【アルピーヌ A110 新型試乗】スポーティなフランス車として選ぶなら「GT」が正解…九島辰也

アルピーヌ A110 GT
アルピーヌ A110 GT全 20 枚

かつてルノーグループのモータースポーツ部門を担っていたルノースポール。だが、昨年5月グループ内での統廃合が行われ、アルピーヌが一手に引き受けることになった。今年も元気にF1はもちろん、WECに参加している。

そのアルピーヌの手により『A110』が進化した。新たにアルミパーツを多用し、徹底的に軽量化。これまでスチールや樹脂パーツだったところを見直し、ボディパーツの96%をアルミ化したというから恐れ入る。本気だ。でもってエンジンは1.8リットル直4ターボをパワーアップ。今回はコンピューターチューンで300psに到達させた。

アルピーヌ A110 GTアルピーヌ A110 GT

ユニークなのは3つのグレードを持つこと。252ps+アルピーヌシャシーの「スタンダード」、300ps+アルピーヌシャシーの「GT」、300ps+シャシースポールの「S」だ。

ではその違いはどうなのか。実際に「GT」と「S」を乗り比べるとよくわかった。

「A110 GT」と「A110 S」の違いは

アルピーヌ A110 GTアルピーヌ A110 GT

「S」はレーシングカーのノウハウをガッツリ取り入れ、そのままサーキットに乗り入れたくなる仕上がりだ。足はしっかり固められロールも抑えられる。ステアリングに対するシャシーの反応は早く、まんまレーシングカーに近い挙動と言っていい。それに対し「GT」は路面の小さな段差に対してもあたりは柔らかくロールも適度に行う。言ってしまえば典型的なフランス車テイストが根幹にあり、それをレーシーな方向に煮詰めた感覚だ。なので、スポーティなフランス車として選ぶのであれば、こちらが正解となる。

まぁ、ここは好みだろうが。個人的には「GT」に愛着を感じる。ただ、今回試乗していないが、この車両重量からすれば従来のパワーと同じ「スタンダード」でも十分楽しめるはずだ。

それはともかく、この2台に共通して言えるのは走らせる楽しさが満載であること。まずはステアリング径の太さが気に入った。最近の傾向とは真逆の細めでとにかく握りやすい。でもって路面からの入力がステアリングを通して気持ちよく伝わる。

シックな内装の「GT」は大人好みのA110

アルピーヌ A110 GTアルピーヌ A110 GT

総体的なクルマの挙動もA110を楽しむポイント。とにかく、軽いので箱根ターンパイクのような高速コーナーの連続も臆することはない。軽量なボディのおかげでブレーキング時に大きな質量がフロントにかかるわけでもなく、ステアリングを切り始めるとスッとその方向に向きを変える。この自然な動きは感動だ。軽量ボディのメリットが前面に押し出されている。ブレーキの精度の高さとフィーリングは格別。そこはこれまで同様グレードを問わずブレンボが採用されている。

ユニークなのはタイヤで、「GT」と「S」では同じ18インチでありながら、太さが異なっていた。「GT」が前205/40R18、後235/40R18なのに対し、「S」は前215/40R18、後245/40R18であった。この辺の妥協しない感じが好きである。

この他では「GT」の内装がシックにまとまっていたのがグッド。シートやトリム、ステアリングホイールにレザーを使い大人っぽい雰囲気を醸し出している。これまでもこの傾向はあったが、今回のネイビーのボディにブラウンの内装がグッと来た。まさに大人好みのA110である。

アルピーヌ A110 GTアルピーヌ A110 GT

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。

《九島辰也》

九島辰也

九島辰也|モータージャーナリスト 外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。

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