[カーオーディオ“なぜ?”]外部パワーアンプの価格差が大きい

「外部パワーアンプ」をシステムに組み込んだオーディオカーの一例(製作ショップ:イースト<大阪府>)。
「外部パワーアンプ」をシステムに組み込んだオーディオカーの一例(製作ショップ:イースト<大阪府>)。全 6 枚

カーオーディオには、初心者にとって“分かりづらい”ポイントが多々ある。当連載では、それら“分かりづらい”と思われがちな事柄の意味や理由を解説している。今回も、「外部パワーアンプ」に関して抱かれがちな“素朴な疑問”の答を説明していく。

もっとも廉価なモデルは2万円以下。もっとも高価なモデルはなんと…。

さて当回では、「外部パワーアンプ」の価格差が大きいことについて、その理由を説明していく。

実際、どのくらいの価格差があるのかと言うと…。まず、市場にある「外部パワーアンプ」の中でもっとも廉価なモデルというと、例えばカロッツェリアの『GM-D1400ll』や『GM-D8400』だろう。ちなみに前者の税抜価格は1万6000円で後者のそれは2万7000円だ。

ところで以前の記事で説明したとおり「外部パワーアンプ」にはch数違いがあるのだが、ch数が増えるごとに使用パーツの数が倍増していく。なので価格を比べる場合には1chあたりの価格を比べた方が違いが分かりやすくなる。で、『GM-D1400ll』は4chモデルなので、1chあたりの価格はざっと4000円だ。

対して超高級なパワーアンプというとさまざまあるが、例えばイタリア発のハイエンドブランド、シンフォニ/クワトロリゴではトップエンド機として『デシデリオ』を擁していて、当機の税抜価格はなんと、200万円だ。なお当機は2chモデルなので、1chあたりの価格は100万円だ。『GM-D1400ll』と比べて250倍、という

市販「外部パワーアンプ」の一例(カロッツェリア・GM-D8400)。市販「外部パワーアンプ」の一例(カロッツェリア・GM-D8400)。

わけだ。

「A級」と「AB級」のモデルは特に、コストをかければかけるほど高性能化する!?

なお前回の記事で触れたように、「外部パワーアンプ」には動作方式の違いがいくつかある。カーオーディオ用のモデルでは「A級」「AB級」「D級」、この3タイプがあるが、「D級」のみ仕組みが特殊だ。で、「D級」はその構造的な性格により比較的にリーズナブルに仕上げやすい。ちなみに例として挙げた『GM-D1400ll』は、「D級」だ。それもあって手頃な価格に抑えられている。

対して「A級」と「AB級」のモデルは、コストをかければかけるほど高性能化が図れる。というのも「A級」と「AB級」の「パワーアンプ」は特に、基本的な仕組みがシンプルだ。もちろん最新の機種にはさまざまな先端技術が盛り込まれてはいるものの、音楽信号を増幅するという根本的な部分は、その仕組みは発明当時からほとんど変更されてはいない。

で、そういったタイプの工業製品はとかく、使用パーツ等々に贅を尽くせば尽くすほど性能が比例して上がっていく。例えば高級腕時計もその色彩が濃い。使用するパーツに高級素材を用いれば用いるほど精度が高められ、高額化していく。もちろん、大量生産できるかそうでないか、さらにはブランド力も価格に影響を与えるが、高価なモデルほど高級素材がふんだんに使われていることもまた事実だ。パワーアンプでも、同様のことが起こるのだ。

市販「外部パワーアンプ」の一例(シンフォニ/クワトロリゴ・デシデリオ)。市販「外部パワーアンプ」の一例(シンフォニ/クワトロリゴ・デシデリオ)。

高ければ良い、ということでもない。しかし高級なモデルが高性能であることも確か。

ただし、できる限り高額なモデルを選べば良いかというと、そうとは限らない。高級機が高性能であることは事実だが、それが「好み」に合うか否かはまた別問題だからだ。最終的には音を聴いてみないと分からない。特に、高額なモデルになればなるほど製品の個性が出やすくなるという側面もある。その個性が「好み」に合っているかどうかは、サウンドを確認しないと判断がつかない。

ちなみに、「好み」に合うかどうかは別要素も影響してくる。例えば、デザインに惹かれることもあればブランドの歴史やコンセプトに感銘を受けることもある。そういった要素もひっくるめて、“惚れ込める”製品を選びたい。

でも、グレードが上がるごとに性能が上がることもまた事実だ。例えば5万円のモデルと50万円のモデルとでは使われているパーツの質がそもそも異なり、性能レベルも別次元となる。このように、グレード格差は確実に存在する。より良いモデルを望むのであれば、ある程度ハイグレードなモデルをターゲットにした方が有利だ。

今回は以上だ。次回も、「外部パワーアンプ」に関して抱かれがちな疑問の答を解説する。お楽しみに。

《太田祥三》

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