20年目の『アルトラパン』、初代の味わい深い存在感は「癒し軽」だった【懐かしのカーカタログ】

スズキ・アルトラパン(初代)
スズキ・アルトラパン(初代)全 7 枚

スズキ『アルトラパン』の初代が登場したのは2002年、つまり今からちょうど20年“も”前のことになる。これまでに初代が6年、2代目が7年、さらに7年を迎えた3代目はこの6月に小改良を受け、新バリエーションの「LC」を加えたばかりだ。

スズキ・アルトラパン(初代)スズキ・アルトラパン(初代)

癒し“軽”……そんな表現を書いたり見かけたりした覚えがあるが、フランス語の“ウサギ”を車名にし、見るからにノホホンとした独特の商品性を打ち出して登場したのが初代『ラパン』。2360mmのホイールベースは、当時の『アルト』『ワゴンR』『MRワゴン』『Kei』などと共通。ただし意外にも全高は1505(または1515)mmと『アルト』より55~65mm高く設定され、だたのセダンタイプの軽自動車とはひと味違う、パッケージングにこだわった設計になっていた。

それにしてもやはり最大の特徴は、さり気なくシンプルでありながらも味わいのあるスタイルだった。雰囲気は現行型にも受け継がれているが、初代は一見すると単純なようだったが、ボディサイドでいうと僅かにインバースのかかった肩口や、プレスラインのないフード、往年の『スズライト』を連想させるような小さなノッチの付けられたリヤ、加飾モールを廃した窓まわりなど、言葉で言えば“気持ちのいいデザイン”。ペールトーンのボディ色も、プレーンなスタイリングにマッチしていた。

スズキ・アルトラパン(初代)スズキ・アルトラパン(初代)

インテリアも、今にして思えば『フィアット500』よりもこのクルマのほうが登場は先だったが、カラーパネルに丸型のメーターとエアベントを配置したデザインで、改めてカタログ写真を見て、そういえばコラムシフト式だったことを思い出す。空調パネルは3つの物理ダイヤルの今となってはやや旧式だが、(ボタン式のオートエアコンも設定があった)これはこれで操作しやすいものだった。シートも無闇に強い柄は用いず、よくみれば生地にパターンの入った、シンプルな表皮が用いられていた。

バリエーションとして64ps/10.8kg・mのインタークーラーターボ搭載の「SS」も設定。このモデルはモモのステアリング、スポーツバケットシートを備えていた。

スズキ・アルトラパン(初代)スズキ・アルトラパン(初代)

カタログに室内空間の余裕を説明した図が載っていたが、ハイトワゴン系ではないが、とくに後席の空間は広々としており“使える”クルマだったことは間違いない。最新の3代目と較べても見劣りしない……というよち、むしろ潔くコンセプトが明快な、存在感のあるカタチのクルマだった。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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