VW『フェートン』、幻の2代目…開発中止になった後継車の写真を公開

初代は全長5180mmの車体にW12気筒エンジン搭載

経営資源をEVに集中させるため次期型のプロジェクトは中止

フラッグシップサルーンに相応しい内外装を備えた2代目プロトタイプ

2代目フォルクスワーゲン・フェートンのプロトタイプ『フェートンD2』
2代目フォルクスワーゲン・フェートンのプロトタイプ『フェートンD2』全 10 枚

フォルクスワーゲンは7月7日、2016年に生産を終了した最上位サルーンの『フェートン』に、次期型のプロジェクトが存在していた、と発表した。幻の2代目フェートン、『フェートンD2』の写真を初公開している。

◆初代は全長5180mmの車体にW12気筒エンジン搭載

初代フォルクスワーゲン・フェートン初代フォルクスワーゲン・フェートン

フェートンは2002年3月、ジュネーブモーターショーで発表された。フォルクスワーゲンブランドのフラッグシップサルーンだ。2003年9月には、ロングホイールベース仕様が登場した。標準ボディのサイズは、全長5060mm、全幅1900mm、全高1450mm。パワートレインはガソリン3、ディーゼル1の合計4ユニット。駆動方式は、すべてフルタイム4WDの「4モーション」だ。ガソリンエンジンのトップグレードには、6.0リットルW12気筒ガソリンエンジン(最大出力450ps)が搭載されていた。

2010年4月、北京モーターショーでは、改良新型フェートンが発表された。フロントマスクにはフォルクスワーゲンのデザインDNAが反映され、大胆にイメージチェンジした。ボディサイズは、標準ボディが全長5060mm、ロングボディが全長5180mm。各部の仕上げには、レザー、アルカンターラ、ウッドなど、高品質の素材が使われていた。

2015年には、2度目の改良を受けたフェートンが中国で発表された。外観は、ヘッドライトやグリルなどを小変更。室内は、後席用のエンターテイメントシステムやオーディオのグレードアップが図られた。エンジンはガソリン3ユニット。V型6気筒は、排気量が3.0リットルと3.6リットル。V型8気筒は、排気量が4.2リットルだった。

◆経営資源をEVに集中させるため次期型のプロジェクトは中止

2016年3月、ドイツ・ドレスデン工場から、フェートンの最終モデルがラインオフした。壁面が全てガラス張りのため、「ガラス張りの工場」として知られるドレスデン工場は、フェートンの専用工場だったが、販売台数の少ないフェートンだけを組み立てているため、生産効率が悪かった。

フォルクスワーゲンは、ドレスデン工場をブランドの電動化およびデジタル化戦略をアピールする展示および体験施設に改修することを決めた。そのため、フェートンは生産を終了し、およそ14年の歴史に幕を下ろした。以後、後継モデルは登場していない。

当時のフォルクスワーゲングループは、経営資源をEVに集中させる戦略を決定したばかり。これを受けて、フォルクスワーゲンブランドのハイエンドセダン、フェートンの次期型プロジェクトは、中止が決まったという。

◆フラッグシップサルーンに相応しい内外装を備えた2代目のプロトタイプ

2代目フォルクスワーゲン・フェートンのプロトタイプ『フェートンD2』2代目フォルクスワーゲン・フェートンのプロトタイプ『フェートンD2』

フォルクスワーゲンは今回、フェートンのデビュー20周年に合わせて、幻の2代目フェートン、フェートンD2の写真を初公開した。1台限りのプロトタイプだが、フラッグシップサルーンに相応しい内外装を備えているのが見て取れる。

このプロトタイプは、モジュラー車台の「MLB」をベースにしたほぼ量産状態のプロトタイプだった。フォルクスワーゲングループの監査役会が、プロジェクトを存続させるか否かを最終決定する判断材料にするために、製作された1台限りのモデルだ。

走行可能なフェートンD2のプロトタイプは、4つの異なるコンセプトの中から、選考によってひとつに絞り込まれた。そのデザインは、スポーティでフラットなフォルムと高品質のインテリアを備えていた。

プロジェクト中止の決定により、2代目フェートンは実現しなかった。しかし、初代フェートンは、快適性やラグジュアリーさ、革新的なパワートレインや仕上げ品質という点において、フォルクスワーゲンが20年前に基準を打ち立てる能力を持っていたことを実証した、と自負する。初代フェートンのノウハウは、現在でも多くのモデルで体験することができる、としている。


《森脇稔》

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