明日開業の西九州新幹線、貸付料は年5.1億円に…耐震橋梁も大幅に増加

長崎県大村市内を走る西九州新幹線の試運転列車。
長崎県大村市内を走る西九州新幹線の試運転列車。全 6 枚

いよいよ、明日・9月23日に開業する西九州新幹線(武雄温泉~長崎)だが、国土交通省は9月22日、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)から申請されていた新幹線の貸付料を認可したと発表した。

整備新幹線の貸付料は「『新幹線を整備する場合』と『( 仮に) 新幹線を開業しない場合』の収益の差を計算したもの」に基づき算出されており、西九州新幹線の場合、施設を借り受けて列車を運行するJR九州が年額5億1000万円を支払うことになった。

一方、鉄道・運輸機構は9月21日、その西九州新幹線に「補強盛土一体橋梁」を本格導入したことを明らかにしている。

これは、鉄道総合技術研究所(鉄道総研)と共同で開発されたもので、橋梁の上部(桁)と下部(橋台)の間に入り、変形を吸収する役割を担う「支承部」を省略し、桁と橋台を直接つなぎ一体化した「ラーメン橋梁」と、セメント改良により補強し網目状の補強材を施した盛土(補強盛土)を一体化。双方が一体となって挙動するため、耐震性の向上につながるとしている。

従来の橋梁の概要と課題。橋梁上部と下部の間に入る「支承部」に弱点があった。従来の橋梁の概要と課題。橋梁上部と下部の間に入る「支承部」に弱点があった。
補強盛土一体橋梁の概要と特徴。支承部を省略したため耐震性が上がったほか、建設・維持コストも低減された。補強盛土一体橋梁の概要と特徴。支承部を省略したため耐震性が上がったほか、建設・維持コストも低減された。

補強盛土一体橋梁は、新幹線では北海道新幹線の中学校線架道橋に導入実績があるが、西九州新幹線では7橋の本格導入となった。そのうちの1橋は40mまでの架橋に適用できる「長スパン用補強盛土一体橋梁」となっている。

「長スパン用補強盛土一体橋梁」となった西九州新幹線諫早~長崎間の原種架道橋。「長スパン用補強盛土一体橋梁」となった西九州新幹線諫早~長崎間の原種架道橋。「長スパン用補強盛土一体橋梁」の概要。一般的に補強盛土一体橋梁は長スパンに適さない鉄筋コンクリート(RC)構造のため、長さ20m以下の片側1車線の道路などの交差部にしか使用できなかったが、桁に使うコンクリートに鋼材で応力を加えたプレストレストコンクリート(PC)と、橋台壁とPC桁を組み合わせて打設する新たな接合構造を使うことで40mまでの架橋が可能となった。「長スパン用補強盛土一体橋梁」の概要。一般的に補強盛土一体橋梁は長スパンに適さない鉄筋コンクリート(RC)構造のため、長さ20m以下の片側1車線の道路などの交差部にしか使用できなかったが、桁に使うコンクリートに鋼材で応力を加えたプレストレストコンクリート(PC)と、橋台壁とPC桁を組み合わせて打設する新たな接合構造を使うことで40mまでの架橋が可能となった。長スパン用補強盛土一体橋梁の新たな接合方法の概要。長スパン用補強盛土一体橋梁の新たな接合方法の概要。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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