アストンマーティン最後のV12、『ヴァンテージ』がヒルクライム出走予定…グッドウッド2022

最大出力700psを発生する5.2リットルV12ツインターボ

新開発のサスペンションとカーボンセラミックブレーキ

全幅を40mm拡大するなどの専用デザイン

アストンマーティン V12ヴァンテージ新型
アストンマーティン V12ヴァンテージ新型全 10 枚

アストンマーティンは6月20日、英国で6月23日に開幕する「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」のヒルクライムに、新型『V12ヴァンテージ』(Aston Martin V12 Vantage)が出走すると発表した。

グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードの恒例行事が、ヒルクライムだ。スーパーカーを含めた市販車だけでなく、F1やWRC(世界ラリー選手権)マシンなどが、およそ1.86kmのコースを一気に駆け上がり、観客を沸かせる。

◆最大出力700psを発生する5.2リットルV12ツインターボ

2017年に発表された現行『ヴァンテージ』はV8エンジン搭載車のみで、V12エンジン搭載車は用意されていない。先代ヴァンテージには2013年5月から、『V12ヴァンテージS』が設定されていた。新型V12ヴァンテージは、久々のV12エンジン搭載車になると同時に、アストンマーティンにとってV12ヴァンテージ新型が最後のV12内燃機関車となる。世界限定333台はすでに完売しているという。

パワートレインは、5.2リットルV型12気筒ガソリンツインターボエンジンだ。最大出力700ps/6500rpm、最大トルク76.8kgm/1800~6000rpmを引き出す。低中速域の豊かなトルクと、高回転域のスリリングなパワーを組み合わせているという。0~96km/hを3.4秒で駆け抜け、最高速は320km/hに到達する。パワーウェイトレシオは、390ps/トン。これは、V8エンジン搭載のヴァンテージと比較すると、20%以上も高い数値だ。

V12エンジンのパワーとトルクは、ZF製8速ATと機械式LSDを介して、後輪に伝達される。8速ATに専用チューンが施された結果、シフトスピードとドライバーとの一体感が強化されているという。アダプティブソフトウェアは、運転状況とドライバーの意思を学習して、適切なタイミングで適切なギアを選択する。

アストンマーティン V12ヴァンテージ新型アストンマーティン V12ヴァンテージ新型

◆新開発のサスペンションとカーボンセラミックブレーキ

新しいアンチロールバー、ブッシュ、スプリング、ダンパーで構成される新開発のアダプティブダンピングサスペンションを採用した。スプリングレートは、フロントで50%、リアで40%強化されており、トップマウントの剛性も13%引き上げられた。また、アンチロールバーの剛性は、フロントを5%高めながら、リアは41%ソフトな設定とした。これは快適性への配慮であり、リアにはテンダースプリングを組み合わせる。テンダースプリングは、メインスプリングよりもスプリングレートが低く、ドライビングダイナミクスに影響を与えずに優れた乗り心地を実現する、と自負する。

フロント/リアのシアーパネル、リアのストラットタワーブレース、燃料タンクブレースなどの補強により、ボディ剛性は8%、横剛性は6.7%引き上げられた。さらにステアリングのキャリブレーションが変更され、ステアリングフィールが向上しているという。

標準装備のカーボンセラミックブレーキ(CCB)システムは、フロントが410mm×38mm径ディスクと6ピストンキャリパー、リアが360mm×32mm径ディスクと4ピストンキャリパーを採用した。CCBディスクは、ブレーキ性能の強化とバネ下重量の低減を同時に達成するだけでなく、高温下でも安定した制動力を発揮し、800度でもブレーキフェードを起こしにくいという。

CCBテクノロジーは、スチール製ブレーキと比較して23kg軽い。21インチのアルミホイールには、サテンブラックとサテンブラックダイヤモンド旋削仕上げの2種類の仕上げが用意される。さらに8kgの軽量化を可能にするサテンブラックの軽量ホイールもオプション設定した。タイヤは、ミシュラン「パイロット4S」で、フロントが275/35R21、リアが315/30R21サイズを装着する。

アストンマーティン V12ヴァンテージ新型アストンマーティン V12ヴァンテージ新型

◆全幅を40mm拡大するなどの専用デザイン

コーナリング性能と安定性の最適化のために、ワイドトレッドのシャシーが採用された結果、全幅は40mm拡大された。カーボンファイバーを多用し、ワイドボディデザインを強調しながら、空力性能も追求している。

フロントには、バンパーデザインと呼応するフルワイドのリップスポイラーを装着し、ダウンフォースの強化と空力パランスの最適化を図った。フロントのラジエーターに大量の空気を導入するため、フロントグリルは25%拡大された。また、ボンネットには、熱気の放出を促す馬蹄形のエンジンベントを追加している。有機的な形状に仕上げられたシングルピースのサイドシルは、モータースポーツにインスピレーションを求めており、歴代V12ヴァンテージとの繋がりを感じさせるのが狙いという。

リアには、専用設計のバンパーと一体型ディフューザーを採用した。リアウィングは、最高速走行時に204kgのダウンフォース発生に貢献する。新しいリアのストラットタワーブレースは、露出したデザインだ。軽量化のために、フロントバンパー、ボンネット、フロントフェンダー、サイドシルにカーボンファイバー、リアバンパーとデッキリッドにはコンポジットを使用した。さらに、軽量バッテリーや専用のセンターマウント2本出しエキゾーストステムも採用した。厚さ1mmのステンレスで製作されたエキゾーストシステムは、ヴァンテージよりも7.2kg軽い、としている。


《森脇稔》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「変形ロボじゃん」可変カウル装備の新型BMW『R 1300 RT』にファン驚愕
  2. 日産『テラノ』が4年ぶり復活!? ブランド初のPHEVクロスオーバーSUV
  3. 「日本仕様もこのままで!」“2つの顔”を持つ新型トヨタ『カローラクロス』にSNS興奮
  4. ホンダ『レブル250』と「Eクラッチ」の相性は? “立ちゴケ”ともサヨナラ、その優等生ぶりに驚いた
  5. 自動車7社決算分析、「稼ぐ力」首位はスズキの11%、2位トヨタを上回る[新聞ウォッチ]
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. シェフラーがヴィテスコ合併後初の出展、ポートフォリオ拡大と顧客対応力をアピール…人とくるまのテクノロジー展2025
  2. VWと米ウーバーが提携、『ID. Buzz』の自動運転車を運行へ
  3. BYDが「軽EV」の日本導入を正式発表、2026年後半に
  4. 【学生向け】人とくるまのテクノロジー展 2025 学生向けブース訪問ツアーを開催…トヨタ、ホンダ、矢崎総業、マーレのブースを訪問
  5. トヨタ「GRファクトリー」の意味…モータースポーツのクルマづくりを生産現場で実現【池田直渡の着眼大局】
ランキングをもっと見る