EV市場の拡大で活気づくAC普通充電器市場…スマートエネルギーWeek 2022

家庭用・事業者用AC普通充電器の出展が目立ったスマートエネルギーWeek 2022
家庭用・事業者用AC普通充電器の出展が目立ったスマートエネルギーWeek 2022全 9 枚

EV市場が先か、充電インフラ整備が先か、という議論がある。グローバル市場での動きをみると、いまのところEV市場が立ち上がり、それに追従する形で充電器市場が広がっている。国内でもようやくその兆しが見えてきた。

[家庭用・事業者用AC普通充電器の出展が目立ったスマートエネルギーWeek 2022]

日本は、三菱『i-MiEV』、日産『リーフ』の発売にあわせてCHAdeMO充電器の設置が政策ベースで進んだ。一時はEV先進国としてDC急速充電器の設置数でも世界をリードしていたものの、EV市場の広がりに時間がかかり、採算が取れない充電器の撤去によって充電スポットの減少が問題になった。だが、海外のEVシフトが進むにつれて国内EV市場も動き始めた。

トヨタのEV発表やプレミアムEVの市場拡大により、経路充電の再整備(リプレース可能な場所の大出力化)が始まった。なにより日産・三菱による新型軽EVの投入が起爆剤となり、AC普通充電のニーズが拡大した。そもそも導入ハードルが低い3~12kW前後のAC普通充電器の存在を消費者が認知し始めた。

必然的に、商業施設、宿泊施設、コインパーク、集合住宅などは、EV用のAC充電器が集客につながると導入検討を始めている。「スマートエネルギーWeek」の各展示(8月31日~9月2日、幕張メッセ)でも、AC充電器のベンチャーや製品展示が目立ってきた。尋ねる人も、マンションオーナーや管理組合の理事だったりする。

「エネチェンジ」は課金型のAC充電ポスト(AC200V 6kW)をゴルフ場、駐車場オーナー、商業施設などの事業者向けに提案していた(スマートグリッドEXPO 2022)。同社は事業者に対して、課金のためのユーザーアプリやサポートや管理システムなどサービスインフラと充電器ハードウェアを提供する。プランは、事業者が場所だけを貸すような「お試しプラン」(初期費用・月額費用なし)から、充電料金を事業者が設定できるものまで4種類ほどある。導入には、充電器本体価格と工事費がかかるが、次世代自動車新興センターの補助金が適用可能だ。

集合住宅やマンションの立体駐車場へのAC普通充電器の設置は、「ユアスタンド」「河村電器産業」など設置技術とサービスを持っている事業者も存在する。

河村電器産業のブース(脱炭素経営EXPO 2022)には、6kW×3口のAC普通充電器のソリューションが展示されていた。この充電器は総電力を制御しつつ、3台同時の充電が可能になっている。制御は2種類ある。ひとつは、総容量を接続台数で均等割りする方式。総容量を60Aとした場合、各充電ポートには20Aずつを割り当てる。もう一つはつないだ順番で優先充電をしていくが、1口あたりの充電容量を設定しておく。総容量に対する設定値のあまりを残りのポートが共有する。最初のポートが設定値に達したら優先ポートを次につながったものに切り替えていく。

複数ポートの充電器の場合、つないでもすぐに充電が始まらない場合がある。均等割りや優先充電で容量を可変とすることで、この問題に対応している。


《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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