【マツダ CX-60】「大きい車は運転しにくいから却下」を変えるシースルービュー

ドライバーの異常を検知すると緊急自動停止
ドライバーの異常を検知すると緊急自動停止全 18 枚

マツダの新型SUV『CX-60』は、2つの社会的な課題に現実的な回答を示すという設計コンセプトを持つ。ひとつは脱炭素。もうひとつは事故ゼロを目指すというもの。どういうことだろうか。

SKYACTIV D 3.3Lエンジンとシースルービューの画像

■クリーンディーゼルとマイルドハイブリッドで環境性能を追求

脱炭素は、クリーンディーゼルの環境性能を進化させることで達成を目指す。CX-60は3.3L 直列6気筒エンジンを搭載しながら燃費(18.5km/L:WLTC)は1.8LのCX-3(19.0km/L)並みだ。48Vマイルドハイブリッドモデルなら21.1km/Lと『CX-3』さえ超える。クリーンディーゼルの補助金対象でもある。

事故ゼロには複数のアプローチがある。車両そのもの衝突安全性能や安全な視界確保といった基本性能。衝突被害軽減ブレーキやレーンキープに代表されるADAS機能。そしてドライバーの健康状態に着目した安全機能もある。前二者はすでに各社の取り組みが進んでいる。3つ目の安全機能は、ドライバーモニタリングや人間工学による運転業務の疲労やストレスを軽減させるための取り組みだ。

■緊急自動停止と踏み間違いのアクセルキャンセルで事故ゼロへ

マツダではドライバーの状態に着目した安全アプローチを「MAZDA CO-PILOT CONCEPT」としてCX-60にもいくつかの新機能が実装された。マツダの「ドライバーモニタリング+ドライバー異常時対応システム」は、カメラや赤外線センサーによってドライバーの運転状況を監視する。開眼状態、正常な運転操作、姿勢の崩れを検知し、段階的にアラートを発する。3つの条件を満たしアラートが鳴ってもドライバー操作が回復しない場合に、緊急自動停止を行う。一般道なら同一車線での完全停止。高速道路なら路肩に寄せて完全停止まで車両が制御を行う。停止後の緊急通報も自動的に行われる。

「ドライビングサポートプラス」はいわゆる踏み間違い防止機能だ。特徴は駐車場など停止時、低速走行時の踏み間違いだけでなく、走行中の踏み間違いにも対応する点だ。運転操作、ペダルの踏み方もセンシングし、ドライバーの操作をオーバーライドしてアクセルオフとブレーキングで停止までさせることができる。レベル2に分類されるADAS機能のドライバー操作のキャンセル、制御のオーバーライドは線引きが難しい。だが、走行中の踏み間違い事故は、最初の衝突でも減速せず二次被害、三次被害まで引き起こすことがあり、重大事故につながりやすい。

■正しいドライビングポジションにはいいことしかない

運転中の疲労はドライビングポジションに大きく関係する。正しい運転姿勢は緊急時の反射神経もよくなる。CX-60に搭載された自動ドライビングポジションガイドは、身長を入力すると、推奨のドライビングポジションがとれる位置にシートとステアリングを自動的に調整してくれる。ひじやひざの曲がり具合、背もたれの角度など的確な位置に調整してくれる。

記者の体験ベースだが、ステアリングの位置、背もたれの角度、座面の高さは普段の自分の設定とほぼ同じだった。シートの前後位置(ひざの角度)だけ微調整を加えただけだった。もし、推奨ポジションがいつもの自分の設定と違うと思っても、一度そのポジションで運転してみることをお勧めする。自分が間違ったポジションで運転していたことを気づかせてくれるかもしれない。

この機能は顔認証技術を利用しているため、一度設定すれば乗り込むだけでいつものポジションにセットしてくれる。7名まで記録・設定が可能だ。

■苦手な車庫入れをアシストするシースルービュー

最後に強調したいのは「シースルービュー」だ。すでに多くの車両が採用しているバックや低速走行時(主に駐車場や車庫入れ)の360度モニターの機能拡張版だ。フロント、リア、サイドカメラの画像で360度ビューを構成する点は同じだが、サイドビューカメラの広角を広げ、後輪付近の死角を極力なくしてくれる。ドアの影にいる子供、後ろにあるベビーカーなどの発見・認識に役立つ。

さらに、ハンドルの切れ角に応じた進路予想のラインが4輪すべてに表示される。せまい場所での車庫入れ、車庫出しでは、左前が壁や別の車にあたらないか、左側の柱や駐車車両をこすらないかの確認をアシストしてくれる。

車庫からでるとき、ハンドルを切ると画面上に黄色い線で後輪の予想軌跡が表示される。このラインがとなりの車や柱にかさなると接触コースだ。ハンドルを調整してラインが重ならないようにすれば、そのハンドル位置を保持したまま前進すればいい。前方には前輪のラインも表示されるので、同じように障害物や他の車と重ならいかをみながら進めばよい。

初めての場所、止めにくい狭い駐車場でシースルービューは効果を発揮してくれる。サイズの大きいSUVは、ときとして運転しにくいと家族の許可が下りないことがある。あるいは駐車場が狭くて止めにくいという理由で敬遠しているお店やスーパー。シースルービューはこのような購入および移動のハードルを下げてくれる。

低速走行になったら自動的に画面をシースルービューに切り替えてもいいくらいだ。


《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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