【スズキ アルトラパン LC 新型試乗】スズキ開発陣には“旧車マニア”がいる?…島崎七生人

スズキ アルトラパン LC X
スズキ アルトラパン LC X全 18 枚

聞けば『アルトラパン』の9割以上が女性ユーザーなのだそう。筆者の普段の足はチンク(フィアット500)だから人より抵抗感は少ないとはいえ、写真のボディ色の試乗車を受け取るなり、今回は「家内か娘のクルマです」と涼しい顔で試乗することにしようか……と思った。

初代の登場から今年で20年。軽の派生車の中には1世代で消えて言ったモデルも多い中、実に3世代も続いていることからも、このクルマの“定着ぶり”は伺える。これは実話だが、撮影途中にスーパーの駐車場に停めていると、隣りにシルバーの初代が並び、列の向かい側には2代目がいた。

スズキ開発陣には“旧車マニア”がいる?

スズキ アルトラパン LC Xスズキ アルトラパン LC X

6月のマイナーチェンジでは、夜間の歩行者も検知するデュアルカメラブレーキサポート、USB電源ソケット(Type-AとType-Cの2個)を全車に標準化したほか、グレードによりナノイーX搭載フルオートエアコン、360度プレミアムUV & IRカットガラス、LEDヘッドランプなどが投入され、装備の充実を図っている。

さらに『アルトラパンLC』の新設定もポイントだ。“LC”は何と1967年登場の2代目『フロンテ360』の型式(=LC10型)に由来するネーミングだそうで、なるほど、ちょっと風変わりな(!?)フロントグリル内のメッキの加飾は、LC10のフロントまわりのデザインをモチーフにしたものなのだった。従来の『ラパン』でも細かな横桟のフロントグリルが「初代スズライトフロンテを思わせるなぁ」と思わせられていたものだが、スズキの開発陣の中には往年のクルマ推しの“旧車マニア”がいるのかもしれない。

ハイトワゴン系でなくとも広々とした室内

スズキ アルトラパン LC Xスズキ アルトラパン LC X

内装はカタログを見るとシート表皮は1種類だが、レザー調+ファブリックの落ち着いた色調、風合いで男子でも場違いな感じはしない。改めて実感したのは、室内はハイトワゴン系でなくとも広々としている点。今回、我が家の3代目、目下見習いのモータージャーナリスト犬(柴犬・月齢4か月!)をクレートで乗せて“保育園”の送迎を兼ねて試乗したが、自宅のチンクでは前後席背もたれ間に愛用のクレートがすっぽりと収まるところ、写真のとおりラパンでは前方に余裕ができるほどだった。室内は広い上、フロントガラスを含め“窓”が立っていることから必然的にルーフが長く(広く)、ガラスが寝たクルマに較べ前後席ともに直射日光にさらされにくい点もありがたい。

スズキ アルトラパン LC Xスズキ アルトラパン LC X

パワーユニットは52ps/6.1kg・mの3気筒NA+CVTにエネチャージを搭載。動力性能は、最大2名+犬1匹(現在およそ7kg)+ペットボトル1ケース他の買い物といった普段使いでも、大きな不満はなかった。セレクトレバーのボタンで選べるSモードは、急な登坂路など力強さを保って走らせたい時に有効だ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「ミニGSX-R」をスズキがサプライズ発表!? 鈴鹿8耐マシン以上に「サステナブルかもしれない」理由とは
  2. 中国マイクロEV『小馬』10万台を販売した「かわいいペット」戦略
  3. 快進撃のヤマハ、次は「親しみやすいスーパースポーツ」で勝負!?「鈴鹿8耐2025」注目の1台
  4. ホンダ『プレリュード』新型、インドネシアでは「オールブラック」なプロトタイプを初公開
  5. 「日本版より洒落てる」2026年モデルの米国版トヨタ『カローラ』発表に、日本のファンも注目
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
ランキングをもっと見る