国内初:自動走行ロボットによる移動販売 京セラコミュニケーションシステム

千葉市幕張新都心で8月10日まで実施される無人自動走行ロボットによる移動販売サービス
千葉市幕張新都心で8月10日まで実施される無人自動走行ロボットによる移動販売サービス全 14 枚

京セラグループで情報システム企業として事業を展開する京セラコミュニケーションシステム(KCCS)は、7月27日から8月10日まで千葉市幕張新都心地区において無人自動走行ロボットによる移動販売サービスの実証実験を実施中だ。そんな中、KCCSは8月2日、その模様を報道関係者に公開した。

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◆今後増加する“買い物難民”解決の一助となることが目的

KCCSでは、これまでにも無人自動走行ロボットを活用し、必要なモノやサービスを必要とする人の元へ届ける、活用可能性調査と技術検証を行っている。これまで2021年8月~9月には北海道石狩市で、22年3月には千葉市幕張新都心地区で同ロボットを活用した「配送サービス」の実証実験を実施して来た。

今回の無人自動走行ロボットを活用した無人移動販売サービスは、千葉市による「幕張新都心モビリティコンソーシアム」の取り組みの一環として実施される。これに、KCCSを実施事業者とし、千葉市やイオンリテール、損害保険ジャパンが協力した。

今回の実験で実施されるのは、幕張新都心地区の美浜区若葉3丁目および、ひび野1丁目(一部区画)内の5カ所に冷温蔵庫を備えた自動走行ロボットが停車して無人販売を実施するというもの。この移動にはクルマが往来する公道も使用しており、KCCSによれば、公道を走行する無人自動走行ロボットを活用した移動販売の実証実験は国内初の取り組みになるという。

今回の実証実験について、千葉市総合政策局未来都市戦略部国家戦略特区推進課 課長の吉野嘉人(よしと)氏は、「千葉市では“幕張新都心モビリティコンソーシアム”を2016年から取り組み、ドローンや自動運転など、いわゆる未来ベースの実証実験を行ってきた。千葉市は回遊性や賑わいの創出で課題を抱えており、今回は今年3月に実施した配送サービスのステップアップとして実施し、可能性のある分野として今後に期待している」と述べた。

KCCS経営企画部シニアディレクターの吉田洋(ひろし)氏は、「最近になってオールドニュータウンとか、高齢化団地で買い物難民の存在がクローズアップされている。その解決に向け、地域のラストワンマイルの販売対策としての活用を、事業面でも技術面でも確かめることが目的だ。幕張地区はそういったエリアではないが、千葉市から積極的な支援を受けられることになり、その趣旨に沿った検証を行うことになった」と述べた。

無人走行ロボットの最高速度は15km/h。後続車など周囲の状況を判断しながら遠隔操作で停止させることもある無人走行ロボットの最高速度は15km/h。後続車など周囲の状況を判断しながら遠隔操作で停止させることもある

◆常時行われる遠隔監視の下で自動走行。最高15km/hで走行可能

実験に使われる車両はのミニカー(長さ2.5m以下×幅1.3m以下×高さ2.0m以下)に準じたサイズで、最高15km/hで走行可能。車両自体は海外からKCCSが輸入したもので、自動走行するためのシステムや、商品積載部の冷温蔵ユニットも輸入したものをそのまま活用している。ただ、京セラでは自動走行に利用できるセンサーを開発しており、担当者によれば、そうしたセンサー類の活用も検討していきたいと話していた。

無人自動走行ロボットは公園の周囲にある公道を使い、エリア内にあるイオンスタイル幕張米パークをはじめ、マンション2カ所と高齢者向け住宅、若葉3丁目公園内2カ所を順番に移動する。ルートはあらかじめロボットにインプットされており、移動時はそのルートに従って走行することになっている。

車両は最高15km/hという早めの速度で移動できるが、ルート上にあるハンプ(凸部)付近では減速し、横断しようとする人を発見した際には自動的に一旦停止する。自動回避が困難となった際には遠隔操作によるコントロールに切り替えて運用することもあるという。また、移動中はすべて東京都港区にある遠隔監視ルームの下にあるが、現地では監視員が緊急停止用リモコンを持って万一のために備えていた。

近所に住んでいるという親子が、実際にジュースを購入して取材に応じてくれた近所に住んでいるという親子が、実際にジュースを購入して取材に応じてくれた

◆20種類100アイテムをスーパー価格で提供。利用者からの評価も高い

報道関係者に公開された当日は、最高気温34.3度を記録する猛暑日。公園に訪れる人もほとんどない様子だったが、取材を始めようとするとさっそく小さな女の子を連れた親子が移動販売車を訪れ、取材に応じてくれた。

「近所に住んでいるので移動販売車が無人走行しているのは何度も見かけて知っていた。子供も見つけると追いかけたりするのでインパクトは大きい。提供される価格も安く、こうしたサービスは便利でありがたい」と回答。要望としては「毎日暑いのでアイスクリームなど冷凍物の販売があると嬉しいし、決済もQRコードだけでなく、電子マネーの利用もできるようにして欲しい」とのことだった。

KCCSの吉田洋氏は、これについて「商品は20種類ほど搭載しており、計100アイテムほど積載している。商品についてはイオンリテールに依頼しているが、スーパー価格での提供しているため、割安で提供されているのだと思う」とし、「冷凍庫を積んだ仕様も輸入先では用意されているが、導入するかは今後の検討課題。QRコードのみの対応となっているのはKCCSが決済に対応していないだけで、これも状況を見ながら検討していきたい」と回答した。

◆損保ジャパンは、今回の実証実験向けに専用保険を開発

なお、今回の実証実験を実施するにあたり、損保ジャパンではオーダー型の損害保険で担当した。実証実験におけるリスクアセスメント、および実証実験に関して付帯する保険について、技術面と運用・安全面の双方から実証実験の研究を進めていくとしている。また、この中には積載する商品へのリスクも担保されているとのことだ。

損保ジャパンでは現在、安心・安全な自動走行を支援するインシュアテックソリューション「Level 4 Discovery」を開発・推進中で、今後も実施される全国各地の実証実験において事故を未然に防ぐ役割を担い、自動運転社会の実相に貢献していくとしている。


《会田肇》

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