満足な乗り心地とスタイリングが得られるサスペンション…HKS HIPERMAX Sに注目

満足な乗り心地とスタイリングが得られるHKS HIPERMAX Sに注目
満足な乗り心地とスタイリングが得られるHKS HIPERMAX Sに注目全 17 枚

チューニングパーツメーカー最大手のHKSはサスペンションにもこだわっている。完全自社生産車高調は新世代となり、新たな技術を盛り込んで進化している。今回はその性能を箱根で改めてテストする。

◆硬さだけでない乗り心地の良さ
収束性能が高まって快適度アップ

HKSは総合チューニングパーツメーカー。マフラーやターボ、エアクリーナー、ECUチューニングツールなどラインアップは多岐に渡る。その中でもサスペンションは自社生産にこだわり性能を追求してきた。

HIPERMAXシリーズは古くから使われているネーミングだが、これまでHIPERMAX2/3/4と展開してきた。それが5ではなくHIPERMAX Sとして進化した。その理由はこれまでのシリーズの延長ではなく、刷新した新たな性能だからこそ、Sというネーミングになったのだという。

今回箱根ターンパイクで試乗会が行われ、トヨタの『ヴォクシー』と『アルファード』、そして『GR 86』でその性能を確認した。いずれもタイヤ&ホイールまでチューニング。インチアップは乗り心地には厳しい条件だったが、どちらもその快適さが際立った結果となった。

◆<ヴォクシー試乗編>軽快感を引き出す、ハリのあるしなやかさ

ハイパーマックスSを装着したトヨタ ヴォクシーハイパーマックスSを装着したトヨタ ヴォクシー

ヴォクシーは走り出しから、軽快感の高まりが特徴。クルマが軽くなったような感じで、ワインディングのコーナリングも「よっこいしょ」とならず、ロールを抑えながら気がつけば曲がって行くような感覚。大柄で重いボディにありがちな「さあ、曲がるぞ!」と構えて、クルマがロールしてから曲がる感じがない。全高の低いセダンのようにスムーズに曲がっていける。

サスペンションを硬くすればそういったフィーリングにするのも難しくない。しかし、このハイパーマックスSはすごくしなやかで乗り心地が良い。リアシートでの乗り心地も同様で、突き上げ感もほとんどない。純正サスと言われれば信じてしまいそうなくらいの快適性。むしろ適度に締め上げられているので、ワインディングでも酔いにくい。

ハイパーマックスSを装着したトヨタ ヴォクシーハイパーマックスSを装着したトヨタ ヴォクシー

タイヤは前後ともに225/40R19のYOKOHAMA BluEarth-RV RV03を装着。サスペンションのおかげで19インチとは思えないしなやかさを得ている。車高も見た目の通り、グッと下がる。同乗者にはシンプルな挙動になることで酔いにくく、ドライバーにとっては思い通りに動く挙動によって、ドライビングの楽しさも高まっている。

◆<アルファード試乗編>上下動を気持ちよく収束するダンパー性能

ハイパーマックスSを装着したトヨタ アルファードハイパーマックスSを装着したトヨタ アルファード

アルファードは元から重厚な乗り味が特徴。ハイパーマックスSではその高級感は維持しつつ、車高をダウン。そうなるとありがちなのは、やや引き締まったサスペンションになること。車高が下がる分、バネレートを上げてストローク量を規制しなければならないので、当然サスペンションは硬くなる。

ハイパーマックスSを装着したトヨタ アルファードハイパーマックスSを装着したトヨタ アルファード

そうなると乗り心地も悪くなりがちだし、せっかくのアルファードらしい走りの高級感も薄れがち。しかし、ハイパーマックスSでは、そのキャラクターに合わせた演出が上手にされている。そしてこのアルファードには9月発売予定となるハイパーマックスS パフォーマンスパッケージが装着されている。これはハイパーマックスSに加えてパフォーマンスダンパー(R)とドアスタビライザーをアルファード/ヴェルファイアに最適化した形でパッケージされた専用品となっている。

ハイパーマックスSを装着したトヨタ アルファードハイパーマックスSを装着したトヨタ アルファード

良い意味での重厚さや、どっしりとした安定感、高級感は維持しつつ、そのダンピング性能を向上。段差を超えた際の収まりが良い。硬さは感じず、ノーマルよりも上下動の収まりがよくなっているので、スッと段差をクリアできる。それでいてタイヤは245/40R20のAVID ENVigor S321を前後に装着。20インチを装着しているとは思えない、突き上げ感の無さと、その後の収まりの良さを実現している。その性能から改めて、進化したHIPERMAX Sの内部パーツの進化を感じた。

◆<GR86試乗編>スポーツサスキットのお手本の様な操縦性

ハイパーマックスSを装着したトヨタ GR86ハイパーマックスSを装着したトヨタ GR86

GR86はまさにスポーツサスキットらしい乗り味。バネレートはある程度高く、ロールを抑えている。しかし、タイヤと路面は離れず、常に路面をキャッチしている。とくにHIPERMAX 4GTから進化を感じられたのは、速度の低い時。4GTでもサーキットやワインディングの性能は十分に持っていた。それがSになって感じられたのは、街乗りの速度域での乗り心地の部分。4GTでも硬くはなかったが、やや上下動の収まりに時間が掛かることがあった。路面の微細な凹凸を拾って、そこから上限に振幅することがあった。

それがSになってからは、たっぷりとした減衰力が適度に効くことで上下の振幅が抑えられた。乗り心地も安定し、目線もブレない。フラット感が高められている。これは街乗りがもっと楽しく快適になる。

ハイパーマックスSを装着したトヨタ GR86ハイパーマックスSを装着したトヨタ GR86

タイヤは235/40R18 ADVAN NEOVA AD09で、スポーツキャラクターでありながらフラットなライド感は普段乗りでも快適で楽しくなる。

◆内部のパーツが進化を遂げることで新たな性能を獲得

HKSの強みは自社生産であること。その強みを活かしてこれまでも細かな進化を続けている。HIPERMAX 4GT時代に、2020年モデルとして「20SPEC」を発売。内部のパーツを進化させることで、より緻密な減衰力を発生させ、その質感を高めていた。そういった技術の進化を取り込んだのがHIPERMAX Sなのだ。

サイレントチューブサイレントチューブ

具体的には減衰力を発生させるピストンバルブに蓋をしているシムに、あえてテンションを掛けている。それによってピストンスピードが遅い領域での減衰力を十分に発生させて、しなやかな特性を持たせる。

デュアルプリロードバルブシステムを採用しているデュアルプリロードバルブシステムを採用している

かつ、ピストンスピードが速くなる領域ではスムーズにオイルを流すことができるので、段差を乗り越えるときには突き上げを防げる。Dual PVSと名付けられたセッティング手法だ。

運転操作に伴うダンパーのピストンスピードが遅い領域ではたっぷりと減衰力を効かせることで、しっとりとした質感を実現。段差を超えるピストンスピードが速い領域では、オイルを素早く逃してサスを沈ませてボディの上下動を防ぎ、また素早くたっぷりとした減衰力で車体全体を落ち着かせる。ハンドリングと快適性を両立させている。

減衰力は30段階で調整が可能減衰力は30段階で調整が可能

さらに減衰力調整のニードルはその形状にこだわる。WRニードルと名付けられたものになり、減衰力調整の幅を拡大。減衰力調整は何段階あっても、その変化がなければ意味がない。HKSでは減衰力変化の大きくなるように設計したニードルとすることで、より幅広いセッティングに対応できるようにしている。

アドバンスドバンプラバーアドバンスドバンプラバー

バンプラバーはサスペンションが大きく沈み込んだときに受け止めるウレタン製のパーツ。これまではストロークしすぎたときの保護的な意味が大きかったが、新たにその形状や材質を変更。車種によってはあえて早めにバンプタッチさせることで、沈むほどにバネレートが高まるようなフィーリングで懐の深さを獲得している。

ほかにも定評ある表面処理や細かな面取りがされているアッパーマウントなど、取り付けたらオーナーにはわからない部分にもこだわる。走っている時はわからなくても車高調整時や、何年も使い続けたときのタフさにその差が現れる。そういったことまでに配慮されたHKSの王道モデルがHIPERMAX Sなのだ。


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¥5,800 (¥387 / 個)
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

《加茂新》

加茂新

加茂新|チューニングカーライター チューニング雑誌を編集長含め丸15年製作して独立。その間、乗り継いたチューニングカーは、AE86(現在所有)/180SX/S15/SCP10/86前期/86後期/GR86(現在所有)/ZC33S(現在所有)。自分のカラダやフィーリング、使う用途に合わせてチューニングすることで、もっと乗りやすく楽しくなるカーライフの世界を紹介。

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