電動立ち乗りモビリティ『トリタウン』いよいよ量産に向け進化、公道を走るための課題とは

ヤマハ発動機の進化した『トリタウン』(イベント総合EXPO)
ヤマハ発動機の進化した『トリタウン』(イベント総合EXPO)全 24 枚

ヤマハ発動機が開発するフロント2輪の小型電動立ち乗りモビリティ『TRITOWN』(トリタウン)。様々な場所で実証実験がおこなわれているが、いよいよ量産に向けたプロトタイプが、第9回イベント総合EXPO(東京ビッグサイト 6月29日~7月1日開催)で公開された。

実証実験モデルよりも明らかに無骨で骨太になった量産プロトタイプモデルは、どう進化を遂げ、この先どこをめざすか。開発担当者に聞いた。

量産に向けた進化は

ヤマハ発動機の進化した『トリタウン』(イベント総合EXPO)ヤマハ発動機の進化した『トリタウン』(イベント総合EXPO)

ヤマハ TRITOWN(トリタウン)は、LMW(Leaning Multi Wheel)機構を備えたフロント2輪の小型電動立ち乗りモビリティ。ライダーはバイクのようにハンドル・ブレーキ操作しながら前2輪で旋回し、いっぽうでスキーのように両足の荷重移動でバランスコントロールして走るという、新しいモビリティだ。

各国の法律に即した利用を前提に、2023年中の市場投入をめざして開発してきたトリタウン。その量産プロトタイプをみると、前述のように実証実験モデルよりも明らかにボディが大きくなり無骨なイメージに。

「世界へ売っていくのにあわせて海外ユーザの体格にあわせて耐用荷重レベルもアップさせている。実証実験モデルは自転車と同じスポークだったけど、量産プロトタイプは鍛造ホイールにし、フレームも太くした」と話すのは、ヤマハ発動機 ランドモビリティ事業本部 LM戦略統括部 PLEV事業推進グループの伊藤聡主査。

ヤマハ発動機の進化した『トリタウン』(イベント総合EXPO)ヤマハ発動機の進化した『トリタウン』(イベント総合EXPO)

「フロントからリアまでフレームを隠すように難燃性プラスチックボディで覆っているのは、安全性の面から。衣服の巻き込みを防止する目的もある。泥除けカバーもそう」

また走りも変わったという。伊藤主査は「実証実験では『もっとパワーがほしい』『脚のクッション性をあげてほしい』といった声があった。こうしたニーズに応えるべく改良し、坂道もストレスなく登れるようになった。実証実験では自転車が走れる公道で6km/hだったけど、こちらは最高25km/hまで走れる」と話す。では、来年にも市販化されるというこのヤマハ TRITOWN(トリタウン)はどんなところで活躍するか。

「レジャー施設や商業施設、公園などを想定しているが、工場内や空港内でもトリタウンは活躍すると想定している。まずはクローズドエリアでの活躍を想定していて、法人むけに販売していく予定。たとえばボディをその事業者のカラーに仕立てるなどのカスタマイズサービスなども、まだ検討中」

個人向け販売も視野に

ヤマハ発動機の進化した『トリタウン』(イベント総合EXPO)ヤマハ発動機の進化した『トリタウン』(イベント総合EXPO)

ちなみにこのトリタウン、ブレーキは自転車やバイクと同様のレバーを手前に引くタイプだが、アクセルはグリップを回転させるバイクのとは違い、右手親指でレバーを前側に押し回して加速するという運転イメージ。活躍の場はまずはクローズドエリアでというが、ではその先、国内の公道を走行できるようになると、どんなカテゴリのなかで走るのか。

「国内では、国交省が打ち出した新車両区分『低速小型電動車』というカテゴリにこのトリタウンが入るんじゃないかと想定している。どこのカテゴリに入るようにするかも今後さらなる検討がいる。国の新しいガイドラインにこのモビリティがのっかるかどうかなども検討課題」

「ほぼ世界各国の法規制に対応できている」というヤマハの世界戦略モビリティ TRITOWN(トリタウン)。来年には事業者・自治体・団体などにむけて販売が始まり、その先に個人むけ販売も検討しているというから、楽しみだ。

《レスポンス編集部》

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