自動車サプライチェーンにおけるLCA対応戦略【LCAが変える自動車の未来 第4回】

多くの自動車部品メーカーは実践段階で苦労している

自動車メーカーとの取引確保、投資資金確保の観点で外せない

各国でグリーン化への取り組みが加速

自動車部品メーカーが目指すべき5つの方向性

自動車メーカーがLCA(Life Cycle Assessment)の流れの中で動き出している今、サプライチェーンの部品サプライヤーにもLCAへの対応が求められ始めている。いま部品サプライヤーは何をすべきなのか。

多くの自動車部品メーカーは実践段階で苦労している

カーボンニュートラルの課題に取り組む上で、多くの部品サプライヤーは実践段階で苦労している。従来から排ガス規制には取り組んできたものの、製造段階からCO2を抑えなければいけないLCAへの対応で戸惑いを見せているのだ。

企業各社が抱える典型的な悩みとしては以下の5つが挙げられる。

  • 1つ目はアジェンダの設定。カーボンニュートラルの重要性や取り組む必要性は認識しているが、誰に向けて何を目指すべきか、何から手を付けるべきかわからない。

  • 2つ目は、事業変革の姿や道筋が不明確であること。脱炭素や電動車向けの製品開発が重要なのはわかるが、足元で売れている内燃機関車向けの部品の製造をやめられず、事業転換の道筋が描けない。

  • 3つ目は、投資リソースや原資の問題だ。社内リソースの配分に関しては総論で賛成だが、事業部からの押し戻しがあるなど各論で反対がある。また自社でカーボンニュートラルに取り組んだところでコスト増にしかならず、どのようにリソースを割くべきかわからない。

  • 4つ目は、実効性について。カーボンニュートラルの取り組みの検討は行ったものの、計画の推進主体やメカニズムが欠けていて、実行段階で腰砕けになって実行されない。

  • 5つ目は、投資対効果の定量インパクトである。投資コストが大きいために資金回収の見通しが立たず、収益圧迫に繋がると考えてしまい、カーボンニュートラルに向けた事業転換に後ろ向きになってしまう。さらに自社単体の体力では、カーボンニュートラル製品への投資採算が取れないという問題もある。

そのような状況の中で、自動車メーカー側の動きは速く、すでに温室効果ガスの排出を抑える設計・製造の工夫はもとより、再エネ利用や電動車投入によって、サプライチェーン全体でカーボンニュートラルを目指す動きが出始めている。


《PwC Japan合同会社》

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