フェラーリのPHV『296GTB』、サーキット仕様を出展へ…グッドウッド2022

軽量化と専用チューンの足回り

PHVシステム全体で830hpのパワーを獲得

0-100km/h加速2.9秒で最高速は330km/h以上

フェラーリ296GTBアセット・フィオラノ
フェラーリ296GTBアセット・フィオラノ全 10 枚

フェラーリは6月20日、英国で6月23日に開幕する「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」に、新型プラグインハイブリッド(PHV)スポーツカー『296GTB』の「アセット・フィオラノ」(Ferrari 296 GTB Assetto Fiorano)を出展すると発表した。

写真:フェラーリ 296GTB の「アセット・フィオラノ」

◆軽量化と専用チューンの足回り

アセット・フィオラノ=フィオラノ・パッケージの設定は、フェラーリのフラッグシップモデルの『SF90ストラダーレ』に続くもの。フィオラノは、フェラーリの自社サーキット(テストコース)の名前だ。296GTBのアセット・フィオラノでは、パワーとパフォーマンスをサーキットで最大限に活用したい顧客に向けて、軽量パーツや空力的モディファイ、GTレースのノウハウを生かしたサスペンションなどを採用している。

アセット・フィオラノでは、軽量化や専用エアロパーツの装着が行われた。主な装備には、サーキット走行に最適化された特別なアジャスタブル・マルチマチック・ショックアブソーバーや、10kgのダウンフォースを上乗せするフロントバンパーのカーボンファイバー製ハイダウンフォースパーツ、「レクサン」樹脂製リアスクリーンがある。また、カーボンファイバーなどの軽量素材を、キャビンとエクステリアに幅広く使用した。アセット・フィオラノでは、ドアパネルなど、標準仕様の基本構造を再設計する必要が生じたコンポーネントもある。その結果、全体で12kgを超える軽量化を実現しているという。

アセット・フィオラノを選択すると、1963年に発表されたフェラーリ『250LM』をイメージした専用カラーリングをオーダーすることができる。フロントバンパーからセンターグリルを覆ってアウトラインを際立たせ、ボンネットからルーフ、リアスポイラーへと流れるストライプを施したカラーリングが選べる。アセット・フィオラノでのみでオーダーが可能なパーツには、15kgの軽量化が可能なレクサン樹脂製リアスクリーンや、高いグリップ力でサーキット走行に適したミシュランの高性能タイヤ、「スポーツ・カップ2R」がある。

◆PHVシステム全体で830hpのパワーを獲得

296GTBには、フェラーリのロードカーとして初めて、シリンダーバンク角が120度のV型6気筒ターボエンジンを搭載し、PHVシステムの電気モーターを組み合わせている。新しいV6エンジンは、フェラーリのエンジニアが専用に設計・開発したもので、フェラーリで初めて、ターボをVバンク間に配置している。その結果、新しいV6は、最大出力663hpを発生し、排気量リッターあたりのパワーが221hpという市販車の新記録を打ち立てているという。

V6ターボの後方には電気モーターが組み合わされており、296GTBのPHVシステム出力は830hpと、後輪駆動スポーツカークラスの最強に位置する、と自負する。PHVパワートレインは、V6ターボエンジン、8速デュアルクラッチトランスミッション、「Eデフ」、エンジンとトランスミッションの間に位置する「MGU-K」で構成する。クラッチはエンジンとモーターの間にあり、電気のみを使う「eDrive」モードでは両者を切り離す。高電圧バッテリーと、モーターを制御するインバーターも搭載する。

電気モーターを後輪駆動のみに使うPHVアーキテクチャーは、296GTBがフェラーリ初だ。電気モーターはリアに搭載され、最大出力167hpを発生する。モーターとエンジンは、「トランジション・マネージャー・アクチュエーター(TMA)」を介して連携し、同時に使用すればシステム出力830hpを発揮し、切り離してモーターのみで走行することも可能だ。

◆0-100km/h加速2.9秒で最高速は330km/h以上

MGU-Kは、ダブルローター、シングルステーター型のアキシャルフラックスモーターだ。サイズと構造がコンパクトなため、パワートレインの全長を短くでき、296GTBのホイールベースを2600mmへ短縮することにつながったという。このモーターが高電圧バッテリーを充電するほか、エンジンを始動させ、トルクとパワーを上乗せし、EVモードのeDriveモードでの走行を可能にする。バッテリーは蓄電容量が7.45kWh 。EVモードの航続は最大25kmで、この時の最高速は135km/hとした。

296GTBの高電圧バッテリーは、製造時にレーザー溶接を使用する設計によって、7.45kWhの蓄電容量と高いパワーウェイトレシオを実現した、と自負する。バッテリーパックはフロア下に位置し、容積と重量を最小化するため、冷却システムと構造部材、固定装置はひとつのコンポーネントに組み込まれた。セルモジュールは直列に接続された80個のセルで構成。セルスーパーバイザーコントローラーは各モジュール内に直接組み込み、サイズと重量を削減した。

トランスミッションは8速デュアルクラッチ「F1」。乾燥重量は1470kg。296GTBの動力性能は、0~100km/h加速が2.9秒で、最高速は330km/h以上に到達する。


《森脇稔》

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