ネット経由でも低遅延遠隔監視・制御…オートモーティブワールド秋2022

LTE経由でインターネットにつながったデモ機。
LTE経由でインターネットにつながったデモ機。全 4 枚

オートモーティブワールド秋(2022年)において、アプトポッドはインターネットを利用した遠隔監視・操作ソリューションを展示していた。2022年秋のリリースを予定している新ソリューションだ。

インターネットのプロトコルは、パケット通信を前提としており、本来はリアルタイム通信には向かない。物理的な距離が近くてもルーティングというソフトウェアの制御、さらには上位プロトコルの制御が入るため、通信エッジの両端で秒単位の遅延が発生することもある。それでも4G回線を使ったデータ転送だけの遅延(RTP)は、100ミリ秒以下に抑えることができるという(サーバーがAWSの東京リージョンにあったと仮定)。5G、ローカル5Gを利用すればさらに短縮も見込める。

上記は、遠隔制御をサーバー上のコンピュータが演算する場合の遅延だ。人間のオペレータが画像を見ながら遠隔操作を行う場合、カメラ画像が必要になる。動画データの伝送はデータ量が多くなることと、ディスプレイ上に描画(ストリームデータのデコード処理)に数百ミリ秒必要なことから、遅延は0.数秒という単位になる。描画処理は画像の解像度、フレーム数、PCの性能に大きく依存する。オペレータによる遠隔操作のボトルネックは、回線速度や通信方式よりも、人間の目に見えるようにするための画像処理にある。

このソリューションの特徴は、サーバー側の処理に工夫して低遅延を実現したことだ。これにより、車両側の自律制御だけでなくクラウド(サーバー)との協調動作も一部可能になる。また、車両やロボットとやり取りするデータは時刻データとともにすべてクラウドに保存することができる。

車両やロボットの制御はオープンソースのROS(ロボットOS)に対応しているので、汎用性・拡張性も期待できる。既存製品やシステムへの遠隔監視・遠隔制御にアドオンするソリューションとしても利用可能だ。通信方式も選ばないので監視だけなら重機やフォークリフトなどへの後付けハードルも低い。制御部への介入ができれば後付けのi-Construction重機の開発も可能だ。

このシステムは、包括的なフリート管理システムを構築したい場合に加え、ラストマイル搬送ロボ・ドローン・配膳ロボ・AGV・重機など自律走行車両を使っている現場に、遠隔監視とデータ収集、緊急時などに手動による遠隔操作を最小限の投資で導入することができるものだ。


ジョニーの子守唄
¥250
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

《中尾真二》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  2. 高機能ヘルメットスタンド、梅雨・湿気から解放する乾燥ファン搭載でMakuake登場
  3. 最後のフォードエンジン搭載ケータハム、「セブン 310アンコール」発表
  4. 船上で水素を製造できる「エナジー・オブザーバー」が9年間の航海へ
  5. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
ランキングをもっと見る