完成した電柱建替用車両。左からバケットを使って電線や電車線金具類の取付け・取外し作業を行なう「電柱用高所作業車」、電柱にあるトロリ線などを支持している金具を仮受する「装柱作業車」、クレーンでコンクリート製電柱を引き抜き、鋼管柱を建植する「電柱建植車」、鋼管柱と撤去したコンクリート製電柱を運搬する「電柱運搬車」。全 5 枚
JR東日本は7月5日、新幹線向けの電柱建替用車両が完成したと発表した。
3月16日に発生した福島県沖地震では、東北新幹線で電柱被害が約90本発生し、復旧に多大な時間を要する原因となった。JR東日本の新幹線では約2万本のコンクリート製電柱が使われているが、抜本的な耐震補強対策として、より強度が高い鋼管製に建て替える作業が進められることになった。
福島県沖地震で傾いた東北新幹線の電柱。これまで電柱の耐震補強ではコンクリート製電柱の上部と下部を別々に補強してきたが、それでも震度6強の揺れには耐えられなかった。
そこで今回完成した電柱建替用車両は、電柱用高所作業車、装柱作業車、電柱建植車、電柱運搬車からなる4両編成で、高架下の条件に左右されない建替え作業が可能となり、地震対策のスピードアップにつながるとしており、今後は3編成を追加投入する予定。
電柱建替用車両によるコンクリート製電柱から鋼管柱への建植の流れ。コンクリート製電柱をクレーンで引き抜き、吊り上げ、運搬車へ積載後、鋼管柱を運搬車から吊り上げ、クレーンで建植後固定。その後にトロリ線を支持する金具を取り付ける。《佐藤正樹(キハユニ工房)》