1番速いドゥカティライダーは誰だ! 真剣勝負のレノボ・レース・オブ・チャンピオンズ…WDW2022

World Ducati Week 2022(ワールド・ドゥカティ・ウィーク)
World Ducati Week 2022(ワールド・ドゥカティ・ウィーク)全 83 枚

ドゥカティ最大となるファンイベントで、7月22~24日の3日間に渡ってイタリアで開催されたワールド・ドゥカティ・ウィーク(通称:WDW)。WDWの目玉の1つがレノボ・レース・オブ・チャンピオンズ。同社のファクトリーライダーをはじめとした、現役トップライダーがパニガーレV4S/V2を駆ってのガチンコレースを繰り広げる。

【画像全83枚】

ドゥカティのサポートライダー限定だが、その名前を聞けばそれが恐ろしく豪華なラインナップだということがわかるだろう。フランチェスコ・バニャイアジャック・ミラーホルヘ・マルティンヨハン・ザルコエネア・バスティアニーニファビオ・ディ・ジャンナントニオルーカ・マリーニマルコ・ベッツェッキのMotoGPに参戦するドゥカティチームから全ライダー8名が参戦。

そしてGP参戦時と同様にチームカラーにペイントされたトレーラーがピット裏に駐車、各チームのレースメカニックも帯同される。また、ワールドスーパーバイク(WSBK)からはアルバロ・バウティスタマイケル・ルーベン・リナルディ、AMAからは元ファクトリーGPライダーのダニロ・ペトルッチなど、その他にも有名トップライダーが大挙して参戦する。最高峰クラスのライダー層がずば抜けて厚い、ドゥカティだからできるレースでもあり、ピットエリアから漂う雰囲気はMotoGPそのものだ。

そしてこの模様は、ヨーロッパにおけるMotoGPの放送チャンネルでライブ中継されているという。ドゥカティスタにとっては、イコールコンディションで本来のライダーとしての実力は誰が1番なのだろう?という興味深い内容。

◆お遊びではなく、ライダー達の真剣勝負に観客達のボルテージはMAXに!

とはいえ、何のタイトルもなければイベントの中の興行である。筋書きも決まっているのでは? という憶測の中、練習走行は始まった。マシンは同社のフラッグシップモデルである、パニガーレV4Sをベースにカウリング、マフラー、ステップを変更した程度。電子制御のサスペンションもそのままである。タイヤについてははSBK仕様に近いピレリタイヤが装着された。

一目ライダーの走りを見れば、これがお遊びでないことがはっきりとわかった。本戦同様に練習走行の後は予選、決勝とタイトなスケジュール。限られた時間の中でフランチェスコ・バニャイアがポールポジションを獲得し、8周のレースでは一度もトップを譲ることなく結果的に独走で優勝を果たした。また、短い予選でバニャイアが記録したタイムは、WSBKのポールタイムから2.5秒落ち。想像以上のレベルの高さに驚くばかりだ。

事実、優勝したバニャイアはレース後に「かなりプレッシャーがあった」と語っていたが、ワークスの看板を背負って参戦する重圧は計り知れないだろう。2位にはバレンティーノ・ロッシの実弟のルーカ・マリーニ、3位にはそのチームメイトのマルコ・ベッツェッキと、ロッシの弟子たちが表彰台を独占。 それだけでなく上位を占めたのは、マシンやタイヤに慣れ親しんたSBKライダーではなくMotoGPライダー達….。

「GPライダー恐るべし!」とまざまざと感じさせた。そして彼らのプレッシャーの大きさと、だからこそ強くなる環境にも納得したのだった。

◆新型スクランブラー先行披露! 2023年にフルモデルチェンジで登場予定

WDWの注目コンテンツのひとつに、来季のニューモデルを来場した人にだけ先行してお披露目というコンテンツがある。スマホ等の撮影媒体を預けた後、外からは見えないボックス状の空間に入り、ベールに包まれたマシンを前にマシンの説明を受ける。説明後にアンベールされたのが2023年型スクランブラーICONだった。

スクランブラーらしいスタイリングやイメージはそのままに、ほぼ全てに手を入れるという変更内容。ガソリンタンクやシートはもちろん、フレームもスイングアームも刷新。車重も5kgほど軽量化されているとのことで、より高性能かつビギナーにもフレンドリーな特性を得ているという。また、803ccの排気量を誇る空冷Lツインエンジンに変更はないものの、スロットル制御はライドバイワイヤ化され、ライディングモードやトラクションコントロールも備えるとのこと。扱いやすさやシンプルさはそのままに、確実なるアップデートが施されている。ICON同様、そこから派生するスクランブラーファミリーにも期待させる内容のものとなっていた。

◆自分次第で楽しみ方は無限大、ドゥカティスタでもそうでなくても楽しめるWDW

前編で紹介したとおり、インストラクターの先導で公道を走行できる充実した試乗セッションも毎日開催。DRE(ドゥカティ・ライディング・エクスペリエンス)についても、3日間通してサーキット・特設コースで絶え間なく開催されていた。その他、ドゥカティのデザインの真髄を感じられるデザインエクスペリエンス、各国のプレジデントが参加するバーベキューパーティー、日没後にスタジアムで開催されたサタデーナイトショーなど、3日間のイベントを満喫できるプログラムが用意されていた。

また、ミサーノのパドックには集まったドゥカティのバイクが所狭しと並ぶだけではなく、ドゥカティパフォーマンスのアクセサリーにも採用されるテルミ二ョーニアクラポビッチを筆頭に数多くのブースが出展。さらには公式グッズやアウトレットなどのショップも充実していた。

次回は2年後の開催となるので2024年が予定されている。日本からの参加についてはハードルが高い部分もあるが、会場に行かないとわからないドゥカティスタ達の熱狂する雰囲気、そしてなによりもあれほど多くのドゥカティを見て・触れる体験は忘れられない時間になるはず。少しでも興味を持った方は、WDW2024に向けて準備しておくことをおすすめする。

《鈴木大五郎》

鈴木大五郎

AMAスーパーバイクや鈴鹿8耐参戦など、レース畑のバックボーンをもつモーターサイクルジャーナリスト。1998年よりテスター業を開始し、これまで数百台に渡るマシンをテスト。現在はBMWモトラッドの公認インストラクターをはじめ、様々なメーカーやイベントでスクールを行なう。スポーツライディングの基礎の習得を目指すBKライディングスクール、ダートトラックの技術をベースにスキルアップを目指すBKスライディングスクールを主宰。

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