トランクにそびえるGTウイングは予想以上の効果が![カスタムHOW TO]

トランクにそびえるGTウイングは予想以上の効果が![カスタムHOW TO]
トランクにそびえるGTウイングは予想以上の効果が![カスタムHOW TO]全 2 枚

レーシングカーやチューニングカーでは定番のトランクに付けられているウイング。GTウイングと呼ばれるそれは空気を味方につけるためのものだが、実はもっとも効くのはブレーキングなのだ。

◆翼断面を逆さにしてクルマを地面に押し付けるのがウイング

GTウイングは飛行機の羽と同じ翼断面形状になっていて、それを上下逆に装着することでクルマを地面に押し付けるダウンフォースを発生させる。同じような目的でトランクの形状を斜めに立てたようなものはスポイラーと呼ばれる。こういったものは走行風を上に逃がすことでダウンフォースを発生させる。どちらもダウンフォースが発生するのは同じだが、スポイラーの方が空気抵抗が発生しやすい。いわゆるドラッグ(抵抗)というもので、ダウンフォースも発生するがストレートスピードが落ちたり、燃費が悪化したりする。レーシングカーでは好ましくないので、現代ではGTウイングが使われることが多い。

対するGTウイングはそれ自体が空気抵抗になるが、スポイラーよりは抵抗になりにくい。翼断面形状でウイングの下面の流速を上げることでダウンフォースを発生させるので、上面を水平にマウントしていても効く。立てると上面にスポイラー的な作用が発生するのでドラッグも発生するが、そこでダウンフォースを発生させることも可能。しかし、あまり立てると下面の走行風がウイングから乖離してしまって、そこでダウンフォースが発生しなくなってしまう。

◆実は加速時はそんなに効かない

巨大なGTウイングというと、ハイパワーなチューニングカー、とくにFR車などで鋭い加速をするために取り付けていると思いがちだが、じつは加速時はそこまで効かない。理由は速度が低いから。とにかく走行風が当たらないと効果を発揮しないので、ヘアピンコーナーの脱出時には速度が低くてあまり効果を発揮してくれないのだ。一番効果を発揮するのはブレーキング時。速度が高いのでそもそもダウンフォースが出ている。そこで強いブレーキングをしたときに、リアが不安定になることもある。そういった状況でリアをウイングがガツンと抑えてくれるので安心して止まることができる。GTウイングが効いているともっと奥でブレーキングでき、もっと飛び込める。レースではライバルを抜く最大のチャンスはこのブレーキングなので、GTウイングが効果を発揮してくれれば、ライバルのインに入ってズバッと抜くことができるのだ。

◆思った以上に効くので街乗りでも効果は高い

ヘアピンコーナーの速度ではそれほど効かないと記したが相対的な話であって、GTウイングは思った以上に低速から効いている。その位置も大切でセダン車でトランクの低い位置にマウントした場合、走行風があまり当たらないので効きにくい。ハッチバック車のルーフエンドに取り付けたり、セダンでもトランクの高い位置に取り付ければ、走行風がダイレクトに当たるので格段に効果を発揮するようになる。効く位置に取り付けると、一般道の60km/hくらいでも効果は分かるくらいなのだ。それだけ効くので取り付けと、前後バランスには気をつけたい。

装着自体はトランクに穴を開けて取り付けるのが一般的だが、内部の骨に固定するようにしないとトランクの鉄板の剛性だけでは凹んでいってしまうこともある。本格的なチューニングカーではトランク内部にフロアまで支柱を作って、そこにGTウイングのダウンフォースを掛かるようにしているほど。サーキットで200km/hともなれば、数十kgではなく、3桁kgが掛かる可能性があるのだ。

そして、前後バランスも考慮したい。リアにGTウイングだけを装着すると、リアの安定感は高まるが、相対的にフロントが心もとなくなる可能性がある。とくにリアウイングを セダンのトランク後端に装着すると、テコの原理でフロントタイヤを浮かせようという力も発生する。それとダウンフォースバランスがリアだけ高まると、顕著にフロントタイヤの手応えが悪くなる可能性がある。

「オレはそんなにスピード出さないから大丈夫」という人もいるが、想像以上に効いているのがウイング。GTウイングを装着したら、フロントリップスポイラーをつけるなど、セットで考えたいところ。

最後に車検について。GTウイングは車幅内の規定に収まっていれば合法。もしくは車体との距離が近ければOKというルールもあるので、それらの規定に従って取り付けてもらいたい。合法ウイングでも十分な効果は発揮してくれる。


#N/A 金属F-15イーグル飛行機3D金属モデルキット
¥3,676
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

《加茂新》

加茂新

加茂新|チューニングカーライター チューニング雑誌を編集長含め丸15年製作して独立。その間、乗り継いたチューニングカーは、AE86(現在所有)/180SX/S15/SCP10/86前期/86後期/GR86(現在所有)/ZC33S(現在所有)。自分のカラダやフィーリング、使う用途に合わせてチューニングすることで、もっと乗りやすく楽しくなるカーライフの世界を紹介。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 船上で水素を製造できる「エナジー・オブザーバー」が9年間の航海へ
  2. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  3. 最後のフォードエンジン搭載ケータハム、「セブン 310アンコール」発表
  4. 高機能ヘルメットスタンド、梅雨・湿気から解放する乾燥ファン搭載でMakuake登場
  5. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
ランキングをもっと見る