整する機能があり、サステオの性能を生かすことが可能だが、量産車にはそういった機能がないので、問題無い範囲での使用量となっている。サステオはJIS規格に合致してはいるが、普通に流通している普通軽油とは違うので、量産車に使うのであれば、調整しなくてはいけない成分もあるそうだ。今回は調整しなくても問題無い範囲での混合となっている。

同じ試乗でアクセルを踏んで加速していき、パイロンでUターン、再加速して再びUターンとなる。普通軽油とまったく変わらない加速感と速度のノリ。ディーゼル特有の振動や音も違いが分からない。

GR 86もCX-5も、係からこちらが普通車でこちらがCNF燃料です。とアナウンスされて乗ったため、若干のプラシーボ効果があってCNFの方が走りが軽くなるような気もしたが、実際には違いはないとのこと。どちらの車両がどの燃料を使っているか知らされないまま乗ったら、違いに気がつく人はどれだけいるか。

最大の課題はどのように燃料を確保するか、だ。GR 86とBRZで使ったCNFには調達や値段の問題がある。ユーグレナ社製のサステオは現在実験プラントでの製造となっており、1Lあたり1万円をこえる価格が問題になる。新たなプラントが出来上がり、製造量が増えて、使用量が増えれば1Lあたり250円前後まで価格を下げることもできるという。

《雪岡直樹》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  2. 船上で水素を製造できる「エナジー・オブザーバー」が9年間の航海へ
  3. 最後のフォードエンジン搭載ケータハム、「セブン 310アンコール」発表
  4. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
  5. 高機能ヘルメットスタンド、梅雨・湿気から解放する乾燥ファン搭載でMakuake登場
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
ランキングをもっと見る