オートモーティブワールド秋(2022)では、電動パワートレイに必要なモーター制御、インバーター、オンボードチャージャー、DC/DCコンバータなどの中小サプライヤーの出展も目立つ。これらの企業が見ているのは必ずしも自動車業界ではないようだ。
国内大手OEMやメガサプライヤーは、EV化の波に対応するため電動パワートレインやバッテリー制御などを内製化の方向に進んでいる。これらは、次世代車両の心臓部なので、ブラックボックス化させたくない意向が働くからだ。そのため、Tier1より下のサプライヤーは、半導体など電子部品や材料素材などが重宝される。
しかし、インバーターやバッテリー管理システムなどのモジュールの市場に芽がないわけでもない。電動化シフトは、建機・農機のほか高性能なAGVや小型モビリティにも及んでいる。また、EVベンチャー向けにモジュール製造の需要がある。
日本パナトロニックは、SiC(シリコンカーバイト)を使ったパワーモジュールやインバーターを手掛けている。SiCのパワー半導体はCISSOIDの製品で、三相1200V 550Aという大容量MOS FETが特徴だ。DC/DCコンバーターやオンボードチャージャーは米NetPowerのモジュールを販売している。建機や農機のほか、商用車など個別のニーズに合わせてモジュールのオーダーメイドにも対応する。レース車やプロタイプの開発もOKだそうだ。
三補(SAMBO)モータースは韓国の企業で、モーター・ギアボックス、インバーターを一体化したパワートレインを製造しているサプライヤーのひとつだ。韓国・中国の自動車メーカーとも取引があり、日本でもジヤトコやアイシン、バレオなどサプライヤーにもギアボックスなど自社製品の取引があるという。同社のねらいは、中国・欧州・北米など海外拠点を生かした製造チェーンを日本企業にもアピールすることだ。
アメリカのEV補助金政策にみられるように、今後は調達部品の生産地が問われるようになる。大手OEMは内製にこだわっても、生産を現地で行う必要がある。世界に工場・生産拠点を持つサプライヤーが重要になってくる。